ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-838-FP-277 ICU における人工呼吸器患者に対し,離床段階に応じて病前の日課を取り入れた作業療法1)新小文字病院 リハビリテーション科、2)熊本保健科学大学 リハビリテーション学科、3)関西電力病院 リハビリテーション科、4)新小文字病院 外科、5)新小文字病院 看護部河手 武1)、益満 美寿2)、児島 範明3)、柴田 宗征4)、新井 祐介5)【はじめに】J-PADガイドラインではせん妄予防に早期離床が推奨されている.外科術後人工呼吸器管理患者に,せん妄を回避できた作業療法(以下:OT)の実践例を報告する.【症例】90 歳代男性,腸管癒着症手術目的で入院,手術10 日前よりOT を開始した.MMSE:30/30,下肢MMT:5/5,FIM:120/126,娘家族と5人暮らし.症例の日課は野球のテレビ鑑賞と新聞読みであった.手術後は人工呼吸器管理となり,術後1 日目から再開した.【介入】術後2日目のOTではヘッドアップ座位にて,見当識を維持させるために時計とカレンダーを用いて,筆談にて一緒に確認し,セルフケアではタオルを持たせ自身での顔・手拭きを実施した.術後5日目以降は日課であった野球のテレビ鑑賞,新聞読みの機会を端坐位や車椅子で実施し,テレビ鑑賞はOT以外でもできるよう看護師と共有した.特に日課を実施中は情報を得ようとする動作と感想の表出という能動的な反応が見られた.【結果】ICU 在室12 日間において人工呼吸器装着期間は10 日間,ICDSC:0 点,RASS:-1~0 で推移し, FIM:27/126 から41/126と改善した.介入中の有害事象はなかった.術後58 日目の回復期病院転院時はMMSE:30/30 点,下肢MMT:5/5,FIM:116/126,移動能力は杖歩行軽介助まで回復した.最終転帰は自宅退院となった.【考察】術前介入したことで日課を評価でき,術後早期から離床段階に応じて取り入れることで,患者にとって能動的なOT を実践できた.その結果,せん妄予防に貢献できたと考える.FP-278 筋弛緩剤を使用し人工呼吸管理を行った術後敗血症性ショック・腹部コンパートメント症候群の一例1)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 リハビリテーション科、2)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 外科、3)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 集中治療室 看護部、4)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 麻酔科高崎 裕介1)、野中 沙恵1)、仲本 昂平1)、佐藤 英博2)、平湯 恒久2)、白土 奈央3)、増田 直樹4)【はじめに】近年人工呼吸器関連の合併症予防の為に浅い鎮静で呼吸管理する事が推奨されている。今回、虫垂炎術後に敗血症性ショック、腹部コンパートメント症候群(ACS)となった症例で筋弛緩剤併用し人工呼吸管理を行った。本症例で疼痛管理や理学療法の重要性を再認識したので報告する。【症例】47歳男性、172cm、77kg。腹痛で近医受診し腸炎として抗菌剤で経過観察中であった。疼痛増強し急性虫垂炎と診断し当院へ入院となった。著明なイレウスに対しイレウス管を挿入したが、減圧できず開腹虫垂切除術を施行した。腸管浮腫が強く閉腹時に減張縫合を行った。術後はACS、敗血症性ショック、急性腎障害を認め筋弛緩剤併用下の人工呼吸管理(プロポフォール・プレセデックス・ロクロニウム)、ノルアドレナリン投与、CHDF等をICUで行った。POD2より理学療法を開始した。POD3には左下葉無気肺を認め、理学療法施工後のCTでは無気肺の改善を認めた。その後筋弛緩は中止しRASS(-1~0)の浅鎮静で管理し自動運動が可能となった。POD5 には一時的に鎮静を中断し人工呼吸管理下でICU内歩行訓練を開始した。POD6尿量増加、血液ガス良好で抜管、CHDFを修了し、その後も理学療法を継続した。POD12 に一般病棟へ転棟となるが、疼痛増強により離床が進まずPOD13 日には両下側肺の無気肺を認め、NPPVを用いた呼吸訓練を開始した。無気肺改善まで数日を要したがPOD18にADL 全自立となり自宅退院となった。【まとめ】深鎮静下の人工呼吸管理でも術後早期の理学療法開始は可能であった。理学療法により無気肺は改善した。ICU での全身管理と密な理学療法で状態は改善し一般病棟へ転棟したが、再度無気肺を形成した。退院まで継続的な病態把握・疼痛対策・理学療法が必要と考えた。FP-279 Total Lift Bed の安全性と効率化に関する4 症例の使用経験1)中頭病院 リハビリテーション部 作業療法部門、2)まつだクリニック、3)中頭病院 看護部喜納 俊介1)、宮平 宗勝2)、井村 久美子3)、芹田 晃道3)【はじめに】集中治療室では離床阻害因子による離床困難な症例に対してTilt Table(以下TT)をリハビリテーション(以下リハ)ツールとして活用し良好な結果を得ている.しかし、ベッドからTTへの移乗には安全性と効率化において課題を残していた.今回、Tilt機能を備えたVitalGo system Ltd製のTotal Lift Bed(以下TLB)を使用する経験を得たので報告する.【目的】TLBのTilt 機能を使用する際の安全性と効率化に関して効果を検証すること.【方法】対象:平成26年12 月~平成27 年4 月に当院でTLBのTilt 機能を使用した症例使用方法:当院のTT プロトコルに準じて使用主な評価項目:リハに要した時間、必要とした人員、新たな治療が追加されるような有害事象の件数【結果】TLBのTilt機能は4症例に延べ20回実施した.使用用途は自動調節能の評価と訓練、せん妄とICU-AWに対する立位訓練と認知機能賦活、間質性肺炎の増悪による離床困難例に対する立位訓練と認知機能賦活であった.1回のリハに要した時間は1時間以内.必要とした人員は1~2人.症例への対応、ライン管理等を分担して実施した.Tilt機能を備えたベッドである為、移乗する作業は生じなかった.使用中にリハ中止基準を満たしたのは4件.SpO2低下が3件、BP低下が1 件であり新たな治療を追加するような有害事象は認められなかった.【考察】離床阻害因子のある症例に対してTLB はTT と同様の効果を得ることができ、移乗の必要性がないことから安全性と効率化においてはTT よりも有用だと考える.【結語】TLBは離床阻害因子による離床困難な症例に対して有用なリハツールだと考える.今後は更なる検証を重ね、同時に安全で効果的なプロトコルを確立していく必要がある.