会長挨拶

第51回日本集中治療医学会学術集会

会長 升田 好樹

札幌医科大学医学部 集中治療医学

升田 好樹

第51回日本集中治療医学会学術集会の大会長を拝命しました、札幌医科大学集中治療医学の升田でございます。本学会の開催に際し、ご挨拶させていただきます。

1974年に第一回の研究会が開催され、日本集中治療医学会が産声をあげました。研究会から学会となり、早くも51回を迎えることになりました。京都での第50回大会そして次の50年を繋ぐべく、最初の学術集会として第51回大会を開催できることは望外の喜びです。

集中治療を取り巻く環境は大きく変化しようとしています。

専門医機構からサブスペシャルティ領域として集中治療科が認められ、いよいよ集中治療科専門医の育成がスタートします。集中治療診療に関しては集中治療科の医師のみならず他の診療科、多職種での診療が基本となります。私は集中治療医学に関わる診療において核となる集中治療室(ICU)での診療にとどまらず、何らかの異常から重症化への予防、そして集中治療を要した状態から一般病棟への移行について、もう一度考えてみようというコンセプトをタイトルといたしました。“集中治療を要する患者は集中治療室のみで発症しているわけではない”ということを再考いたしたいと思います。患者安全に関わる集中治療診療の役割、遠隔医療や広域搬送との関わり、集中治療後症候群(PICS)の病態や診療など、解決すべき問題は山積しております。

一方、集中治療医学・集中治療診療はこの数十年の間に、めざましい進歩、発展を遂げ、多くの診療科、そして多職種で診療を行う診療・学問領域として進んで参りました。本学会ではpre-ICUそしてpost-ICUという内容ばかりではなく、集中治療医学あるいは集中治療診療に関わる基礎医学、臨床医学の最新情報もふんだんにご紹介できるよう、多数のセッションを用意しております。初学者からベテランの医療者の皆さまに満足いただけるプログラムを目指しています。

最後に、本学術集会の会場が諸般の事情で分散型となり多くの参加者の皆さまにご迷惑をかけることとなりますが、北海道-札幌の地を楽しんでいただき、そして実りある学術集会となるよう鋭意努力いたします。

3月の札幌は冬の終盤と間もなく訪れる春の足音が入り交じった時期でもあります。寒さを吹き飛ばすような皆さま方の熱いdiscussion を札幌の地で繰り広げていただければ幸いに存じます。繰り返しになりますが、日本集中治療医学会のこれまでの50年とこれからの50年を紡ぐ学術集会といたしたいと思います。より多くの皆さま方に参加いただけるよう、ご依頼申し上げる次第です。

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