PICS 集中治療後症候群

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PICS精神機能障害(一般市民向け)

うつ、不安、⼼的外傷後ストレス障害(PTSD*)がPICSの精神障害を構成する要素です。重症患者さんのうち、ICU での治療ののちに⽣存して病院を退院された患者さんでは、その30%はうつ状態にさいなまれて、70%は不安に苦しみ、10−50%はPTSD を発症すると⾔われています。そのため、可能な限り精神的なアセスメントを⼊院してすぐに⾏い、適切な対応が必要であると考えています。
そのような精神の症状を来たしやすい患者さんというのは、もともとうつ状態、うつ・不安、さらにPTSDがある⽅や、アルコール依存なども関連すると報告されていています。
最近の報告では、うつ、不安、PTSDはそれぞれ別々に存在するのではなく、⾼い確率でオーバーラップする、ということが知られてきました(図1)。ICU での治療後の精神機能障害がなぜ起こるのか?その原因として睡眠が関連している、とも報告されていますが、現在も各研究が続けられており、今後の成果が待たれるところです。

*PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは、強烈な⼼的外傷体験をきっかけに、実際の体験から時間が経過した後になっても、フラッシュバックや悪夢による侵⼊的再体験イベントに関連する刺激の回避、否定的な思考や気分、怒りっぽさや不眠などの症状が持続する状態を指します。

ICU退室後の不安・うつ・PTSDの割合