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認知機能障害

認知機能障害はICU退室患者の約30~80%に生じるとされ(図)、数か月から数年、場合によっては生涯にわたり症状が持続します。記憶力や注意力の低下、実行機能の障害、認知処理速度の低下などにより日常生活に支障を来し、患者のQOL低下や家族の介護負担の増大をもたらします。

PICSにおける認知機能障害の代表的なものは、①せん妄:Delirium、②認知症:Dementia、③うつ病:Depressionで、それぞれの頭文字をとって3Dsと呼ばれています(図1)[2]。中でもせん妄はICU滞在中から生じる場合が多く、長期的な認知機能障害との関連が数多く報告されています。他にも、患者の背景因子や治療関連因子、ICUを取り巻く環境因子など、認知器機能障害に関わる因子は多岐にわたるため(表1)、ABCDEFGHバンドルの遵守やリハビリテーション、睡眠管理といった包括的な対策が求められます。

超高齢化社会を迎えつつあるわが国において、PICSにおける認知機能障害は今後ますます増加することが予想されます。認知機能障害の予防だけではなく、どのように認知機能障害と付き合っていくかという観点も欠かせません。まずは医療従事者が認知機能障害についての理解を深め、患者とその家族の理解と協力を促し、より良い生活を送ることができるように支援することが重要です。
ICU-acquired weakness(ICU-AW)の診断基準
ICU-acquired weakness(ICU-AW)の診断基準

引用・参考文献

1) Society of Critical Care Medicine.
https://www.sccm.org/MyICUCare/THRIVE/Post-intensive-Care-Syndrome. Accessed January 31, 2020.

2) Mandebvu F, Kalman M. The 3 Ds, and newly acquired cognitive impairment: issues for the ICU nurse. Crit Care Nurs Q. 2015; 38(3): 317-26.