略 歴
2014年に看護師免許を取得後、大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターおよび但馬救命センターICUにて臨床経験を積む。2020年に山口大学へ異動し教育・研究を行う傍ら博士前期課程(高度実践看護師(急性・重症患者看護専門看護師)養成コース)を修了する。2024年4月からは日本医科大学へ異動。主な研究領域は、タスク・シフト/シェアや終末期ケアなど。

公開日:2024年3月26日 ※所属・役職等はすべて記事公開時点のものです

Q 集中治療の魅力とは?

幅広い疾患を対象とし、様々なリスクを見抜く思考過程や最善のケアを的確に行うスキルを身に付けたいと考え、集中治療領域に進みました。
集中治療領域の患者さんは、自分でその症状や思いを訴えられない場合が多いです。モニターの示す値やフィジカルアセスメント、表情、性格・・・など様々な情報をもとに、患者さんの声にならない訴えを逃さずくみ取り、身体面、精神面、社会面など多方面から患者さんを支えていくことが集中治療の魅力だと思います。

Q 集中治療との関わり

大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターと但馬救命救急センターでの臨床経験を活かし、現在は大学に所属して主に集中治療に関する教育・研究を行っています。

緊迫感のあるICUも創意工夫で日常性を高めることができる

Q この道に入って感じたこと

入職前、集中治療というと、たくさんのME機器に囲まれアラーム音がひっきりなしに鳴っている閉塞的な環境で、ピリピリとしながら治療が行われているようなイメージをもっていました。たしかに、集中治療の現場では一分一秒を争うような緊迫した場面に出くわすこともあります。しかし、実際に働いてみて、ICUも患者さんの療養・生活の場であることに変わりないと感じました。患者さんらしさを考えながら日常生活に近い生活を送れるよう、様々な職種と日々ケアを創意工夫するとても魅力のある領域だと感じています。

Q これまで所属してきた施設を選んだ理由

卒後1年目は、大きな病院で様々な患者さんとその家族のケアを学びたいという考えから施設を選んだ理由が大きいですが、正直、都会への憧れという気持ちもありました。
臨床の現場で目の前の患者さんを救うことにとてもやりがいを感じていましたが、もっと幅広い視点から集中治療に貢献し、より多くの人の役に立ちたいという思いをもち、現在の教育・研究職に就きました。

Q これから力を入れていきたい分野

集中治療を受ける患者さんとその家族のQOLを維持するために必要なケアやシステムを考えたいと思っています。昨今”PICS”が注目されているように、命を救うことをゴールにするのではなく、ICU退室後も患者さんらしく生活するためのケアは、その人の人生を左右する大切な関わりであると感じています。地域の生活者として切れ目のない支援を受けられるよう、職種や施設の垣根を越えて取り組んでいきたい課題です。

シームレスな教育システム構築とトランスレーショナルリサーチを目指す

Q 今後のキャリア

教育・研究職について4年目ですが、まだまだ一人前の教育・研究者とはいえません。人を育てる難しさ、臨床疑問を研究として組み立てていく難しさなど、様々な困難を日々感じています。しかし同時に、教育・研究を行う中で今までにはなかった魅力ややりがいも感じています。今後は、卒前から卒後のシームレスな教育システムの開発や臨床と研究の橋渡し的な活動をしていきたいと考えています。

Q 多職種連携で大切にしたいこと

昨年からU35プロジェクトが始動し、私も初期メンバーとして参加させていただいています。U35では日頃から多施設多職種のメンバーがざっくばらんに意見交換を行っており、刺激を受けています。他職種の視点を知ることで、新たな発見にも繋がりますし、連携のハードルがぐっと下がると感じます。このような輪をもっと広げていきたいです。

Q 印象に残る経験

カンファレンスなどの改まった場だけでなく、日常の中で「困ったな」という私の些細な一言に、他職種の方がそれぞれの専門性をもって真摯に向き合ってくれることにいつも助けられていました。経験談はここには書ききれませんが、一緒に働く医療職同士の信頼関係はとても大切だと感じています。

「目の前の患者に最善を提供したい」という思いがチームを繋ぐ

Q 次世代の仲間へのメッセージ

集中治療というと「こわい」「難しそう」と感じるのは、決してあなただけではありません。「目の前の患者さんに最善を提供したい」という思いさえあれば、共通の目標をもった医療チームの仲間が、絶対にあなたを支えてくれるはずです。一緒に集中治療を極めましょう!

Q 10年後の自分へ

卒後10年は、臨床・教育・研究と色々な経験をする中で、目の前の壁を越えることに日々奮闘しましたね。その後の10年は、自分のしたいことをどれ位形にできましたか。家族や友人、仲間を大切に、感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張って下さい。