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日本集中治療医学会 第10回関東甲信越支部学術集会

学術プログラム

シンポジウム

"頭蓋内だけでは救えない”神経集中治療ー多臓器マネジメントの最前線ー

企画趣旨
Multimodal monitoring を駆使した頭蓋内管理が本邦でも注目されており、神経集中治療は「頭蓋内管理」に焦点が当たりやすい。一方で、肺・心臓・腎臓・血液といった頭蓋外臓器の管理については、各臓器単独の最適化にとどまり、脳との相互作用を十分に意識した議論がなされていない場面も少なくない。
本セッションでは、「脳を守るための全身管理」という視点から、肺・心臓・腎臓・血液を含む多臓器管理を統合的に捉え直すことを目的とする。

「いつ・どう動かすか?」チームで挑む重症外傷の早期リハビリテーション~症例から学ぶ至適タイミングと強度設定~

企画趣旨
集中治療領域において、早期リハビリテーションがPICS(集中治療後症候群)予防や機能予後改善に寄与することは論を俟たない。しかし、重症外傷患者においては、損傷部位の多様性や全身状態の不安定さから、その導入には極めて慎重な判断が求められる。「動かすべき」とわかっていても、再出血や二次損傷のリスクを前に、「いつから」「どの程度の強度で」介入すべきか、臨床現場での悩みは尽きない。本シンポジウムでは、重症外傷患者の早期離床における「至適タイミング」と「強度設定」に焦点を当てる。まず基調講演として、重症外傷リハビリテーションの総論を概観し、リスク管理とチーム医療の基本的戦略を共有する。その上で、各論となる「脊髄損傷」、「胸腹部外傷」、「骨盤・四肢外傷」の3領域については、広く演題を公募する。脊髄の不安定性に対する評価、胸腹部外傷に伴う呼吸循環管理や疼痛対策、骨盤・四肢外傷における荷重制限と運動強度の調整など、各施設が直面する課題や工夫、多職種連携の実際について、多くの症例や知見が寄せられることを期待する。ガイドラインだけでは語りきれない臨床の機微を共有し、明日からの診療につなげる場としたい。

多職種で考えるCRRT患者のアセスメント― CRRT traumaを回避するための共通言語 ―

企画趣旨
急性腎障害(AKI)はICUにおける主要な合併症の一つであり、腎機能代替療法は日常的に実施される治療である。なかでも循環動態が不安定な重症患者では、持続的腎機能代替療法(CRRT)が選択されることが多い。これまでCRRTの浄化量や開始時期について複数の大規模ランダム化比較試験が行われてきたが、高容量設定や早期開始は生命予後を改善せず、むしろ電解質異常や栄養障害などの有害事象が増加することが明らかとなっている。CRRTはAKI治療において極めて有効な治療手段である一方、その設定や運用次第では医原性合併症を引き起こしうることから、近年「CRRT trauma」という概念が注目されている。CRRTの安全かつ効果的な管理には、医師のみならず、臨床工学技士、薬剤師、管理栄養士など多職種がそれぞれの専門的視点から患者を評価し、共通言語に基づいて治療方針を共有することが不可欠である。
本セッションでは、CRRT traumaを回避しつつ治療効果を最大限に引き出すための治療プランや患者アセスメントについて、多職種それぞれの立場からの視点を整理し、日常診療において実践している取り組みを紹介してもらう。多角的な視点でCRRT患者を捉え、チームとしてより良いケアにつなげるための理解を深め、各施設でも実践への一助になることを本セッションの目的とする。

小児期からのさまざまな基礎疾患をもつ患者の集中治療

企画趣旨
近年の医療の進歩により、小児期に基礎疾患を有する患者が成人期になり集中治療や救急医療を要する場面が増えている。これらの患者は小児・成人いずれの集中治療の枠組みにも当てはまりにくく、診療上の課題が多い。本企画では、小児期からの基礎疾患を有する患者の集中治療をテーマに、先天性心疾患や神経疾患、染色体異常などを例に、これらの基礎疾患を有する移行期患者および成人患者に対する集中治療の管理のポイントと現状を複数の演者から提示いただき、課題について議論する。

若手研究レスキュー:アイデア〜計画〜継続の3つの壁を越える

企画趣旨
本企画は、研究に関心はあるものの「何に困っているのか/次に何をすべきか」が整理できず停滞しやすい若手を対象に、ステージ別の つまずき をシナリオ化し、メンター×メンティーの対話(壁打ち)を実演する実践型セッションを目指します。実際のやり取りを通じて思考プロセスと行動手順を可視化していきます。
構成は60分で、リサーチクエスチョンが思いつかない(クリニカルクエスチョン リサーチクエスチョンへの落とし込み、壁打ちの進め方)、研究の進め方が分からない(研究計画、メン① → ②ターの見つけ方、相談の出し方、既存データベース活用)、研究を続けられない(エフォート管理、チーム文化、資金調達)を各③ 15〜20分で扱い、最後に質疑と要点整理を行います。参加者が「自分の状況に当てはめられる型」と「明日からの次の一手」を持ち帰れることを目的としたセッションを目指します。

