「パキロビッド®パック」に関する注意喚起

2022年2月15日
ご承知の通り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬『パキロビッド®パック』(一般名:ニルマトレルビル錠/リトナビル錠、以下「パキロビッド」)が、医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認を得ました。
本剤の投与が行われた際には、服薬中の薬剤や新規に開始する薬剤との相互作用に関し、重要な注意点がございますので、周知させて頂きます。

*パキロビッドに関して
本剤の特例承認に関しては、厚生労働省から正式な通達が出されております。
( https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000895921.pdf )
添付文書における効能効果では、『臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること』、また、『本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること』、『重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性は確立していない』とのコメントが付けられております。また、本剤は、中等度の腎機能低下(eGFR 30mL/min以上60mL/min未満)では用量調整が必要となります。

パキロビッドに関する注意喚起は、日本感染症学会から報告されている『COVID-19に対する薬物治療の考え方 第13版』の7ページ以降に記載があります。
( https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_220210.pdf )
パキロビッドに含有されるリトナビルは CYP3A の強い阻害作用、CYP1A2 の中等度誘導作用、P-gp および OATPの阻害作用などを有するため、薬物間相互作用に注意する必要があり、本剤を使用する際には、服薬中の薬剤や、新規に開始する薬剤との相互作用について、添付文書等を事前に確認する必要があります。
既に HIV 治療薬として使用されているリトナビル製剤の併用禁忌薬には、キニジン、ベプリジル、フレカイニド、プロパフェノン、アミオダロン、ピモジド、エルゴット誘導体、PDE5 阻害薬、アゼルニジピン、リバーロキサバン、ジアゼパム、クロラゼプ酸、エスタゾラム、フルラゼパム、トリアゾラム、ミダゾラム、ルラシドンなどがあります。
欧米における併用禁忌薬剤については、国立国際医療研究センターの薬剤リストを参考にしてください。
( https://www.hosp.ncgm.go.jp/phar/140/20220210.pdf )

本剤の適正使用につきまして、ご留意のほど、お願い申し上げます。


一般社団法人日本集中治療医学会