日本集中治療医学会 第9回東海北陸支部学術集会
会長 山下 千鶴
(藤田医科大学医学部 麻酔・集中治療医学講座)

この度、日本集中治療医学会第9回東海北陸支部学術集会の会長を拝命いたしました藤田医科大学医学部 麻酔・集中治療医学講座 山下千鶴と申します。2025年6月21日(土)に「ウインクあいち」(愛知県産業労働センター)を会場として本学術集会を開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。
集中治療は、COVID-19パンデミックをきっかけとしてその重要性がクローズアップされ、専門医機構のサブスペシャルティ領域として、さらに、2022年には集中治療科が標榜科として認められました。これらの社会的責務に応じるため、集中治療の担い手である我々は、近年急速に発展してきた重症患者搬送、遠隔集中治療、神経集中治療、Advance care planningなどの幅広いトピックスをbrush upし、重症患者の救命のみならず集中治療室退室後の患者のQOLの向上にも貢献することが求められています。さらに、働き方改革によるタスクシフトやタスクシェアが進みつつあり、多職種協働からなる集中治療領域では特に、スタッフがそれぞれの特性を生かしながらチームとして結束し、全ての医療従事者が自分のライフステージに合わせながら生き生きと輝いて仕事や学術活動を継続することの重要性が更に高まっていくと考えられます。
そのような時代の流れや、本支部において初めての女性会長を拝命したことから、本学術集会のテーマを「ダイバーシティへの扉を開けよう」として準備を進めてきました。ダイバーシティの推進は、集中治療医学会に属する皆様が輝いて活躍し、学会全体の成長にも結びつくに違いないと信じています。
今回、テーマに合わせて、長崎大学病院医療教育開発センターの松島加代子先生に、特別講演として「ダイバーシティ、働き方改革、医療者教育をつなぐ扉を開けてその先へ」をお話いただきます。さらに、パネルディスカッション「ライフイベントを乗り越えるキャリアデザイン 〜ロールモデルはいろいろあっていい〜」を企画いたしました。これらの企画が、皆様のダイバーシティ&インクルージョンの実現にお役に立てれば幸いです。
皆様のお陰様をもちまして、支部内外から数多くの演題をいただき、各種講演・特別セッション56題、一般演題69題からなる企画を組むことができました。関係各位の方々、応募いただいた方々に心より感謝申し上げます。各種講演や特別セッションでは、支部内外のトップランナーの先生方にご講演をお願いしました。黒田泰弘理事長にもお越しいただき、今後の集中治療医学会について熱く語っていただきます。教育講演は凝縮して幅広く11講演準備し、特別セッションとしては多職種で向き合うACPや災害、そして年次学術集会で人気セッションの壇上症例検討など、ホットな話題も取り入れています。また、近年ニーズが高まってきているメディカルスタッフの臨床研究にスポットを当て、「臨床研究の進め:メディカルスタッフが踏み出すはじめの一歩」、52回年次学術集会からの指定セッション、一般口演を用意いたしました。これらのセッションは、メディカルスタッフのみならず、若い医師の先生方にも非常に役立つと思っています。
近隣で開催される支部学術集会だからこそ子育て世代の方々にも多く参加いただけるよう、子連れ参加可能とし、託児スタッフによる預かりサービス、休憩所等を設けました。ダイバーシティの推進に繋がれば幸いです。また、多数ご協力いただきました企業展示ブースにも足を運んでいただきたく、スタンプラリーによる景品を準備しています。遊び心を加味しながら、支部学術集会での顔と顔が見える関係づくりが、皆様のモチベーション維持や支部の活性化、本邦の集中治療の発展に少しでも寄与できることを祈っています。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。