救急・集中治療における緊急ACP ~新ガイドラインの下で「決められない」現場をどう支えるか~

企画趣旨
救急・集中治療における終末期ガイドラインの改訂が進む一方、現場では予後の不確実性や時間的制約、家族間の対立や代理人不在など、指針のみでは解決困難な「決められない」状況に直面する。本セッションでは、まず改訂ガイドラインの要点を概説し、基本概念を共有する。そのうえで、困難を極めた具体的な症例を提示して頂き、現場でどのような意思決定支援プロセス(緊急ACP)が展開されたのかを検証する。公募演題には、単なる結果報告ではなく、困難な状況下でチームがいかに合意形成を模索したかという「プロセス」の提示を期待する。具体的には、家族間の意見対立に対するコンフリクト・マネジメントや、意思決定者不在時に多職種で最善を模索した事例、あるいは理想的な合意に至らなかったが重要な教訓を含む事例などを歓迎する。 規範(ガイドライン)と実践の往還を通じ、倫理的妥当性と患者の尊厳を守るための道筋を共に探求したい。

パネルディスカッション

臓器連関を意識した循環器集中治療 ― 循環器内科医 × 集中治療医 若手クロストーク

企画趣旨
重症心不全・呼吸不全・右心負荷・腎障害が併存する循環器集中治療では、個々の臓器ではなく臓器連関を踏まえた全身管理が求められる。本セッションでは、若手循環器内科医と集中治療医それぞれの立場から、循環器集中治療における評価・管理のポイントを概説する。続いて、急性心不全・呼吸不全を呈する仮想症例を提示し、人工呼吸管理やRRT導入、目標血圧・前負荷の設定、将来の介入を見据えた方針決定などを題材に、両者が実際の思考プロセスや若手ならではの悩みを交えながら対談形式で議論する。フロアとの質疑も通じて、各施設の実情や工夫を共有しつつ、「臓器連関を意識した循環器集中治療の実践的なチェックポイント」を持ち帰っていただくことを目的とする。

ARDSへの挑戦〜beyond the evidence〜

企画趣旨
肺保護戦略、筋弛緩薬、腹臥位療法、P-SILIを減らすための鎮痛鎮静管理など、肺を守るための介入が推奨されている中で、実際に臨床に携わる医療者は、「いつまで肺保護?」、「いつまで深鎮静?」、「廃用症候群やICU-Acquired weeknessの懸念?」など、患者ごとの具体的な疑問に直面し悩む場面が多いのではないだろうか?明確な答えのない中で、各施設でどのように考え、どのように取り組んでいるか、それを症例を元に共有し、オープンディスカッションしながら皆で学んでいきたい。
本セッションは座長をファシリテーター、4チーム程度、各施設からの多職種チームで登壇いただき、各施設からの発表ではなく、一つの症例をベースにしたディスカッションを行うことを想定している(ある意味、ソクラテスメソッドとも言えるかもしれない)

症例で学ぶ外傷ICUのDecision Making~自己完結型 vs 多科協働型:“ハブ”としてのIntensivist~

企画趣旨
重症外傷患者の救命において、ICUでの集中治療戦略は予後を決定づける重要な要素である。その診療体制は、救急集中治療医が一貫して主導する「自己完結型」と、各専門科と連携する「多科協働型」に大別されるが、システムの違いを超えた共通の課題として「高齢化に伴う患者背景の複雑化」が挙げられる。重篤な基礎疾患を有する患者や、外傷と内因性疾患が混在するマルチプロブレムな症例においてこそ、臓器横断的な視点を持つIntensivistの介入が不可欠となるのではないだろうか。本パネルディスカッションでは、指定演者に加え、広く演題を公募する。実際の症例を通じて外傷ICUにおけるDecision Makingの実際を提示していただきたい。特に、今回は成功例のみならず、あえて「救命できなかった症例」や「管理に難渋した症例」を歓迎する。厳しい転帰を辿った症例にこそ、意思決定の迷いやシステム間の連携不足といった本質的な課題が潜んでいるからである。なお、応募の際は抄録内に、自施設の体制が「自己完結型」か「多科協働型」のいずれに該当するかを明記していただきたい。 困難な状況下で、集中治療医がいかに多職種・多科をつなぐ「ハブ」として機能すべきか。それぞれの視点から徹底的に討論し、これからの外傷診療におけるIntensivistの価値を再定義したい。

