研究倫理に関するよくある質問(FAQ)

一覧
Q1. 研究倫理全般について(総論)
Q2. 学術集会の一般演題登録に関して(筆頭演者)
Q3. 一般演題抄録と発表の指導に関して(指導者)

初版 2018年9月27日


研究倫理全般

Q1-1. いまなぜ「研究倫理」が問われているのですか?

A 日本集中治療医学会が社会に向けて広く研究の成果を公表する場として、学術集会(支部を含める)、日本集中治療医学会雑誌、Journal of Intensive Careがあります。これらの発表成果についてはある一定の事前申告と審査を経たのちに公表されています。事前申告の目的のひとつは、日本集中治療医学会雑誌の「不正論文取り扱い規約」に示されるように、不正論文をなくすことです。不正論文とは、査読審査によって盗用(盗作)、重複投稿、類似投稿、あるいは捏造の事実が確定した論文を指します。同様に、学術集会においてもその質を高めるために不正発表をなくす必要に迫られています。こうした不正事例を見逃すことなく、1つ1つに真摯に対処していく姿勢がプロフェッショナル集団には求められています。

Q1-2. 研究倫理委員会はどんな活動をするのですか?

A 研究倫理委員会は学術集会における不正発表をなくす目的で設立されました。不正発表とは、二重発表、抄録内容と異なる発表、その他の倫理上問題のある発表を含みます。二重発表とは、既に発表あるいは演題登録中の抄録と実質的に同じ内容の発表を指します。研究倫理委員会はこれらの不正発表の疑義の事案に対処し、再発を防止するとともに「研究倫理」の啓発・普及などの教育活動を行っていきます。日本集中治療医学会雑誌、Journal of Intensive Careでの当該委員会で対処しきれない事案に対しても検討していきます。

Q1-3. 「二重発表」が許容される場合はあるのでしょうか?

A 二重発表はとかくいけないことのように思われがちです。同じ内容で発表の機会を2倍に増やすだけなら避けるべき行為です。しかし、前回の発表がある地域に限定されていたものをもっと多くの聴衆に知ってもらう価値がある、あるいはある領域の職種に限られていたものを違う領域の職種にも周知する必要があると思う場合、「二重発表」であることを承知の上で、演題登録することは許される行為です。その場合、必ず二重発表を申告するボックスをチェックし、抄録本文中にも必ずその旨を明記してください。採択は査読員や会長の判断に委ねられます。

学術集会の一般演題登録

Q2-1. 私の自発的な研究ではなく、上司または先輩に一般演題で登録するように言われました。これが「二重発表」に該当するか判断できません。どうしたらよいでしょうか?

A 共同演者の中の最高責任者に二重発表に該当するか確認してください。二重発表で登録する必要がある場合には、その理由を尋ね、その内容を通信欄に記載してください。

Q2-2. 同じ内容の発表を本学術集会より先に行いましたが、その抄録またはプロシーディング(印刷物またはPDF)が公開されるのが1年後なので二重発表に当らないと思いますが、いかがでしょうか?

A 印刷物(PDF)やホームページでの公開が発表から遅れることがあっても発表した時点がこの演題の登録より前か後かで判断します。発表した時点が本学術集会の演題登録より前なら「二重発表」に該当します。

Q2-3. 本学術集会での発表内容を他の研究会(学会)で発表したいのですが、それについても規制されますか?

A それについては他の研究会または学会の規定に従ってください。

Q2-4. 支部学術集会でも「二重発表」やそれ以外の不正発表を同様に扱うのでしょうか?

A 帰属する支部会の判断によります。

Q2-5. 国外で既に発表したものを一般演題で登録したいのですが、「二重発表」に当たりますか?

A 日本語以外で発表したものを日本語で発表するのであれば二重発表に該当しません。英語で発表したものを再度、英語で発表する場合には二重発表に該当します。

Q2-6. 既に発表したものより症例数や検体数を増やして発表するので、「二重発表」に該当しないと判断しましたが、いかがでしょうか?

A 症例数や検体数を増やしても結果や結論が変わらなければ同じ内容と判断します。続報として二重発表で申告し、通信欄に前回発表の学会名と第何報かを記載してください。

Q2-7. 発表前に症例数や検体数が増えたので、抄録とは数値や結果が異なることを断って発表したほうがよりよいと判断しましたが、いかがでしょうか?

A 抄録に忠実な発表を行ってください。発表前に研究方法の間違いに気づき数値の修正が必要な場合には、演題取り下げが正しい判断です。そして次回に再チャレンジするべきでしょう。抄録内容と著しく異なる発表は発表の機会を許可した根拠が抄録にあるため査読審査を経ていない不正発表とみなされます。座長が発表を中止する場合があります。

Q2-8. 院内の発表会で手作りの抄録集が作成され、配布されます。印刷物に間違いありませんが、「二重発表」に該当すると判断したほうがよいでしょうか?

A 先の発表とは、一般に広く公開されているものを指します。ホームページで公開されたり、院外に広く配布されたものでなければ申告する必要はありません。ただし、判断に迷うような場合には、二重発表に該当するとし、その旨を通信欄に記載してください。

Q2-9. 演題登録のときは深く考えなかったのですが、発表前に「二重発表」に当ることに気づきました。どうしたらよいでしょうか?

A 速やかに会長に連絡し、演題取り下げを行ってください。

Q2-10. 以前演題登録を行ったものの未発表に終わったものがあります。「二重発表」の自己申告を行うべきでしょうか?

A 演題取り下げに間に合わず、天候や健康上の理由などで当日の発表が行われなかった場合をさしていると考えます。未発表の抄録については、二重発表で申告し、その学会(研究会)名、開催年月日、未発表に至った理由を通信欄に記載してください。

一般演題抄録と発表の指導

Q3-1. 以前に部署の一員に発表してもらった研究会の抄録がどのように扱われるかわかりません。参加者だけに配布されるのかホームページに掲載されるか知りません。どうしたらよいでしょうか?

A 抄録が印刷物になるのであれば二重発表で申告し、その研究会の名称を通信欄に記載し、再度発表させる理由を明記するように指導してください。また抄録でなくともパンフレットで同じ内容が紹介される場合がありますので、発表させる研究会でのその後の取り扱いに十分責任をもってください。演題の修正期限が過ぎたのちに二重発表であることが判明したら速やかに会長にその旨を報告し、演題取り下げを行ってください。

Q3-2. 以前働いていた部署の一員が無断で一般演題登録をしたようで、私が「二重発表」に当ると注意しても従いません。どうしたらよいでしょうか?

A 発表前でしたら会長に、発表後でしたら研究倫理委員会に報告してください。

Q3-3. 抄録内容と著しく異なる発表であるかどのように判断したらよいでしょうか?

A 学術集会での発表に備えて必ず共同発表者と一緒に発表の予行演習を行ってください。その際に抄録の内容と発表が同じか確認してください。

Q3-4. 罰則は共同発表者にも及ぶのでしょうか?

A 不正発表の審査は当事者の言い分を十分にきき、当事者たちの職種、キャリア、指導体制などから総合的に判断し、慎重に対処します。処罰するのが目的でなく、再発防止などの教育的観点から指導します。共同発表者も処罰の対象になる場合があります。