ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-797-FP-154 急性リンパ性白血病の中枢性再発における小児の1 症例名古屋大学 医学部 附属病院青山 康、海野 仁、東 倫子、眞喜志 剛、山本 尚範、田村 有人、江嶋 正志、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】集中治療領域において,がん治療を併用したoncological ICU の運営は重要である。小児の急性リンパ性白血病の中枢性再発に対して,脳室ドレナージと抗がん剤の髄注療法で改善した一例を報告する。【症例】7歳男児,2012年秋に急性リンパ性白血病を発症し,化学療法により2014 年冬に寛解に持ち込めていた。2015年6月に片麻痺と痙攣発作を発症し,難治性てんかんに対して気管挿管下の深鎮静管理として,集中治療管理とした。高度の水頭症と脳浮腫を伴う頭蓋内圧亢進が認められ,髄液所見から急性リンパ性白血病の中枢性再発と診断した。頭蓋内圧亢進に対して脳室ドレナージとステロイド療法を施行した。難治性痙攣に対しては,チアミラールとミダゾラムを併用し,持続脳波モニタリングとしてバーストサプレッションで管理した。入室後5病日目のCTの画像所見では右前頭葉を中心とする広範な脳梗塞を示唆する所見を認めた。脳室ドレナージ圧を漸減し,脳灌流圧を維持するために昇圧管理を施行し,抗がん剤の髄注療法を開始した。痙攣波の消退を第15病日頃より監視し,抗けいれん薬を内服に切り替えた。第20病日より両上下肢の自動運動を認め,第22病日より開眼を認め,人工呼吸器を離脱させた。その後,第24病日に一般病棟へ転棟とし,第90病日では病室内での自立歩行が可能なまでに改善を認めている。【結語】当講座は,小児および成人を問わず,oncological ICUを機能させている。小児の急性リンパ性白血病に対して,脳室ドレナージと抗がん剤の髄注療法が奏功した一例だった。FP-155 小児けいれん重積の予後予測因子の検討日本大学医学部附属板橋病院 救急医学系 救急集中治療医学分野澤田 奈実、伊原 慎吾、桑名 司、山口 順子、小豆畑 丈夫、木下 浩作【背景】日本大学医学部附属板橋病院は、2010 年より東京都こども救命センター運営事業に参画し、重篤小児患者の受け入れを積極的に行っている。それに付随し他県からの重症小児の搬送が増加し、2014年の小児ICU入院症例は1年間で約140例まで増加した。そのうち約半数がけいれん性疾患であり、そのうち90%がけいれん重積症例だが、重症度は軽症例から死亡例まで多岐に渡る。【目的】けいれん重積は転帰不良のリスク因子であり、特に重篤な感染症や急性脳症などを疑う因子である。しかし、けいれん重積患者でも軽症例を多く経験する事から、けいれん持続時間のみでは予後予測因子として十分出ない可能性が示唆された。そこで、けいれん重積症例のけいれん持続時間と転帰の関連性を検討した。【方法】2014 年の1年間に当ICUに入院した16歳未満の小児を対象とした。診療録を後方視的に検討した。転帰は、小児脳機能カテゴリー(PCPC: Pediatric Cerebral Performance Category)で評価し、入院時PCPC と退院時PCPCを比較し、PCPC 悪化群を転帰不良例、PCPC不変群を転帰良好例とした。【結果】対象症例は55例であった。平均年齢は3.6歳(最小値1ヶ月、最大値15歳)で、転帰不良例は2例(3.6%)であった。けいれん持続時間は、転帰不良例で平均60 分、転帰良好例で平均64 分であった。また、けいれんの鎮痙に使用した薬剤の種類を比較し、予後不良例では薬剤3 種類以上を使用していた。【結論】小児けいれん重積患者の予後予測因子として、鎮痙に要する薬剤の種類が関連している可能性が示唆された。FP-156 当院における小児急性脳症の治療の変遷と予後に関する比較検討熊本赤十字病院 小児科三浦 義文、平井 克樹、小原 隆史、市坂 有基、大平 智子、武藤 雄一郎【背景】小児における急性脳症は、現在エビデンスにもとづいた確立した治療法はなく、各施設での経験に合わせた治療がなされているのが現状である。その中でも脳低温療法は現時点で効果が期待されている治療法であるが、温度管理設定や併用する治療も施設によって様々で、統一した比較検討自体が困難である。当院においても治療方針は少しずつ変化しているのが現状である。【目的】急性脳炎・脳症に対する治療の変化によって、患者の予後に変動が見られるか検討する。【方法】2006/6/1-2015/5/31の過去9年間に急性脳症の診断にて当院に入院した患者37 例。サイトカイン型7 例、興奮毒性型26 例、分類不能4 例であった。興奮毒性型のうち低体温療法を施行した重症例17例を後方視的に検討した。予後判定因子にはPCPCを利用した。【結果】PCPC1点が2例、2 点が9例、3 点が6例であった。4-6 点の例は認めなかった。治療は低体温+ステロイドパルス+バルビツレート療法、低体温+バルビツレート療法、平温+バルビツレート療法など、治療時期によって変遷が見られたが、治療予後には明らかな差は認めなかった。【考察】低体温療法+ステロイドパルスの併用では、感染などの合併症の増加を示唆する報告もある。今回の検討においては、平温療法が積極的な冷却と同等の効果がある可能性が示唆された。当院での治療合併症等についても合わせて報告する。