PICS外来・PICSラウンドのリアル:症例から学ぶ“次の一歩”

企画趣旨
日本では、PICS外来やPICSラウンドは診療報酬上の専用項目がなく、再診料等の枠組みの中で「持ち出し」で運営している施設が多いのが現状である。
一方で、ICU退室後の身体・認知・精神・家族の問題(PICS / PICS-F)へのフォローアップの重要性は広く認識されつつあり、各施設が手探りで外来や回診の形を模索している。
本セッションでは、PICS外来/PICSラウンド、もしくはそれに近いフォローアップを行っている施設の実症例を起点に、具体的に共有する。
「完成されたPICSセンターの紹介」ではなく、一般的なICUでも明日から真似できる“ミニマムセット”(例:退室前説明、簡便なスクリーニング、退院後1回の電話フォローなど)を持ち帰ってもらうことを目標とする。
PICS外来・ラウンドが保険収載されていない現状をあえて可視化し、「それでもできること」「だからこそどのようなエビデンスと仕組み作りが必要か」を多職種で議論することで、今後のPICS診療体制・診療報酬の在り方を考える契機としたい。

その胸骨、本当に押しますか?― CALSで振り返る開心術後心停止 ―

企画趣旨
開心術後の心停止対応は、胸骨圧迫による合併症リスクや緊急再開胸の適応判断など、心臓血管外科術後患者特有のリスクと病態を考慮した迅速な対応が求められる。
一方で、日本では多くの施設でその対応が依然として個人の経験に依存し、蘇生対応に不安を感じている若手医師やコメディカルスタッフは少なくない。
Cardiac Surgery Advanced Life Support(CALS)は、開心術後心停止に特化した国際的に確立されたプロトコルであり、対応手順と役割分担を明確化することで蘇生率の向上に寄与する。
医師の働き方改革が進む中、従来の「心臓外科医が一人で術後管理を担う」体制はもはや現実的ではなく、開心術後患者の管理に携わるすべてのスタッフが共通認識を持ち、連携することが重要となる。
日本においては、2025年9月に第1回CALSコースが開催され、まさにこれから国内で普及していこうとしている段階であり、診療科や職種を超えて高い関心が寄せられている。
本セッションでは、まずCALS JAPAN理事長の植野剛先生をお迎えし、CALSの基本概念とその意義について概説する。次に各施設より実際の開心術後心停止症例を公募し、発生時の状況、実際の対応、対応に際して困難であった点や課題について提示して共有する。それらを振り返りながら、CALSを導入していた場合にどのような判断・行動が可能であったかを検討する。
また、院内でのCALS普及に向けた提言や実際の取り組み・導入後に新たに発生した問題点を検討することで、ICUでの開心術後患者の蘇生率向上の足掛かりとなるセッションとなることを期待する。

その一報は,なぜ遅れたのか ―4つの視点から読み解くRRSの課題と伸びしろ―

企画趣旨
院内迅速対応システム(Rapid Response System:RRS)は患者急変の予兆を捉え、重篤化を防ぐための重要な安全基盤として、年々その整備が進められてきた。しかしその一方で、急変の兆候に気づいていたにもかかわらずRRSの起動が遅れた、あるいは起動されなかった事例はいまだ少なくない。こうしたRRS起動遅延の背景には、個人の判断だけでなく、チームダイナミクスや組織文化など、「人・チーム・組織」にまたがる複雑な要因が潜んでいる。本セッションでは、「その一報は,なぜ遅れたのか」という問いに対し、RRSを実効性の高い「起動される仕組み」へと育てるための知見を共有する。

演題公募にあたっては、以下の4つの観点から、具体的な事例に基づく実践報告を広く求める。
【起動の壁】(個・心理・文化): 「気づき」が「行動」に繋がらなかったのはなぜか。躊躇わせる心理的背景や、職種間のパワーバランス、「呼びにくい」空気感の分析など。
【対応の壁】(連携・コミュニケーション): 要請側のニーズと対応チームの介入が乖離したのはなぜか。コミュニケーションエラーや、現場の期待と支援内容のミスマッチを改善する取り組み。
【システムの壁】(改善・教育): 運用の形骸化を防ぐために何が必要か。デブリーフィングやフィードバックを通じた現場の行動変容、教育的介入によるルールのアップデート報告。
【指揮の壁】(ガバナンス・責任): 起動後の責任の所在はどうあるべきか。主治医と対応チームの役割分担、夜間・休日の指示系統の明確化、心理的安全性を担保する環境づくり。

本セッションでは、単なる成功報告に留まらず、現場の葛藤や「うまくいかなかった経験」を建設的に議論する場としたい。職種や施設規模を問わず、RRSの実効性を高め、起動される仕組みとして育てていくための多様な演題を期待する。