ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-794-FP-145 Surgical Apgar Score(SAS)を用いた婦人科手術の術後予測1)大阪医科大学麻酔科学教室、2)大阪医科大学附属病院集中治療部出口 志保1)、梅垣 修2)、大地 史広2)、下山 雄一郎2)、日下 裕介1)、門野 紀子2)【背景】当院では、2016 年に手術室とICUの増床を予定しており、術後ICU に入室する患者が増加すると予想される。SurgicalApgar Score(SAS)は、術中の出血量、最低心拍数、最低平均血圧の3項目の和で算出する手術の転帰スコアであり、術後合併症のリスク評価を簡便に行うことができる。当院におけるSASと婦人科手術後合併症発症率、術後ICU入室率の関係を後方視的に検討した。【対象と方法】当院で2014 年1 月から6 月に全身麻酔下で婦人科手術を施行した患者206 例のSASを麻酔記録より収集した。術後合併症は、膿瘍、感染、肺炎、イレウス、急性肝障害、急性腎障害、術後出血、深部静脈血栓症とした。【結果】SASの内訳は、低リスク群(8~10点)が107人、中リスク群(5~7点)が92人、高リスク群(4点以下)が7人であった。術後合併症発生率は低リスク群で7.5%、中リスク群で29.3%、高リスク群で85.7%であり、術後ICU入室率は低リスク群で0%、中リスク群4.3%、 高リスク群で42.9% であった。手術関連死亡率は3 群とも0% であった。【考察】婦人科手術後の合併症発症率とICU 入室率は、SASを用いて予測する事が可能であった。SASが4点以下の高リスク群は、術後合併症発生率と術後ICU入室率が高く、術後にICU へ入室し、医療介入できる可能性がある。これまでに我々は、2014 年に当院で施行された消化器外科手術1100 例と、呼吸器外科手術234 例のSAS を同様に検討してきた。いずれも高リスク群で術後合併症発症率、術後ICU入室率は高かったが、消化器外科手術と呼吸器外科手術において、リスク分類を低リスク群(9~10点)、中リスク群(6~8 点)、高リスク群(5点以下)としており、各科によってリスク分類を検討する必要があることが示唆された。【結語】SASを用いた婦人科手術の術後予測について検討した。今後も症例数を増やして当院での検討が必要と考える。FP-146 心肺停止蘇生後患者に対するAPACHEIIによる評価聖路加国際病院 救命救急センター三谷 英範、石松 伸一、大谷 典生、望月 俊明、三上 哲、田中 裕之、磯川 修太郎、鈴木 皓佳背景:Acute Physiology and Chronic Health Evaluation(以下、APACHE)IIスコアシステムは日本の集中治療室おいて広く使用されている重症度評価である。心肺停止蘇生後においてその有用性を明らかにした報告はない。当院における心肺停止蘇生後のAPACHEIIスコアについて調べた。方法:2014年1月から12月までの一年間で三次救命センターである当院集中治療室に入院した院外心肺停止蘇生後の患者を対象とした。18歳以下や院内心停止は除外した。集中治療室入室後APACHEIIスコアを抽出し、院内死亡および神経学的予後との関係についてMann-Whitney U検定を用いて解析した。Receiver Operator Characteristic(以下、ROC)曲線にてArea under the curve(以下、AUC)を用いてカットオフ値を検討した。なお、神経学的予後はcerebralperformance category(以下、CPC)で評価し1-2点を予後良好、3-5点を予後不良とした。結果:対象患者35名で、死亡が20名(57.1%)であった。生存群でのAPACHEII スコア平均値は22.9(± 5.1)、死亡群での平均値は28.8(± 8.5)であり有意に差を認めた(p <0.05)。スコア27 以上では感度75%、特異度80%、陽性尤度比3.8であった(AUC0.81)。次に、神経学的予後において予後不良群は22 名(62.9%)で、APACHEII スコアは良好群と有意差があり、27 以上で感度68.2%、特異度76.9%、陽性尤度比3.0 であった(AUC0.79)。APACHEII スコアの他に、予後に関与した因子は病着前の心拍再開と初期波形VF/無脈性VTであった。考察:心肺停止蘇生後においてAPACHEII スコアシステム27 以上では予後不良と考えられた。心肺停止の場合、病院前条件が予後に関係しており、APACHEIIスコアにそれら条件を組み込むことでより正確な予後予測が可能になると考えられた。FP-147 救急病棟入院後、24時間以内にICU 入室に至った症例神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター水 大介、瀬尾 龍太郎、朱 祐珍、有吉 孝一【はじめに】ICU管理が必要な救急患者のICU入室の遅れは死亡率上昇につながる。しかし入院当初は救急病棟での管理で可能と判断しても短期間でICU管理が必要になる救急患者が少なからず存在する。【目的】救急病棟入院後に24時間以内にICU入室に至った患者背景・臨床像について検討する【方法】2014年1月から12月までの12ヶ月間に、救急外来を受診し救急病棟に入院となった15 歳以上の患者のうち、24 時間以内にICU管理が必要となった患者の背景・臨床像をカルテから後方視的に検討した。【結果】救急病棟に入院した3,582例のうち、24 時間以内にICU入室が必要になったのは29例(0.8%)であった。男性15 例であり平均年齢は64±16歳。救急病棟入院時のAPACHE2は中央値で15(3~32)であり、入院時疾患として敗血症や頭蓋内疾患が多いが様々である。ICU入室が必要となった原因は循環不全が8 例(27.6%)、呼吸状態の悪化が7例(24.2%)、脳卒中や外傷性頭蓋内出血の増悪から手術が必要になった例が6例(20.7%)、意識障害や熱傷などからの気道確保目的が4例(13.8%)、CHDF目的、痙攣重責、心肺停止蘇生後が各1例(各3%)であった。ICU滞在日数は平均4.72±3.6日であり、30日死亡例は9例(31%)であった。【考察】ICU入室には重症度だけではなく多くの要素が関与しており、その基準を明確に定めることは難しい。救急病棟入院後24時間以内にICU入室が必要となるのはわずか1%弱と非常に少ないが、死亡率は直接ICU入室に至った患者より高い傾向にある。患者の経過を予測することは難しいが、状況によっては悪化に備えた短期間のICU入室も考慮にいれることも必要となる。