ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-833-FP-262 メシル酸ナファモスタットを使用した持続的腎代替療法における回路内活性化凝固時間と透析膜寿命との関連1)神戸大学医学部附属病院 麻酔科、2)神戸大学医学部附属病院 臨床工学部門、3)神戸大学大学院 医学研究科 麻酔科学分野、4)神戸大学大学院 医学研究科 外科系講座 麻酔科学分野巻野 将平1)、北 博志2)、宮武 祐士3)、久保田 健太1)、江木 盛時1)、溝渕 知司4)【背景】持続的腎代替療法(CRRT)においてメシル酸ナファモスタット(NM)は抗凝固薬の選択肢の一つである。CRRT施行時のNM投与量の調整に回路内の活性化凝固時間(ACT)を使用する報告が散見されるが、NMを抗凝固薬として使用したCRRTにおける回路内ACT と透析膜寿命との関連についてはいまだよくわかっていない。【方法】 2011年1月から2013年12月において当院ICUでNMを抗凝固薬として使用したCRRTを施行した患者76人を対象とし、後ろ向き観察研究を行った。NMは透析膜前から20mg/h で開始し、透析膜前ACTが150秒になるように調整した。CRRT 開始前の血液凝固検査(血小板、PT-INR、APTT)、CRRT開始1時間後の透析膜前ACT(pre-1stACT)および透析膜後ACT(post-1stACT)を収集した。またCRRT施行中に測定された透析膜前ACT の平均(pre-meanACT)、透析膜後ACT の平均(post-meanACT)を計算した。透析膜を各項目の中央値によって低値群と高値群の2 群に分けて透析膜寿命についてカプランマイヤー法で比較した。【結果】pre-1stACTでは平均ACTは低値群で129 秒、高値群で173 秒であった。透析膜寿命は両群間において有意差を認めなかった(26 時間 vs 22 時間,p=0.73)。post-1stACTでは平均ACTは低値群で192秒、高値群で297秒であり、透析膜寿命は両群間において有意差を認めなかった(26時間 vs 22時間, p=0.56)。pre-meanACT(低値vs 高値;130 vs 169秒)およびpost-meanACT(低値vs 高値;207 vs 286秒)においても、透析膜寿命は両群間において有意差を認めなかった(pre-meanACT ; 26 時間 vs 26 時間, p=0.78, post-meanACT; 22時間 vs 29時間, p=0.08)。CRRT開始前の血小板、PT-INR、APTT においても透析膜寿命と有意に関連しなかった。【結語】NMを抗凝固薬として使用したCRRT において透析膜寿命と回路内ACTに有意な関連を認めなかった。FP-263 上部消化管穿孔性腹膜炎手術後のエンドトキシン吸着療法で呼吸停止を来たしたCKD 患者の1 症例1)一般財団法人 甲南会 六甲アイランド甲南病院 臨床工学室、2)一般財団法人 甲南会 六甲アイランド甲南病院 麻酔科、3)名取病院灰原 博子1)、中田 充生1)、中山 和也1)、桐田 泰江2)、青木 彰3)、速水 弘2)完全静脈麻酔+ロクロニウムブロマイド(以下Rb)の全身麻酔で穿孔部修復および腹腔内ドレナージを行った症例で、術後ICUにてトレミキシン(東レ:PMX-20R)によるエンドトキシン吸着療法を行った。吸着開始直後(手術終了後約60 分)急速な筋力低下と、約10 分後に呼吸停止に陥った症例を経験したので報告する。【症例】72 歳女性 十二指腸狭窄で胃空調吻合実施。5日後穿孔性腹膜炎発症。