祭りのあと〜第50回日本集中治療医学会学術集会を終えて

第50回日本集中治療医学会学術集会
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第50回日本集中治療医学会年次学術集会は、2023年3月2日〜4日、国立京都国際会館における現地開催と、後日オンデマンド配信(許可されたプログラムのみ)の組み合わせで開催されました。

2020年2月に始まった新型コロナウイルス感染症の日本国内流行は、2020年3月の第47回学術集会から、48回、49回と3年連続で本学会年次学術集会の現地開催を阻んできました。ゆえに今回は、奇しくも4年前に同地で行われた第46回学術集会から4年ぶりの現地開催となりました。 学術集会の決定から準備段階のすべてがコロナ禍中にあったために、開催に際しては、保守的な計画をとらざるを得ませんでした。リスクヘッジを重視して突然の開催中止におけるコストや負債を極力減じられるように、規模を可及的に縮小しました。会場数やプログラム数、招宴など、すべての内容を概ね第46回の80%を目標に削減しました。ポスタデザインも、映像も、ゲスト演者も、過去集会に比すると究極のコストカットの上で選定しています。結果として様々な不足や御不便をおかけすることになり、申し訳なく思います。 開催初日はときおり驟雨が宝ヶ池を駆け抜ける肌寒い天気でしたが、最終日には希望通り明るい春の日差しが会場を照らしてくれました。

今回の学術集会の最大の意義は、実際に現地に集合して直接的な出会いや議論を交わすことにありました。オミクロン株流行以降は、爆発的な重症患者数の拡大や医療崩壊危機は回避される可能性が高まっていましたし、日常臨床や移動制限もほぼ正常化されていたので、現地開催を主とする方針は約1年前から変更しませんでした。 学術集会の目的は、直接的かつ偶然の出会いにあると思います。知識や技術の習得はネットでも教科書でも病院にいても出来ます。学術集会の存在意義は、専門領域の同業者が一同に会し、直接ふれあうことにより得られるどちらかと言えば予期しない偶然の出会い(serendipity)を楽しめることです。とにかく学術的な内容はさておき、参加者がそれぞれの立場で楽しめることを目的としました。少なくとも運営の広島組は、パーカーから前田珈琲にマールブランシェ、「風を待って」「マリーゴールド」合唱まで学園祭のノリで十分に楽しんだと思います。学術集会はお祭りですので、神輿を担ぐ当の主催者自身が楽しめればひとまず合格で、あとは皆様がそれぞれの立場でそれぞれに合ったなにかを1つでも見つけていただけていたら、それで良いと思います。観光客にまみれない最後の京都観光を、逃されていなければいいのですが。 自省他省はあるものの、会長は1回きりですので、残念ながら反省を次に活かすことは出来ません。51回学術集会に伝えられるところは多少あり、可及的に申し送り次回のよりよい学術集会につなげてもらいたいと思います。 最後になりましたが、学術集会に参加頂いた8,943名(招待者含む、学術集会歴史上最多)の皆様、日本集中治療医学会一般会員、評議員、功労/名誉会員及び理事の皆様、御協力頂いた企業の皆様、日本コンベンションサービスの皆様には、このヘンテコかつ壮大なお祭りにお付き合いくださいましたことに、改めて感謝申しあげます。

ありがとうございました。
2023年5月
新緑と観光客に溢れる京都にて

第50回日本集中治療医学会学術集会・会長
広島大学大学院医系科学研究科
救急集中治療医学・教授
志馬 伸朗




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