ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-867-FP-364 内視鏡下腰椎前方椎体間固定術後に、下行結腸穿孔、後腹膜膿瘍をきたした一例東京大学医学部附属病院救命救急センター松原 全宏、前田 明倫、園生 智弘、山本 幸、上田 吉宏、石井 健、中島 勧、矢作 直樹内視鏡下腰椎前方椎体固定術(XLIF: extreme lateral interbody fusion)は低侵襲な脊椎変形矯正手術として約10 年前にアメリカで開発され、2013年より日本でも実施可能となった手術である。XLIFの合併症として、腸管損傷は理論的にはおこりうる合併症ではあるが、報告は少なく、本邦での報告は我々の渉猟しえた範囲では無い。他院整形外科での術後7日目に当院紹介となり、救命センター、外科、整形外科、腎臓内科、リハビリテーション科など集学的治療を要したため、ここに報告する。患者は66歳女性、生来健康であったが腰椎すべり症による間欠性跛行にたいして、他院にてXLIF を施行された。患者は術直後から左大腿の発赤・腫脹・疼痛を自覚していた。予定通り術翌日より食事が開始された。術後3日目発熱、血液培養提出後、抗菌薬投与が開始された。術後7日目、左大腿部に強い発赤・圧痛・握雪感をみとめガス壊疽の疑いで当院救命センターに救急搬送された。当院搬送後、注腸造影が行われ、留置金属のレベルにあたる脾彎曲部の下行結腸から造影剤が漏出し、腸腰筋に沿って尾側へと流れる所見が確認された。外科による開腹洗浄ドレナージ・人工肛門増設術、整形外科による後腹膜および左下肢の洗浄ドレナージの後、ICU にてPMXによるエンドトキシン吸着療法をふくむ全身管理が行われた。8日間のICU 滞在の後、一般床にて大腿の開放創に対する洗浄を継続的に行いつつ、起立・歩行訓練を行った。FP-365 末梢挿入型中心静脈カテーテルが自己抜去された際に切断され、体内に迷入した1 症例兵庫県立尼崎総合医療センター 麻酔科前川 俊、木山 亮介、黒田 光朗、山長 修、山中 秀則、若松 拓彦、進藤 一男末梢挿入型中心静脈カテーテル(以下PICC)は、穿刺時に伴う致命的合併症が少ない、カテーテル感染が少ないなどの利点があるが、静脈炎の発生頻度が高い、カテーテルの断裂・破損の報告が比較的多いなどの欠点がある。今回肘窩より挿入したPICCが、患者の自己抜去により離断、体内に迷入し、外科的に摘出した1 症例を経験したので報告する。【症例】64歳男性。既往歴に肝硬変、高血圧あり。肺胞出血に対する人工呼吸管理目的にてICU入室となった。入室後ANCA関連血管炎による肺胞出血と診断され、計3回の血漿交換を行った。血漿交換後透析用カテーテル抜去し、左肘窩よりPICC(グローションカテーテルNXT(MSTタイプ)[バード社製])挿入した。挿入12日後、せん妄状態であった患者がカテーテルを自己抜去した状態を看護師が発見。カテーテルはテープ固定されていた近位部のみ発見でき、絹糸にて固定されていた部位より先端は発見できなかった。胸部単純X線写真撮像したところ、切断されたカテーテルの残りが体内に残存していることが確認された。当院心臓血管外科に連絡し、同日緊急摘出術が施行された。【考察】PICCは、致命的合併症やカテーテル感染が少ないなどの利点がある一方で、カテーテル断裂および破損の報告も多い。破損の原因としては、手技そのものによる他、患者の腕の曲げ伸ばしによる物理的負荷が要因と考えられている。今回用いたPICCはシリコン製であり、劣化を起こしにくいという利点がある一方で、機械的強度が弱いという欠点がある。固定には専用の無縫合固定器具(スタットロック)を使用することが推奨されている。今回我々は、カテーテルを直接絹糸で皮膚に固定してしまったために、患者が自己抜去した際に、縫合部位に物理的外力が集中し、切断が起こったと考えられる。今後は固定の際にも細心の注意を払って診療に当たっていきたい。FP-366 患者と意志疎通ができず、「内縁の夫」と「実の息子」の対立により、家族対応に非常に苦慮した事例1)社会医療法人財団大樹会 総合病院回生病院 麻酔科、2)社会医療法人財団大樹会 総合病院回生病院 救急センター木村 廷和1)、藤本 正司1)、穴吹 大介1)、音成 芳正2)、乙宗 佳奈子2)、関 啓輔2)【緒言】ICU・HCU では患者と意思疎通が図れない状況で家族に対応することも多い。今回、「内縁の夫」と「実の息子」の対立により、家族対応で現場が非常に苦慮した事例を経験した。【症例・経過】79歳、女性。黒色便、貧血(Hb 6.4g/dl、Ht 20.7%)、血小板減少(1.5万/μl)のため近医より紹介、入院となった。赤血球輸血を行ったところ、呼吸困難・喘鳴出現、呼吸状態が悪化し、気管挿管・人工呼吸管理目的でHCUに入室した。ステロイドパルス療法等により呼吸状態は改善した。患者は他院で骨髄異形性症候群と診断されていたことが判明、貧血・血小板減少の原因と考えられた。呼吸不全の原因はNT-pro-BNP の上昇等から輸血関連循環過負荷(TACO)と推測された。当初「実の息子」は遠方で連絡が取れず、経過説明等を付き添っていた「内縁の夫」に行っていた。後日「実の息子」が来院したが、今後の方針等について「内縁の夫」と対立、又「内縁の夫」が実は内縁関係でないこと等が判明した。【考察】ICU・HCUにおいて、緊急時や重症患者では、病状説明や処置の許諾、治療方針の決定等を家族に対して行うことが多く、面会者も家族に制限していることが多い。現場では関係者の申告を信じて対応するしかなく、真偽の確認はしていない。今回は突然の状態悪化で患者と意思疎通ができなかったこと、「内縁の夫」が自称であり(内縁関係ではなかった)、「実の息子」は連絡が取れないうえ、「内縁の夫」と対立しているという特殊な状況で、対応に非常に苦慮することとなった。患者と意志疎通ができない場合、関係者への対応は個別の状況に応じて慎重に行うしかないと思われた。【結語】家族対応に現場が非常に苦慮した事例を経験した。患者と意思疎通ができないような場合、様々な状況に対して有効な方法はなく、関係者への対応は個別に慎重にするしかない。