神経集中治療

Neurointensive Care

神経集中治療とは ~新たなステージの始まり~


重症患者に対する集中治療の最終目標は社会復帰や日常生活への復帰です。治療後の生命転帰の改善だけではなく、それらに応じた神経学的転帰良好を目指す必要があります。どのような疾患であっても、原疾患や全身状態が脳に及ぼす影響「二次性脳障害の防止」を理解した上で治療を計画することが重要であり、神経学的転帰改善を目指した脳指向型の集中治療を考える必要があります。

これまで重症頭部外傷、脳卒中、てんかん重積状態、心停止後症候群、脳炎・脳症、神経筋疾患などに対して、原疾患の治療に加えて「二次性脳障害の防止」を念頭に入れた治療が集中治療医および神経系の専門医を加えた多職種チームによって行われてきました。現在この概念は、エビデンスの積み重ねにより、中枢神経系疾患に留まらず、全ての集中治療が必要な重症病態でも「二次性脳障害の防止」について考えていかなければならないことが分かってきています。

そのような意味から、神経集中治療とは、「重症の脳・神経疾患に加えて、疾患の種類にかかわらず二次性脳障害を起こしうる病態に対して脳指向型管理を実践し神経学的転帰改善を目指した集中治療」と定義することができます。

疾患横断的に集中治療を担当するすべての医療職が、常に重症の脳・神経疾患に対する治療と「二次性脳障害の防止」について考え、実践できる環境を整え、普及・啓発していくのが神経集中治療委員会の役割です。神経集中治療という新たなステージが始まりました。