【検査値】BUN 92.9 CRN 5.05 Na 142 K 5.1 Cl 103 WBC 21130 HGB 10.7【経過】2/20 十二指腸狭窄で胃空調吻合術施行、2/23イレウスと急性腎不全を呈し、2/26上部消化管穿孔部修復とドレナージ術を施行。麻酔中Rb計140mg 投与。Rb 最終投与後、血液培養採血。40分後にスガマデックス200mg 投与後全覚醒、筋力回復後、抜管しICUへ移送。【発症】ICUでPMX-20R による吸着開始後約10分で急速に筋力低下と呼吸停止に陥った。約10分後に再クラーレを疑いスガマデックス200mgの追加投与を行い、速やかに意識並びに呼吸状態が改善した。【Rb 血中濃度】未変化体濃度4165.9ng/ml 代謝物濃度27.08ng/ml検体はスガマデックス200mg 投与約30 分前採取、リバース時にはさらに低濃度になっていたと考えられるが、十分なスガマデックスの投与に至らなかったと思われる。【まとめ】PMXカラムには、抗菌物質「ポリミキシンB」が固定化された繊維を充填している。相互作用として、麻酔剤、筋弛緩剤、アミノグリコシド系抗生物質と併用した場合、クラーレ様作用による呼吸抑制があらわれることが知られている。今回の腎不全症例では、肝代謝が主であるRbに有利であったが、エンドトキシン吸着療法で血中内全ての薬剤吸着が速やかに行われた可能性がある。その後、末梢組織に残存したRb が血圧上昇、血液組織還流量増加、薬剤濃度勾配により血中に再分布し、急速に再クラーレ現象を来たしたと考えられる。FP-264 ACH- Σの改良版Σソフトによる洗浄方式の検討1)藤田保健衛生大学病院 ME管理室、2)藤田保健衛生大学 医学部 麻酔・侵襲制御麻酔医学講座清水 弘太1)、石川 隆志1)、西田 修2)【背景・目的】当院では血液浄化装置(ACH-Σ:旭化成メディカル社製)を使用して、持続緩徐式血液浄化療法(CRRT)を施行している。従来のACH- Σの洗浄方法(旧洗浄方式)は自動洗浄開始時に血液濾過器のUFR を測定し、洗浄速度を自動調整する。そのためUFRの低い血液濾過器(低UFR膜)では洗浄速度が遅くなり、洗浄に要する時間が長くなる。洗浄時間短縮を目的に今回、旭化成メディカル社より新たに低UFR 膜向けの洗浄方法である改良版Σソフト(新洗浄方式)が発表された。そこで旧洗浄方式と新洗浄方式で比較し、新洗浄方式は低UFR 膜の洗浄に有効であるか検討した。【方法】血液濾過器は当院が重症敗血症及び敗血症性ショックに対してCRRT 施行時に使用しているセプザイリス(Baxter社製)0.6m2、1.5m2、またUFRが低く膜面積が小さいHFジュニア(メディカルタウン社製)0.09m2を使用した。洗浄量は血液濾過器内側:1200ml、外側:1200ml で行い、ACH-Σの自動洗浄時のログ解析による洗浄時間を評価した。【結果】プライミング所要時間は、旧洗浄方式と新洗浄方式でそれぞれセプザイリス0.6m2:43分、17分、セプザイリス1.5m2:16分、15分、HF ジュニア:86 分、15 分であった。また新洗浄方式ではセプザイリス0.6m2、HFジュニアの洗浄中に過度なTMPの上昇や濾過圧の低下などによるアラームは発生しなかった。【考察】旧洗浄方式は血液濾過器の種類ではなく、膜面積と血液濾過器のUFR によって洗浄時間が影響を受ける。新洗浄方式の場合、洗浄方向を変更することにより、過度のTMP の上昇や濾過圧の低下が発生しなくなり、UFR の測定を必要とせず一定の洗浄速度で行われるため、膜損傷を起こさず洗浄時間が短くなったと考えられる。【結語】新洗浄方式は低UFR膜の洗浄が短時間で行え、また洗浄中のアラームの発生がないことから低UFR 膜の洗浄方法に適している。