TO JOIN THE INTENSIVE CARE TEAMインタビュー 古川 豊
略 歴
1978年生まれ千葉県出身、東京電機大学卒業。他業種に従事したのち、2019年に読売理工医療福祉専門学校にて臨床工学技士の資格を取得。千葉大学医学部附属病院に就職し、現在は臨床工学センター主任として、救急・集中治療領域に専従従事。保有資格は認定集中治療臨床工学技士。

公開日:2025年9月10日 ※所属・役職等はすべて記事公開時点のものです

Q 集中治療との関わり

現在は千葉大学医学部附属病院の救急科集中治療部の先生方、スタッフとともに救急・集中治療領域にて業務にあたらせていただいています。スピード感のある救急領域から、じっくりと先を見据えながら治療を行う集中治療まで、幅広い診療領域を日々行き来しながら生命維持管理装置等を取り扱う業務を行っています。

学生時代の恩師との出会いから集中治療の道へ

Q これまで所属してきた施設を選んだ理由

学生時代の実習先が千葉大学医学部附属病院でした。ICUでの実習が興味深く、実習中ずっと質問を続けていたことが当時の集中治療部織田成人教授(現名誉教授)の目に留まったようで、機器管理室を立ち上げるので働いてみないか?と声を掛けて下さったことがきっかけです。1年間ほどは機器管理室の立ち上げに注力し、軌道に乗ってきた際に、もう一度教授よりICU業務へのシフトの声を掛けて下さり、以後集中治療業務に携わることになりました。

Q 印象に残る経験

恩師である織田教授に出会い一緒に仕事ができたことが一番です。多職種へのリスペクトも厚く、当時からICUでリハビリや薬剤師、管理栄養士や臨床工学技士(以後CE) など、メディカルスタッフが積極的にのびのびと業務にあたれる環境を作ってくださり、今の私たちがあると思っています。

Q 集中治療の魅力とは?

私にとって集中治療の一番の魅力は、治療に関する様々な論点を職種にとらわれず多職種のチームで議論でき、日々変化していく患者さんの今の状態を追いながら治療の先を考えて進めていくというチームプレイにあると思います。もちろん、医師や看護師、他職種の方としっかりと議論をするためには医療機器のスペシャリストとしてのCEの知識だけではなく、職種を超えた集中治療全般の知識研鑽が必要となります。勉強の連続で日々新しい学びや課題が現れることに、難しさとともに楽しさを感じています。

目指すは重症患者搬送のスペシャリスト。そして、学ぶ楽しさを伝える教育者

Q この道に入って感じたこと

集中治療に関わるスタッフは業種の壁なく協調して働くことを自然に実践されているといつも思っています。“前例と同じ”のような業務ではなく、個々に異なる患者さんに向き合うために多職種チームプレイが常になされていると感じています。チームの中で、私も教え、教えられる関係でありたいと感じています。

Q これから力を入れていきたい分野

私は呼吸管理にやりがいを持っていますが、最近はECMO関連の分野にも注力しています。2013年に当時まだ治療成績が上がらない中、病院の在外派遣研修事業で米国ミシガン大学病院ECMO Specialist Courseに参加させていただきました。その後、日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会ECMO プロジェクト講師として各地を回りました。
今は集中治療患者の搬送チーム業務も力を入れています。当院ではECMOカーや消防ヘリを使用した生命維持管理装置装着下の患者搬送を行っているので、重症患者搬送のスペシャリストと呼ばれるようになってみたいです。

難しいだけではない。自身の職種に留まらない知識・技術の研鑽を積み、実践していく楽しみが、集中治療にはある

Q 今後のキャリア

恩師の諸先生方のような教育者となれるように努力したいと思います。日々新しい知識をアップデートしていく必要がある集中治療領域は、当院CEの中でも専門とするのは難しそうというイメージが強いようです。そのイメージを払拭し、多職種チーム医療の大切さ、学びと実践の楽しさを広めていけるような教育者になりたいと思います。
また、地域や学会を通してECMO教育事業や集中治療患者の搬送チーム育成など、メディカルスタッフが強みを生かし発信していけるような教育分野に尽力したいと思います。

Q 多職種連携で大切にしたいこと

私自身、多職種連携は集中治療では中心の考えだと捉えています。コミュニケーションの重要性と他職種の仕事を理解してもらうため、新人CEにも早期から病棟内での多職種で行うリハビリテーションや搬送介助など、声を掛け合う業務に積極的に関わらせています。

Q 次世代の仲間へのメッセージ

集中治療専任のCEは、業務の幅も広く患者さんの症例も多岐にわたるため日々の勉強と技術研鑽は全く限りがなく大変です。ですが、それ以上に日々新しい知見にふれることが出来る楽しさ、多職種と積極的に関わることでCEの枠にとらわれない知識を習得できる喜びを知って欲しいと思います。

Q 10年後の自分へ

日々一歩一歩、まだまだ頑張る後ろ姿を後進に見せてあげてください。