新型コロナウイルスと闘う集中治療医たち
2019年に中国を皮切りに世界中で大流行している新型コロナウイルス感染症。集中治療室では重症化した患者を受け入れ、感染リスクと闘いながら重要な命の局面を支えています。

集中治療室での新型コロナウイルス感染症治療

新型コロナウイルス感染症に感染した患者の症状が重症化した際、主に診療にあたっているのが集中治療医です。人工呼吸管理や体外式膜型人工肺(ECMO)などの専門的な医療機器が必要となり、それらの機器の知識を持つ集中治療医の役割が非常に重要となっています。

重症患者に対する措置

罹患患者の重症化で最も多く見られているのが、ウイルスが肺で増殖することで肺炎が悪化し、急性の呼吸不全になるケースです。自力での呼吸が困難になるため、集中治療室にて人工呼吸管理や体外式膜型人工肺(ECMO)を用いて肺を休ませ、ウイルスの排出を待ちます。

人工呼吸器・ECMOってどんな医療機器?

人工呼吸器

患者の呼吸をサポートする医療機器。患者の口から陽圧のガスを送り込み、圧力によって肺を膨らませます。

そもそも呼吸とは、酸素を体外から肺に取り込み、細胞活動によって作られた二酸化炭素を排出する運動ですが、肺自体が自発的に膨らんだり縮んだりするのではなく、横隔膜などの呼吸筋を動かすことで胸郭内の圧を調整し、肺の中の空気を出し入れしています。人工呼吸器はこの呼吸運動を自発的におこなえなくなった患者に使用しますが、新型コロナウイルス感染症の患者の場合は、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出がうまくいかなくなったときに使用します。

新型コロナウイルス感染症の患者は肺に強い傷害を受けるため、現在罹患者の約5%が人工呼吸器を必要としています。ただし、人工呼吸器では肺の機能すべてを代替することはできず、サポートしきれなくなったとき、または処置を続けることで肺に不可逆的な傷害を与える可能性があるときは、体外式膜型人工肺(ECMO)の使用を検討します。

体外式膜型人工肺(ECMO)

重症呼吸不全、または重症心不全の患者に使用される、生命維持のための装置。ポンプにより血液を取り出して、肺の代わりに酸素と二酸化炭素の交換をおこない、血液を体に戻すことで呼吸の補助をします。血液を入れ替える際にカニューレと呼ばれる太い管を体に入れるため患者のリスクは大きく、生命維持の最終手段として検討される処置です。

ECMOを使用するにはかなり専門知識が必要となるため、重症呼吸不全に対しECMOによる治療ができる集中治療室は限られています。

集中治療室での新型コロナウイルス感染症対策

集中治療室には、当然新型コロナウイルス感染症の罹患者以外も入室します。室内で感染を拡大させないため、各病院で対策をおこなっています。

新型コロナウイルス感染症の罹患者を人工呼吸管理する場合、ウイルスを含む微小粒子が空気中を漂う(エアロゾル)可能性があるため、感染者とそうでない患者を分ける必要があります。

方法にはいくつかあり、集中治療室全体を新型コロナウイルス感染症の罹患者の重症病棟とする場合、またはゾーニングと呼ばれる、集中治療室内を2つにしっかり区分けして対応する方法などがあります。

もちろん、治療にあたる集中治療医をはじめとした集中治療室に出入りする医療スタッフ自身も感染を避けなければなりません。そのためにも、ゾーニングやマスク・防護服などの個人防護具の準備、また感染に対する意識や知識の教育などを徹底しています。

未知のウイルスに対する情報共有は密におこなう

発見されたばかりの新型コロナウイルスはまだまだ情報や知見が少なく、わからないことが多いのが現実です。

ワクチンや特効薬の開発にもまだ時間がかかることもあり、今は最新の論文や学会からの情報、またECMOの専門家によるECMOnet(エクモネット)の情報など、さまざまな症例から多くの情報を得て、対処に当たっています。

さらに集中治療医同士での情報交換も密におこなわれ、全力で未知のウイルスに負けない体制を構築しています。

これからも、今後も起こるかもしれない第2波、第3波に備えて、床数やスタッフの確保などの準備を整えながら、通常の診療を続けていく必要があります。

新型コロナウイルスに関する集中治療の窓口を開設しました (医療従事者のみ)

医療従事者のための「新型コロナウイルスの集中治療」に関する診療相談窓口を設けました。呼吸管理やECMO等の専門的見解、感染防御対策など、専用フォームにてお問い合わせください。

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また、新型コロナウイルス感染症に関する情報をページにまとめていますので、合わせてご覧ください。

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