サル痘に関する情報提供

2022年7月27日

2022年7月25日、本邦で1例目となるサル痘感染者が確認されました。
これを踏まえ、現時点で明らかになっているサル痘に関する情報をお伝え致します。

海外の本感染症患者に関する状況からは、集中治療管理を要する重症例はほぼ発生していないようです。会員の皆さまの通常診療に大きな影響はないものと思われます。
しかし、サル痘に関する十分な情報は明らかになっておりませんので、引き続き情報収集を継続し、新たな情報をご連絡させていただきます。

<サル痘に関する基本情報>
1) 感染症法における分類
 第4類感染症(ただちに最寄りの保健所へ届出が必要)

2) 病原体
 ポックスウイルス科 サル痘ウイルス

3) 感染経路
 接触感染・飛沫感染
 サル・ウサギからヒトへの感染。ヒト─ヒト感染もあり。
 感染者の皮膚病変・体液・血液との接触(性行為感染もあり)、飛沫への長時間曝露で感染する。リネン類を介した感染もあり。

4) 潜伏期間
 1~2週

5) 現在のおもな流行地
 米国、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ポルトガル、スペイン、英国

6) 臨床症状
 発熱・頭痛・リンパ節腫脹、筋肉痛などの初発症状(0-5日持続)後に、発疹が出現(発熱の1-3日後)※ただし、前駆症状なく発疹で初発するケースあり
 皮疹は顔面から始まり、四肢・体幹部に広がる。水痘・麻疹・梅毒などと類似
 多くの場合は自然軽快する(2~4週)が、小児・免疫抑制状態では重症化・死亡例あり
 重症例では、肺炎・敗血症・脳炎を起こしうる
 死亡率:0-11%(先進国では稀)

7) 確定診断
 水泡内容液・痂皮・血液を用いたPCR、ウイルス抗原、抗ウイルス抗体

8) 治療
 対症療法
 治療薬:シドフォビル(抗サイトメガロウイルス薬)、テコビリマット(天然痘治療薬) - いずれも海外のみ流通
 天然痘ワクチンは発症予防効果あり(約85%)

9) 情報
 厚生労働省「サル痘について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.html

 国立感染症研究所「サル痘とは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

 WHO: Multi-country monkeypox outbreak: situation update
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2022-DON396

 IDSA: Monkeypox: What You Need to Know
https://www.idsociety.org/public-health/monkeypox/

 CDC/IDSA: Monkeypox: Updates on Testing、 Vaccination & Treatment(動画)
https://www.idsociety.org/multimedia/clinician-calls/cdcidsa-monkeypox-updates-on-testing-vaccination--treatment/


一般社団法人日本集中治療医学会 危機管理委員会