U35月例報告 2026年度4・5月

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2026年5月

■座談会報告
第1回英語論文怖くないよ部屋
テーマ:英語論文読解レクチャー~Introductionの「型」を学ぶ~
報告者:相川 玄  開催日:2026年4月13日・27日
今回は、U35プロジェクトが始動してから「初めての取り組み」となる新企画【英語論文怖くないよ部屋】を開催しました!
本企画は、特に「論文や研究に興味はあるけれど、英語論文にはハードルを感じている」という看護職の皆さんに向けたレクチャーですが、もちろん多職種の方も大歓迎のオープンな勉強会です。講義では、U35メンバーである講師の今井けいさんより「論文が読めない原因は英語力や専門知識の不足ではなく、論文の構造、つまり『型』を知らないことにある」という解説があり、目から鱗が落ちる思いでした。身近な看護記録のSOAPを例に挙げながら、論文の基本構造である「IMRAD(イムラド)」について学びました。特に今回は「Introduction」の構造にフォーカスし、Introductionが「既知の事実(テーマの重要性)」、「未知の課題(問題提起)」、「研究の目的」という3つの段落で構成されていることを講義していただきました。
さらに講義のあとには実践的な「演習」を実施し、人工呼吸器の離脱に関するABCトライアルの論文を具体例として、実際の英語論文のIntroductionの読解に挑戦しました。論文の「型」をあらかじめ意識して読むだけで、初学者であっても著者の意図や研究の目的がすっと理解できることを参加者全員で実感でき、非常に有意義な時間となりました。U35では、日々の臨床の疑問や多職種連携に関するディスカッションだけでなく、こうした研究や論文読解の基礎を学べる機会も充実しています。「何から手をつければいいかわからない」と迷っている方は、ぜひ一度【英語論文怖くないよ部屋】やU35の活動を覗いてみてください!同世代の仲間と一緒に、楽しくステップアップしていきましょう。
第36回緩和ケア座談会
報告者:吉澤 和大  開催日:2026年4月15日
今回の緩和ケア座談会では、年度初めということもあり、ウェルカム会と称して、みんなの救急集中治療×緩和ケアに関する取り組みや悩みに関して語らう会を行いました!
たくさんの方が参加してくれて、スモールグループディスカッションの形式で、皆の想いや意見を聞いてきたのですが、院内での仲間作りと、ACPの普及の方法というところが、みんなの大きな悩みのポイントでした。
仲間作りに関しては、ステークホルダーとつながる、4学会合同ガイドラインに向けた院内のルール作りなどをきっかけにするなどの意見が出て、ACPの普及に関しても、成功例の共有から意識改革に繋げていくなどのアイデアも出てきました。どちらも一回のウェルカム会で解決するものではないので、引き続きディスカッションをしていきたいと思います。
個人的には、今年は4学会合同ガイドラインが出て、6月から緩和ケアサポートチームの加算対象が、がん・心不全だけでなく、腎不全・末期呼吸器疾患に広がるということで、急性期の緩和ケアの可能性が広がる、「急性期緩和ケア元年」になるのではないかと期待しています。その最前線に皆で立っていられるよう、引き続き活動を続けていきます。
U35 看護師ミーティング
テーマ:申し送りについて
報告者:筒井 梓  開催日:2026年4⽉30⽇
今回は、看護師の業務引き継ぎ時の申し送りをテーマに座談会を⾏いました。トークの始めに、秋⽥⼤学医学部附属病院の渡辺桃乃さんに、⾃施設の現状、申し送りに関する⽂献紹介、個⼈的な考え・思いについてをプレゼンしていただき、参加者同⼠で意⾒交換を⾏いました。参加者のみなさんの施設間を⽐較したところ、申し送りを実施している施設と全くしていない施設、申し送りのテンプレートを使っている施設とフリー形式の施設など、施設によってさまざまであることがわかりました。また、クリニカルパスが適応されている場合は申し送りを省略するルールが設定されている部署などもあり、施設間の⽐較ができてとても有意義であったと思います。
座談会後半には、申し送りの必要性について、それぞれの意⾒を確認することができました。申し送りを⾏う意義には、カルテでは伝わらない内容を伝えたり、患者情報を要約するトレーニングにつながったり、デバイス・持続点滴・⼈⼯呼吸器等を管理する上での責任の所在が明確になるなどがありますが、その⼀⽅で、申し送りのために時間外勤務となってしまったり、申し送りを全く⾏わない施設でも特にトラブルが無いことなど、さまざまな事実もあることがわかりました。これらを踏まえ、申し送りのあり⽅について部署として何に重点を置くかが重要であるという内容で、今回の座談会を締め括りました。
第2回英語論文怖くないよ部屋
テーマ:英語論文読解レクチャー~Introductionの演習・Methodsの講義~
報告者:相川 玄  開催日:5月11日・25日
大好評の新企画【英語論文怖くないよ部屋】ですが、5月も熱気あふれる学びの時間を共有しました!今回は、実践的な「演習」と新たな「型」を学ぶ講義の2本立てで活動を行いました。
①5月11日:Introductionの演習~みんなで宿題の答え合わせ!~
