U35月例報告 2025年6月
■Topics日本麻酔科学会第72回学術集会 U35活動報告
報告者:西田 圭佑 開催日:6月5日・6日
2025年6月5日(木)・6日(金)に開催された日本麻酔科学会第72回学術集会において、U35企画としてブース出展および日本麻酔科学会U40とのコラボ座談会を実施しました。
ブース企画では、集中治療専門医制度に関する資料の配布、来訪者への質疑応答、アンケート調査を行いました。また、U35メンバーが常駐し、来訪者に対して集中治療領域への進路に関するアドバイスを行いました。2日間のブースには、初期研修医13名を含む合計22名の来訪があり、活発な意見交換が行われました。
6月6日(金)16:00〜17:00には、日本麻酔科学会U40との共催でキャリア座談会を開催しました。U40メンバーと協力し、ブースを訪れた若手医師に対し、多様なロールモデルやキャリア形成に関する相談対応を行いました。特に、集中治療専門医の取得方法、進路、出産や子育てとキャリアの両立、医局の選び方といった幅広い質問が寄せられました。
今回の企画では、集中治療専門医制度に関する情報提供が好評を博したほか、前年の来訪者が再訪し、継続的な関心の高さもうかがえました。また、「集中治療の相談はここへ」という認知が定着しつつあり、U40との協働による相乗効果で初期研修医の来訪も多く見られました。
今後も、集中治療の魅力を若手に伝える場として本活動を発展させていきたいと考えています。


日本集中治療医学会 第9回東海北陸支部学術集会 U35セッション報告
U-35 企画Pros&Cons:「働き方改革時代の自己研鑽の位置付けを問う」
企画・座長:篠原 史都(PT, U35卒業生)、正木 宏享(RN, U35所属) 開催日:6月21日
日本集中治療医学会第9回東海北陸支部学術集会にて「自己研鑽は勤務時間内に行うべきか、勤務時間外に行うべきか」というテーマでプロコンを開催しました。
本学会の多様性を活かし、登壇者はU35の多職種で構成しました。また、メンチメーターを使用して聴衆参加型として企画しました。学会最後のセッションでしたが、フロアには50名程度集まっていただき、活発な討議を行うことができました。
時代の変化に合わせて、臨床の教育方法もアップデートしていく必要があります。明確な答えのない難しいテーマですが、様々な意見に耳を傾けながら最善の方法を探し続けることが大切であると思います。
■座談会報告
第26回緩和ケア座談会
テーマ:「セミクローズドICUなどで特に問題となる主治医絡みのコンフリクト」
報告者:吉澤 和大 開催日:6月25日
今回の緩和ケア座談会では、「セミクローズドICUなどで特に問題となる主治医絡みのコンフリクト」をテーマにディスカッションをしました。
複数医療者がかかわるが故のコンフリクトは皆さん経験あるかと思いますが、どんな課題があり、どんな対策ができるのかというポイントで話しを進めていくと、職種・施設でも違いがあり興味深かったです。大まかな点だと医療者自身の予後認識や価値観に差があり、そこにそれぞれの多忙さなどがあって、重要なすり合わせが行えず、小さなコミュニケーションエラーも重なって、チームとして同じ方向を向くのが難しくなっているというのがコンフリクトの根幹だと考えられました。それらを解消するために、日ごろからのコミュニケーションから、医療者自身の価値観も聴取して、気軽にカンファレンスを開きやすくする環境を整えていく地道な努力が必要だと思われます。
こういった環境調整は確かに大変ですが、その環境で多職種・多科でよい医療・ケアを達成できた時は、患者・家族の満足度だけでなく、医療者のwell-beingにもつながると思うので、引き続き大事にしていきたいと思います。
2025年度第2回CE座談会
テーマ:「集中治療専門臨床工学技士資格の普及に向けて」
報告者:池垣 亮太 開催日:6月25日
今回の座談会のテーマは「集中治療専門臨床工学技士資格の普及に向けて」と題して今年、今後受験を考えておられる方の疑問・質問をすでに取得されている方々が答えていくという内容でした。 現在までに3回試験が行われており、今年で4回目となります。U-35CE「集中治療専門臨床工学技士資格普及WG」の目標は集中治療専門CE取得者数増加としております。
主な質問としては
・出断範囲に関して
→みなさん集中治療CEテキストを読み込まれていました。ただ病院によっては外傷や熱傷、移植をやっていない施設もありそのあたりの勉強に苦労されていたとのことでした。
・細かい数値をどこまで覚えたか
・1次試験(人工呼吸器、血液浄化の症例レポート)突破のコツ
→普段機器の使用中点検しか携わっていない施設もありましたが、実際にレポートを書くにあたりアセスメントをしなければならないので積極的にベッドサイドで関わったとのことです。
過去問は学会HPに掲載されていますが、みなさん実際の生の声を聞けて大変参考になりましたとのことでした。
また集中治療業務を行っていても深くアセスメントまで出来ていない施設もあったようですので、受験される方の施設では試験のレポート提出というものを通してさらにアセスメントに関わっていければより良い集中治療業務に繋がっていくと感じております。
U35看護師ミーティング
テーマ:「U35 Nursing Journal Club 」
報告者:筒井 梓 開催日:6月26日
このたび、看護師座談会の中でU35 Nursing Journal Clubを開催する運びとなりました。今回は第1回目として、東京大学大学院の今井さんにSAT・SBTに関する文献をクリティークしていただき、みんなでディスカッションしました。
診療報酬の改定で SAT・SBT 加算が付くようになりましたが、U35 看護師メンバーの施設では、取り入れている施設はまだバラつきがあり、そもそもSAT・SBTの方法の施設基準が設けられていない施設もありました。また、Closed ICUなのかOpen ICUなのか、ICU医と主治医で考え方が異なる場合、ICUの中でも診療科によって患者の管理方法が変わるため、一概にSAT・SBTを取り入れられないこともあるのではないか、という意見も出ました。一方で、SAT・SBT を取り入れることで看護師教育にもつながるかもしれないとの意見もあがり、様々な可能性を話し合うことができました。
今後もさまざまな文献を取り上げてディスカッションしていきたいと思います。
発行者:U35プロジェクト運営委員会