ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-789-FP-130 当院の過去5 年間のICU 在室日数の推移東京医科歯科大学 医学部附属病院 集中治療部原茂 明弘、塩田 修玄、大森 敬文、増田 孝広、丸山 史、若林 健二、足立 裕史、中沢 弘一、槇田 浩史2014年度より診療報酬が改訂され、特定集中治療室管理料1 が算定できるようになった。これによりICU在室状況に変化が生じたと仮設し、過去5年間の在室状況を検討した。【方法】データベースから2010年度以降の記録を抽出した。在室日数、APACHE II スコア、呼吸器適応日数等を解析の対象とした。【結果】5 年間で症例数は増加していた。2013 年度は第6 病日に退室例の小さなピークが存在した。2014 年度は3 日以内の入室が多かった。【考察】人工呼吸の適用期間がICU 在室日数と極めて強い相関を示し、これが在室日数を規定していると考えられた。2014 年度、14日以上の長期在室例数は変わらないながらも短期間の入室症例の増加した理由は、重症度自体は低い症例のモニタリング例が増えたと推論した。一方、請求に該当する14 日以内の算定数は3012 から2774へと減少していた。【結語】術後の監視を目的とした症例の短期入室が増加していた。FP-131 一地方基幹病院における集中治療専門医資格の取得ペース山形県立救命救急センター辻本 雄太、中塚 峻、山田 尚弘、三田 法子、佐藤 精司、武田 健一郎、瀬尾 伸夫、森野 一真【はじめに】当院は病床数660の山形県の基幹病院であり、臨床研修指定病院, 集中治療専門医研修認定施設, 救急科専門医認定施設,麻酔科認定病院である。新専門医制度の開始が迫っており、集中治療専門医はSubspecialty 領域に配されることになっている。地方において集中治療医の確保は困難であることが予想され、集中治療医資格の取得ペースを知るために自院のデータを収集した。【調査方法】現行の臨床研修医制度がはじまった2004 年度から2013 年度までの10 年間に当院で初期臨床研修を修了した医師をリストアップし進路を調査した。また救急科, 麻酔科を専攻した医師の中で、各々の専門医および集中治療専門医資格を取得した医師数を、各学会が公表している専門医名簿をもとに調査した。その上で、集中治療専門医資格の取得ペースを推計した。【結果】10年間で125人が当院で初期臨床研修を修了した。その後、7人(5.6%)が救急科を、11 人(8.8%)が麻酔科を専攻した。そのうち専門医取得可能な年数を経た医師において、救急科専門医を取得した医師は2/4 人(1.6%), 麻酔科専門医を取得した医師は3/7人(2.4%), 集中治療専門医を取得した医師は1/11人(0.8%)であった。10年間125人のうち1.64人が専門医資格を取得するものと推計した。※カッコ内は初期臨床研修修了者125人に対するパーセンテージである。【まとめ】当院の2004~2013年度の10年間125人の初期臨床研修医のうち、2014年度までで集中治療専門医を取得した医師は1人であった。今後もう1人が専門医資格を取得するかどうかというペースである。2015年9月現在、山形県内の集中治療専門医研修認定施設は3つ、集中治療専門医は7人である。24時間365日にわたり一定の集中治療レベルを保証するためには、専門医資格の取得ペースを上げることが必要であろう。FP-132 集中治療医に必要なメディカルリソースマネジメントMRMスキルの開発昭和大学 医学部 救急医学講座山下 智幸、有賀 徹【背景と目的】救急・集中治療医は初期診療や急変の場などで即席のチームを作る必要があり、日常の集中治療でも他科や多職種と連携を要することが求められる。あらゆる医療資源を利用して患者の予後改善に向けて最大の効果を発揮するためのスキルの評価方法は不十分であり、パフォーマンスを評価し教育するためのスキルを開発する必要がある。そのため、MRM; MedicalResource Managementスキルを開発した。【方法】航空業界で用いられるCRMスキル; crew resource managementは国内において宇宙航空開発機構JAXA; Japan aerospace exploration agency で既に開発されており、JAXAの指導を受けつつ医療版へ応用した。【結果】MRMスキルは5つの大分類clusterで構成し、1)状況認識、2)意思決定、3)業務負荷マネジメント、4)チーム形成・維持、5)コミュニケーションとした。それぞれに3つずつの要素elementを設けた。各エレメントに行動指標を複数提示する形とし、自らあるいは他者の行動を評価しやすくした。【考察】MRM スキルは利用可能な医療資源を効率よく最大限利用し最大の効果をだすために必要な能力である。災害や救急、急変対応では限られた環境であっても、最大の効果を出す必要がありMRMスキルに基づき適切な対応が求められる。医療安全の面からもMRM スキルは有用である可能性は高い。ノンテクニカルスキルについては各国からANTSやTeam STEPPSなどが国内でも広がりつつあるが、行動指標としては国民性や文化の違いから、日本向けのものを開発する必要があった。航空業界では国際的に航空機事故対策として長年リソースマネジメントについて開発され続けており、JAXAで2003年日本版が開発されている。医療の場への応用に有用であったが、今後は妥当性やスキルの計測手法を開発する必要がある。【結論】MRMスキルを開発したが、今後は行動指標としての妥当性を評価する必要がある。