4月末の演習で出された宿題の答え合わせとして、実際にIntroductionの読み方を実践しました。題材は参加者の関心が高かった「輸液(バランス型晶質液と生理食塩水の比較)」に関する2本の論文です。一人で英語論文に向き合うと挫折してしまいそうになりますが、同世代の仲間と一緒に答え合わせをする感覚で取り組むと、スラスラと読めるから不思議です!実際に読んでみることで、Introductionが「全体の背景」「分かっていること・分かっていないこと」「研究の目的」という3つの要素でいかに綺麗に構成されているかを確認でき、前回の学びを確かなスキルとして定着させることができました。
②5月25日:Methodsの講義~Methodsは「再現」のためにある~
続いて5月25日には、論文の「Methods(研究方法)」セクションの読み方レクチャーを開催しました。講師の今井さんより、「Methodsは他の研究者がそっくりそのまま『ものまね』できるように書かれた、いわば看護技術の手順書のようなもの」という非常に分かりやすい解説がありました。講義では、「PICO/PECO」のフレームワークを用いて対象患者や比較群を整理する方法や、適格基準・除外基準の考え方について学びました。さらに、前回からおなじみの「ABCトライアル」の論文を例に、主要評価項目(Primary Outcome)である「Ventilator-free days(人工呼吸器離脱日数)」が、途中で死亡した患者の影響を正しく組み込めるように工夫された優れた指標であることを教わり、目から鱗の連続でした!
プロトコルや特殊な英語表現を見ると難しく感じてしまいますが、生成AIなどのテクノロジーもうまく活用しながら、「誰を対象に、何と何を比較しているのか(PICO)」を意識すれば決して怖くありません!
U35の【英語論文怖くないよ部屋】では、座学で終わらず、宿題や演習を通じて仲間と一緒に確実にステップアップできる安心の環境が整っています。
「一人で論文を読むのはまだ不安」という方も、多職種・初学者大歓迎ですので、ぜひお気軽に活動を覗きに来てください。一緒に楽しく研究への第一歩を踏み出しましょう!
U35 看護師ミーティング
テーマ:せん妄について考える回
報告者:松宮 祐希  開催日:2026年5月21日
今回は、東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻 今井けいさんよりせん妄に関するお話をいただき、その後、参加メンバー間で情報共有を行いました。
はじめに、せん妄と看護、研究に関する内容から、「なぜせん妄が問題となるのか」について学びました。せん妄評価は日常的に実施されていますが、看護師がCAM-ICUやICDSCを正しく評価できなければ、特に低活動型せん妄を見逃してしまう可能性があることを改めて認識しました。
また、せん妄研究においては、未だ明らかになっていない部分も多く、昼夜のリズムを整えることや、リハビリテーション、家族参加など、それぞれの施設の特徴に合わせて実践していく必要性を感じました。
施設によっては、人工呼吸器装着中の患者に対して外気浴を実施している病院もあり、施設間での情報共有を通して、新たな視点や刺激を得ることができました。
さらに、薬剤師の方も参加されており、DEXの使用についても専門的なお話を伺うことができ、大変学びの多い座談会となりました。
リハビリチャンネル座談会
報告者:中西 恭介  開催日:2026年5月22日
今回は、北里大学病院の苅谷英紀さんに、昨年度の日本循環器理学療法学会学術大会Best Clinical research award受賞演題である「安定期心血管疾患患者における推奨身体活動量に対する6分間歩行距離の年代別基準値」についてご紹介いただきました。地域在住の安定した心血管疾患患者における身体活動量の意義や身体機能評価の活用、長期的な疾患管理のあり方について活発な議論が交わされました。また、参加者からは臨床研究のデザインや解析手法、研究の発展性に関する相談も寄せられ、研究活動に関する意見交換の場としても大変有意義な時間となりました。
第2回おくすり座談会
テーマ:第2回おくすり座談会 SSCG2026
報告者:荒川 希美  催日:2026年5月26日
SSCG2021と比較してSSCG2026で推奨度などに変更のあった項目を中心にレクチャーを行い、その後、参加者で意見交換を実施しました。今回の座談会では特に、抗菌薬の延長投与・持続投与およびde-escalationに関する実践状況と課題について議論が深められました。
抗菌薬の持続投与については、敗血症症例に対して実際に持続投与を行っている施設は1施設のみでした。3時間の延長投与を経験している施設は2施設あったものの、いずれも日常的に行っているわけではなく、治療に難渋する症例に限定して適用しているとのことでした。また、持続投与プロトコルの導入に向けて適応外使用申請を提出しているものの、実施には至っていない施設もありました。高齢患者が多い地域の施設からは、腎機能などの背景を考慮すると持続投与を提案しにくいという意見もあがり、患者層による制約も示されました。さらに、持続投与や延長投与を行う際には、ルート確保の制限や薬剤の安定性・配合変化といった実務的な課題も多く、導入の障壁となっている現状を共有しました。
抗菌薬のde-escalationについては、多くの施設がカテコラミンの減量状況、乳酸値の推移、培養結果などを参考に時期を判断していることが確認されました。AST(抗菌薬適正使用支援チーム)や感染症科の介入状況は施設により異なるものの、指定抗菌薬を使用している場合にはASTがフォローし、助言を行う体制を整えている施設が多くありました。また、広域抗菌薬を使用している症例を週1回のカンファレンスで取り上げる運用を行っている施設もあり、これは長期使用の抑止力として機能しているとの報告がありました。

発行者:U35プロジェクト運営委員会