TO JOIN THE INTENSIVE CARE TEAMインタビュー 京極 都
略 歴
2008年3月、近畿大学医学部を卒業。岐阜県総合医療センターで初期・後期研修を経て、小児重症患者の治療をきっかけに集中治療を志す。2012年に大阪母子医療センター集中治療科に異動し、2017年からあいち小児保健総合医療センターで臨床と研究に携わる。2018年に大阪母子医療センターへ戻り、2019年よりロサンゼルス小児病院で研究留学。2023年4月から国立循環器病研究センターに所属。

公開日:2025年8月1日 ※所属・役職等はすべて記事公開時点のものです

Q 集中治療の魅力とは?

小児の集中治療は、当時それほど一般的ではありませんでしたが、重症な患者さんを診る中で、「本当にこれでいいのか?」という疑問が生じ、学びたいと思うようになりました。急な病状の変化などに対応しなければいけない場面も多いですが、むしろ長期管理の中で難しい局面を乗り込えて、回復していく姿を見ることに大きなやりがいを感じます。

Q 集中治療との関わり

小児のICU(PICU)専属です。

Q この道に入って感じたこと

集中治療室で、1人の患者さんに対し、主治医1人ではなく、多くの専門家や看護師、理学療法士、薬剤師などの多職種が関わるチーム医療の大切さを学びました。かつては「私が頑張らなければ」と思うこともありましたが、チームで向き合うことで解決できる問題が多いと実感しています。皆で協力するからこそ、それぞれの知識や経験を最大限に生かすことができる。集中治療医はその中心に立ち、舵取りをする役割だと考えています。

重症小児の呼吸管理と循環動態の最適化を目指す

Q これまで所属してきた施設を選んだ理由

重症小児の集中治療を学ぶため、小児専門の集中治療施設を選択しました。その後、研究にも取り組みたいと考え、留学を経験。小児集中治療室の入室患者の多くを占めるのは先天性心疾患の患児であり、より多くの治療経験を積むため現在の施設を選びました。

Q これから力を入れていきたい分野

現在は循環器施設に所属していますが、小児の呼吸管理に以前から関心があり、特に呼吸と循環の相互作用に注目しています。呼吸は循環と密接に関係しており、その相互作用を深く理解することで、より適切な人工呼吸管理や循環動態の最適化が可能になると考えています。

臨床と研究を両立しつつ、家庭も大切にしながらこの道を楽しんでいきたい

Q 今後のキャリア

正直なところ、集中治療医としてのキャリアはまだ模索中です。子育ても始まったばかりで、これからどのようにキャリアを積んでいけるのか不安に思うこともあります。集中治療科は比較的オンオフがはっきりしているとはいえ、どこまでやれるのか自分でもわかりません。それでも、目の前のことを一つずつ丁寧にこなしながら、チームの一員として成長していければと思っています。また、私にとって研究は、臨床のモチベーションにもつながっており、今後も臨床と研究を両立しながら取り組んでいければと思っています。

Q 多職種連携で大切にしたいこと

他職種と定期的にカンファレンスを開催し、積極的な意思疎通を行なっています。垣根を越えて話し合うことでより良い医療が提供できると考えています。

Q 印象に残る経験

私は運良く、上司や同僚、環境にも恵まれてきました。看護師さんをはじめとするメディカルスタッフの方々にも多くを学ばせてもらい、日々支えられています。また、女性医師の少ない集中治療科の中で、身近に憧れる先輩がいたことも大きな励みになりました。自分も将来、そんな存在になれたらと思っています。

Q 次世代の仲間へのメッセージ

集中治療は、どの科にとっても学びの多い分野だと思います。たとえ集中治療医にならなくても、ICUでの経験は必ず役立つはずです。まずは関わってみて、そこで何かやりがいを見つけてもらえたら嬉しいです。

Q 10年後の自分へ

10年後も集中治療に携わりながら、自分なりのペースで臨床や研究を続けられているといいなと思います。仕事も家庭も大切にしながら、無理せずそして楽しく前に進めていることを願っています。