PICS 集中治療後症候群

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PICSとは

「PICS」とは何か?

集中治療後症候群(PICS)とは PICSとは、集中治療室(ICU)在室中あるいはICU退室後,さらには退院後に生じる身体障害・認知機能・精神の障害で、ICU患者さんの長期予後のみならずご家族の精神にも影響を及ぼします(図1)。PICSは近年の救急・集中治療領域のホットトピックスの1つで、近年ICU患者における長期的な運動機能・認知機能・精神の障害として様々な報告がなされるようになり、市民および医療従事者へのPICSの啓発活動は2010年以降の集中治療医学における解決すべき重要課題になりつつあります。


ご家族における PICS

PICSは生存しているICU患者でのみで発生する一方、PICS-Fは生存者および非生存者の家族で発生することがあります。ご家族における長期的な影響は、心理的、身体的、社会的な要因があります。患者の家族のおよそ10-75%が不安に苦しんでいます。患者が死亡した場合、ご家族は喪失感に苛まれ、長期間複雑な悲しみに苦しむ可能性があります。このようなご家族が抱えるストレスは、もともとある身体的および健康問題を悪化させることがあります。


まとめ

PICSとは、ICU在室中あるいはICU退室後,さらには退院後に生じる運動機能,認知機能,メンタルヘルスの障害です。さらにはご家族のメンタルヘルスにも影響を及ぼす。PICS患者の長期予後改善には、PICSの予防をし、いかにICU患者およびそのご家族に質の高い生活を提供できるかが重要です。