略 歴
2003年群馬大学卒。救急科専門医、小児科専門医、認定小児科指導医。臨床は小児科医としてスタートし、小児救急・集中治療を志して国立成育医療研究センター、東京都立小児総合医療センターで勤務。2012年から約2年間、厚生労働省医政局指導課(現:地域医療計画課)に医系技官として出向し医療行政に従事。青梅市立総合病院(現:市立青梅総合医療センター)、群馬大学医学部附属病院、前橋赤十字病院で成人救急・集中治療ならびにDMAT等の災害医療と並行して小児重症患者の初期診療も行ってきた。現在は群馬県立小児医療センターPICUに勤務する一方、診療報酬改定を中心とした学会活動にも従事し、現場と行政の橋渡しを担うべく努めている。公開日:2026年6月16日 ※所属・役職等はすべて記事公開時点のものです
Q 集中治療の魅力とは?
できる限り身体機能を維持した状態で高度な侵襲を受けた急性期病態からの回復を支えることに惹かれました。身体所見をはじめ、多様なパラメータを元に患者さんの状態を分析し、治療を組み立てていくことも面白いです。
急性期の目まぐるしい変化を多職種の得意分野を持ち寄ることで支え、協働できるところにも魅力を感じています。
急性期の目まぐるしい変化を多職種の得意分野を持ち寄ることで支え、協働できるところにも魅力を感じています。
Q 集中治療との関わり
当院はHigh intensity ICUを有しており、ICUとER・病棟管理のグループに分かれて定期的にローテーションしています。加えてスキル維持のために月2日は小児科の日当直勤務を担当しています。
Q この道に入って感じたこと
多職種連携の強みを感じています。診療に厚みが増しますし、診療の一部を分担することによって、治療や患者・家族への説明に時間を掛けられるので有り難いです。年々その傾向が強くなってきていて、集中治療領域でチーム医療の成熟具合を実感します。一方、ICUで濃厚に医療資源を投入するために、一般病棟転棟後とのケアの差や、ICU以外の診療科との温度差が生じて患者や双方のスタッフに負担を掛けないか、入室中から配慮する必要が増えていると感じています。
少子化が進む中で、小児医療の地域格差を減らしたい
Q これまで所属してきた施設を選んだ理由
外傷を含む小児の重症患者診療に関わりたいと考えていました。地方で内因・外因問わず小児の全てに関与するall in oneの施設はないことから、救急・集中治療全般が盛んな当院を希望しました。
Q これから力を入れていきたい分野
もともと専門にしていた小児により深く関わっていきたいです。少子化が進んで患者数が少なくなる中で、どうしたら地方で子どもたちを守り、集中治療を提供できるのか?PICUだけがその答えか…小児医療を中心とした地域格差の軽減についていつも考えています。しかしその答えは必ずしも集中治療だけに留まらないかもしれません。医系技官としての経験が学会の委員会活動に活きている
Q 今後のキャリア
現在は年齢や患者背景に関わらず、オールラウンドに重症患者の急性期診療ができる医師を目指して仕事をしてきました。それと並行して、略歴のとおり厚生労働省に医系技官として出向し、医療の枠組みと言える医療提供体制に関する業務を担当させていただき、これが2番目のライフワークになっています。出向後は診療報酬改定や小児救急・集中治療全般に関する各学会の委員会のメンバーとして活動させていただいています。私が委員会で求められている役割は現場と行政の橋渡し(リエゾン)です。出向経験で得た行政的視点から意見を出し、課題解決の役に立てるよう心掛けています。
臨床も委員会活動もやりがいのある仕事ですが、後者は現職場に直接反映できる仕事ばかりではない(むしろ少ない)ため、職場、特に上司の理解に助けられ今に至っていることを感謝しています。
Q 多職種連携で大切にしたいこと
私が専門としている小児は重症患者の数が少なく、少子化でその傾向は更に強まることから、単一医療機関ならびに自県だけでの診療完結は困難が予想されます。今は各地で属人的な要素に頼る部分が多く、体制は不完全かつ脆弱と言えます。この環境下で居住地域によらず医療の質を高めていくためには県内の医療機能分担、病院間の医療者、患者移動の流動化や、時には県境を越えた医療機関間の連携強化に関する制度化が必要です。そのために視点を患者さんと医療者から外に広げて、地域や行政も加えた多職種連携を大切にしたいと考えています。Q 印象に残る経験
最初に勤務した大学病院でお世話になり、後にその下で働かせていただいたICUの専従医師です。患者さんへの診療もさることながら、当時初期研修医の私も含め接する相手の職種や経験年数に関係なく丁寧に説明・指導してくださいました。ICUにとって必要な要素のひとつである心理的安全性を当時から体現されていたのだと思います。先生は私の臨床におけるロールモデルのひとりになっています。
ICUでは全ての職種が委縮することなく力を発揮できる環境が大切
Q 次世代の仲間へのメッセージ
患者さんと同じくらい一緒に働く全ての仲間を大切にしましょう。ICUでの診療を完結させるには、全ての職種が萎縮することなく力が発揮できる環境が大切です。また、ICUでは様々な診療科から幅広い知識を求められます。年々時間に追われるようになってしまうので、その基盤となる各種資格は早期に把握して、速やかに着手しましょう。その過程自体が皆さんを成長させてくれます。Q 10年後の自分へ
仕事にかまけて家族や自分自身のことが疎かになっていないように気をつけつつ、目標にしていた地域の子どもたちの役に立つ仕事と、若い世代の方々にその一部を伝える仕事ができていたらいいなと思います。








