U35 月例報告 2023年5月

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2023年7月6日

■Topics
第23回KSCCM/JSICM合同会議 
報告者:井上 優汰

 岐阜県で勤務しております、外科専攻医4年目の井上です。2023/04/26〜2023/04/28に韓国のSeoulにて開催されたThe 23th Scientific Joint Congress with KSCCM-JSICMに参加し、ポスターセッションで発表させていただきました。初の国際学会発表で非常に不安でしたが、何とか無事に終了しました。
 U35代表の野田氏を含めてアジア各国からのpresenterの流暢な発表に感銘を受けましたし、同じ施設から同行した理学療法士がtravel grantを獲得しており一層励みになりました。参加費と宿泊費を負担いただけたのは非常に有難かったです。人脈が広がり、韓国料理やマッコリも堪能したり(野田氏と街中をうろうろしたり)、良い思い出になりました
 同学会にて、Seoul National Universityの集中治療科のCho教授とlunch meetingを行い、韓国の集中治療専門医取得までの過程や、メディカルスタッフの距離感など、共通点や相違点について意見交換しました。Cho教授は若手の交流についても非常に意欲的で、今後の韓国集中治療医学会若手メンバーとの交流が立案されました。
 またヨーロッパ集中治療医学会との交流も、JCISM2024での実現に向けて着々と前進しています。私自身は心臓血管外科としての修練もしくはresearchでの海外留学を考えていますが、海外の心臓血管外科を取り巻く集中治療のシステムやトレンドを学び、本邦に輸入することも目標の一つです。今年はJSICMの50周年記念事業として様々な企画が行われていますし、U35を対象とした国際交流に関するアンケートでは医師だけではなくメディカルスタッフの関心も高いことが分かりました。言語やお金など様々な障壁がありますが、本企画を通じて若手医療者の海外へのハードルが少しでも低くなればと考えています。

■座談会開催報告
「U35キャリア形成座談会」2023年5月20日開催 
報告者:三森 薫

 U35内で子育て世代のキャリア形成に関する初めてのオンライン座談会を行い、のべ7名が集まりました。目的は、子育てと専門医研修の両立に悩む同世代間で経験を共有し、各人がその問題を言語化し解決する機会をつくることです。今回は、産休退園(第二子以降産休時に長子が保育園退園となること)を職場への上申で免れた経験や、育児を機に妻の実家近くへ夫婦で引っ越した経験、有給休暇すらとれない職場で育休取得できるのかという悩み、シフト作成をしているメンバーから各勤務者の多様な働き方を実現する工夫、長期的なキャリアプランを描きづらい看護師界での悩みなどを共有しました。
 参加者からは、“自身の職場では少数派で職場での課題共有が難しいことがあるが、悩みの共有により心強く思えた”、という声があがりました。今後もこのように気の張らない場で自身の悩みを言語化し、周りと対話することを通して、仕事と家庭の「両立」だけでなく「相乗効果」をみなが体現できたらよいと思います。

「U35緩和座談会」2023年5月23日開催 
報告者:石上 雄一郎

緩和ケアに興味がある集中治療医とディスカッションをしました。
 ・ICUに緩和ケアが実際にどのように入るのか
 ・緩和ケア医のキャリアの積み方
 ・移植患者は心臓外科と治療方針で意見の相違が起こりやすい
 ・移植患者/VAD患者の意思決定支援
などのトピックを扱いました。
 特に移植患者は大学病院で専門医との話し合いを行うことが多く、経験がない医療者も多かったため、勉強になりました。ハイリスク手技を行う際のコミュニケーションやBest Case Worst Case シナリオの考え方を今後共有していこうと思います。
(参考文献:Taylor LJ, Nabozny MJ, Steffens NM, et al. A Framework to Improve Surgeon Communication in High-Stakes Surgical Decisions. JAMA Surgery. 2017;152(6):531.)
「U35 研究座談会」2023年5月26日開催 
報告者:河内 章

 U35のメンバーに千葉大学救急集中治療医学教授の中田孝明先生を交えて、臨床研究座談会を行いました。事前にトピックスをいくつかリストアップし、座談会で中田先生にお話しいただきました。「先行研究の探し方」「効率の良い論文の書き方」「時間の作り方」などなど、経験豊富な中田先生ならではの視点から、とても有意義なレクチャーを行っていただきました。個人的には次々と論文をどうやって生み出していくのか、執筆をどのように進めていけばいいのか、新しい視点を知ることが出来ました。U35メンバーからも積極的な質問やディスカッションが盛り上がり、充実した座談会だったかと思います。
 研究の仲間を増やして、相談して、高めあうにはU35は最高の環境です。またの機会を楽しみにしたいと思います!

発行者:U35プロジェクト運営委員会