ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-826-FP-241 複数診療科が関与する脊椎外傷治療の連携1)関西医科大学附属滝井病院 救命救急センター、2)関西医科大学 救急医学講座、3)関西医科大学 脳神経外科学講座岩瀬 正顕1)、中森 靖2)、齋藤 福樹2)、早川 航一2)、和田 大樹2)、岩村 拡2)、北元 健1)、鍬方 安行2)、淺井 昭雄3)【目的】複数科が関与した脊椎脊髄損傷を検討した。【方法】我々の医療圏域には、救命救急センター2施設、がある。両施設とも三次救命救急・ER で外傷初期傷を受け入れている。脊椎脊髄損傷では、自施設での治療を継続するが、全診療科が24 時間対応でないことから施設間転送で緊急手術に対応している。【結果】救命センタに運ばれた脊髄損傷は、直接搬送72%、域内二次医療機関から8%、域外三次医療機関から12%。2症例が複数診療科の治療が必要となり、関連施設間転送を利用して治療を完結した。症例1は、頸椎損傷の伴う椎骨動脈閉塞の合併で、救急医、血管内治療医、脊椎外科医の連携を要した。症例2は、骨盤骨折に伴う出血性ショックと腰椎損傷で、救急医と脊椎外科医の連携が必要であった。【考察】2010 年8 月に同圏域で施行された地域救急医療体制の検討では、域内搬送97%であり、域外搬送3%であった。外傷は搬送全症例の5.7%で、頸椎頸髄損傷例はこの中に含まれていた。【結語】1.脊椎脊髄症例の治療を関連施設間転送も利用して、域内で完結する取り組について報告した。2.複数診療科が関与する脊椎外傷治療の連携の必要性について述べるFP-242 偏食に伴う栄養障害に起因したと思われた橋中心髄鞘崩壊症(Central Potine Myelinolysis : CPM)の一例佐世保市立総合病院救急集中治療科宮副 祥一、松平 宗典、槇田 徹次CPMは教科書的には低ナトリウム血症の急激な補正に伴い発症しやすいといわれている。今回我々は、搬入時血中ナトリウム濃度 119mEq/l、等張生理食塩液にて補正し、10時間後 125mEq/l、34時間後 131mEq/lと緩徐に補正したにも関わらず、後日四肢の振戦などの神経症状を呈し、頭部MRI にてCPMと診断された症例を経験したので報告する。【既往歴】アルコール依存症の疑いがあったが、精神科受診はなし。また発症3ヶ月前に妊娠23週6日にて緊急帝王切開術を施行されるも死産となっており、この際軽度の血小板減少を認めたが、他に異常所見ないため術後6 日で自宅退院となった。【現病歴】搬送3 日前から摂食不能となり体動困難となったため救急要請された。意識障害、低体温、徐脈を認め、救命救急センターへ搬送となった。画像検査では明らかな異常所見は認めないものの、検査データ上、電解質異常、高度の貧血を認め、ICUにて全身管理を開始した。入院後、意識レベルは急速に改善し、経口摂取も可能となったため第5 病日にICU退出となった。その後リハビリ介入し、ADL の拡大を図ったが、振戦などの神経症状の改善に乏しく、ウェルニッケ脳症も疑われたため、頭部MRIを施行したところCPMと診断した。発症時刻が搬送前であったのか、或いは入院中であったのか不明であり、非典型的症例と考えられるため文献的考察を含め報告する。FP-243 中枢神経疾患の治療中にCritical Illness Polyneuropathy/Myopathyを発症した2 症例1)京都大学大学院医学研究科 脳神経外科学、2)小倉記念病院 脳神経外科、3)康生会武田病院 脳神経外科、4)天理よろづ病院 脳神経外科武信 洋平1)、石井 暁1,2)、堀川 恭平3,4)、荻野 英治3)、西村 真樹3)、滝 和郎3)、宮本 享1)【背景】Critical Illness Polyneuropathy/Myopathy(CIP/CIM)は集中治療領域において,原疾患の治療後も回復の障壁となる重要な合併症である,SIRS などの全身性重症疾患を背景にし,筋弛緩薬,ステロイドの使用,高血糖が関連する因子と考えられている.今回我々は,中枢神経疾患治療中に,これらの因子への暴露を伴わないCIP/CIMを経験したので報告する.【症例1】22歳男性,ウイルス性脳炎によるけいれん重積に対し,プロポフォールによる鎮静,人工呼吸器管理の上,アシクロビル,抗けいれん薬の投与を行った.意識状態,髄液所見は改善したが,四肢弛緩性麻痺,感覚障害と共に換気量低下も伴い,気管切開を経て,人工呼吸器離脱まで28日を要した.神経伝導検査にて運動神経優位の軸索型polyneuropathy の所見があり,CIPと診断した.発症後6ヶ月で,筋力は改善,下肢末梢の軽度の感覚低下を残すのみに改善した.【症例2】 72歳男性,WFNS grade1のクモ膜下出血にて入院となった.出血源は特定できず,水頭症に対し脳室ドレナージを行い,プロポフォール,デクスメデトミジンによる鎮静,人工呼吸管理下に血圧管理を行った.第4病日に鎮静を解除,人工呼吸器を離脱したが,四肢弛緩性麻痺を認めた.神経伝導検査,針筋電図検査にて筋原性変化,伝導ブロック両者の所見があり,CIP/CIMと診断した.発症後3ヶ月で,MMT4/5程度まで改善した.【結語】中枢神経疾患の治療中にCIP/CIMを来たした症例を経験した.従来報告されている敗血症,多臓器不全,筋弛緩薬,ステロイド,高血糖への暴露がない場合でもCIP/CIMを呈することがあり,注意が必要である.