ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-806-FP-181 急性冠症候群へのPCI 中に生じる超急性ステント血栓症の臨床的危険因子の検討聖路加国際病院 循環器内科西畑 庸介、浅野 拓、川松 直人、小松 一貴、中岡 幹彦、水野 篤、三橋 弘嗣、丹羽 公一郎【背景】 急性ステント血栓症は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における重篤な合併症であり、予後悪化因子である。時に、PCI手技中に超急性ステント血栓症を発症し、血行再建に難渋することを経験するが、そのリスク因子や原因については不明確な部分が大きい。【方法】 2012年1 月から2014 年12月までに急性冠症候群に対して緊急で冠動脈ステント留置術を行った連続369人を対象に、超急性ステント血栓症の発生率および患者背景を調査し、超急性ステント血栓症のリスク因子を検証した。【結果】 369例中25例で超急性ステント血栓症を認め、発症率は6.8% であった。超急性ステント血栓症を発症した患者は対象と比較して有意に若く(54.7 vs 66.1 歳, p < 0.01)、高身長で(170 vs 164 cm, p < 0.01)、体重が重く(76.2 vs 66.0 kg, p < 0.01)、体表面積およびBMIが大きく(1.88 vs 1.72 m2, p < 0.01; 26.5 vs 24.4, p < 0.05), 血清Hb値が高値で(15.3 vs 13.8 g/dL, p < 0.01),3%-ODI(oxygen desaturation index)が高値(44.3 vs 15.0/h, p < 0.01)であった。性別、糖代謝、脂質代謝、腎機能、血小板数、D-dimer値、薬剤溶出ステントの使用、服用した抗血小板剤の種類に関しては両群間で有意な差を認めなかった。多変量解析の結果、3%-ODIのみが超急性ステント血栓症の独立した危険因子であることが判明した。【結論】 超急性ステント血栓症の臨床的危険因子は睡眠呼吸障害であると考えられる。FP-182 J 波を有し、低体温療法にてVF stormに陥った急性心筋梗塞の一例東京医科大学病院小林 紘生、齋藤 友紀雄、矢崎 義直、五関 善成、山科 章症例は86 歳男性で施設入所中の方。2011年より高血圧・糖尿病に対する内服加療が開始されていた。2013年11月、施設内のエレベーター内で倒れているところを施設職員が発見しCPR を開始した。AEDが1回作動し心拍が再開し当院へ救急搬送された。来院時心電図で前胸部誘導のST上昇を認め、急性冠症候群と診断し緊急冠動脈造影検査(CAG)を行った。左前下降枝#6 が近位部で完全閉塞しており同部位に対しPCIを行った。心室細動蘇生後であり術直後より低体温療法を開始した。体温の低下に伴い12 誘導心電図にてJ 波が目立つようになり、心室期外収縮が散発しR on T から心室細動(VF)となった。体外式除細動を1 回施行し洞調律へ復した。リドカイン・アンカロン・マグネゾールを投与したがその後VF stormとなった。電解質異常はなく、VFstormの原因としては低体温が考えられたため直ちに復温を開始した。またPVCを抑制するために体外式ペースメーカーを挿入した。急性の心筋虚血も疑われCAGを行ったが亜急性冠動脈閉塞は否定的であった。その後は心室頻拍・VFの出現なく経過した。低酸素脳症による意識障害が遷延し、徐々に全身状態が悪化し第34病日に永眠された。低体温とJ波の関連性について若干の文献的考察を交え報告する。FP-183 水溶性または脂溶性スタチンが急性心筋梗塞患者のPCSK9値に与える長期影響の差異について1)信州大学 医学部 救急集中治療医学講座、2)信州大学医学部循環器内科嘉嶋 勇一郎1)、今村 浩1)、伊澤 淳2)、新田 憲市1)、池田 宇一2)【背景】スタチンは、コレスロール低下作用がある一方で、LDL 受容体を分解するProprotein convertase subtilisin/kexin type 9(PCSK9)を増加させることが知られている。しかしながら、水溶性または脂溶性スタチンがPCSK9値に与える長期影響の差異について、現在までに検討された報告は知られていない。【目的・結果】冠動脈形成術により再還流療法に成功した急性心筋梗塞患者510 名を、無作為にメバロチン群(水溶性スタチン)またはアトルバスタチン群(脂溶性スタチン)に分け、発症4 日以内に割り付けスタチン内服を10 mg/日にて開始した。1ヶ月時にLDL コレステロール値が100 mg/dL を超えた症例(269 名)は、割り付けスタチンを20 mg/ 日に増量しているが、今回はそれらの症例は除外し、割り付けスタチン10 mg/日でLDL-C のコントロール可能であった症例を対象とした。スタチン導入より1、24ヶ月時に末梢血の血清PCSK9値をELISA法により測定した。PCSK9値は、1ヶ月時には2群間に有意差は見られなかったが(368.2[interquartile range: 287.5-476.1]vs. 389.4[287.5-476.1], P = 0.494)、24ヶ月時にはメバロチン群がアトルバスタチン群に比して有意に高値であった(396.4[298.6 - 512.8]vs. 457.9[345.2 - 582.6],P < 0.0001)。【結論】水溶性スタチンは、脂溶性スタチンに比してPCSK9 値を上昇させることが示唆された。