ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-783-FP-112 当院救命救急センターにおける河川での溺水患者の検討岐阜大学医学部附属病院 高度救命救急センター山路 文範、吉田 省造、鈴木 浩大、池庄司 遥、中島 靖浩、中野 志保、橋本 孝治、加藤 久晶、豊田 泉、小倉 真治【背景】 本邦では溺水患者の33.6% は河川で発生しているが、木曽三川をはじめ多くの河川を有する岐阜県においても、河川での溺水患者に対する集学的治療は重要である。【対象】 過去10年間において、当院に搬送された溺水患者31例中、河川での溺水17例を対象とした。【方法】 診療録から情報を収集し、受傷状況および治療内容、予後について後方視的に分析した。【結果】 平均年齢は31.3歳。性別は男性14例、女性3例であった。季節は夏が17例中12例と最も多く、春が1例、秋が2例、冬が2例であった。冬の症例は事故と自殺企図であった。当院への搬送手段はドクターヘリ8例、救急車5 例、防災ヘリ3例、県警ヘリ1例であった。直接搬送は15例、転院搬送は2 例であった。 17例のうち、6例は初療室で死亡確認がされ、11 例を集中治療室に収容した。  11例の平均入院期間は6.9 日。人工呼吸管理を9例で行い、急性呼吸促迫症候群と診断されたものは7 例であった。抗菌薬加療は7例にABPC/SBT が投与された。溺水に対するステロイド加療は5 例にメチルプレドニゾロンが投与された。シベレスタットナトリウムを投与された症例は11例中5例であった。入院後死亡例は4例で、最終死因は各々異なっていた。【考察】 溺水ではサーファクタントの消失、肺胞毛細血管膜の損傷により肺コンプライアンスの低下、無気肺、気管支痙攣が起こるため、人工呼吸器による呼吸管理が重要とされ、当院症例でも大多数の患者で人工呼吸療法がなされていた。溺水に対するステロイド治療、シベレスタットナトリウム使用に関して、一定の見解は得られていないが、当院でも症例によって使用状況に差異が認められた。 河川での溺水は予防が重要であることは論を持たないが、もし発生した場合には、高次医療機関での早期の集学的治療提供が重要である。【結語】 当院で経験した河川での溺水症例を検討し、若干の文献的考察とともに報告する。FP-113 ICU でアセタゾラミドは代謝性アルカローシスを改善させ、人工呼吸器管理を減らすことができるか東海大学 医学部 内科学系 総合内科真鍋 早季、柳 秀高、桑野 公輔、石原 徹、小松 昌道、小澤 秀樹ICU では、COPD に代表されるII 型呼吸不全を中心として、代謝性アルカローシスが様々な場面で見られる。人工呼吸器を装着した患者では、代謝性アルカローシスがある場合にウィーニングが困難となることが多いことも報告されている。そこで、アセタゾラミドの使用でそれを補正することにより、自発呼吸を促進し、呼吸性アシドーシスを改善させ、人工呼吸器設定のウィーニングを促進する可能性があるとする報告もあるが、アセタゾラミドの効果に明確なエビデンスは少ない。当院では、肺炎やCOPD の急性増悪等でICU入室となった症例のうち、代謝性アルカローシスおよび呼吸性アシドーシスを認め、自発呼吸を促進させたいものにアセタゾラミドの投与を行っており、それらの症例について、検討を行った。2014年8月から2015年7月までの1年間、呼吸不全で当院ICU へ入室し、アセタゾラミドの投与を行った症例は計18例であった。基礎疾患は肺炎が多く、気管挿管/ 気管切開管理となったのは10 例、うち5 例は抜管(1例は再挿管)、2 例は気管切開後呼吸器を離脱でき(1例は再装着)、2 例はそのまま、1例は気管切開を経て呼吸器管理継続となった。NIPPV管理となったのは7例(うち2例は抜管後)で、5例が離脱することができた。アセタゾラミドはほとんどの例で500 mg/日の投与とされ、投与後3日目にはHCO3- を平均8.2 mmol/L、PCO2 を平均8.9mmHg 低下させ、pH を平均0.04 下げ、P/F 比を平均31 増加させた。呼吸数は平均0.8 /min 増加し、分時換気量は平均0.03 L/min減少した。平均入院日数は56日、ICU在室日数は21日、転帰としては死亡退院が8例であった。代謝性アルカローシスを伴い人工呼吸器離脱困難が予想される症例においては、アセタゾラミドが有用である可能性があり、今後の更なる検討が望まれる。FP-114 パルスオキシメーターを利用した呼吸数測定器Nellcor PM1000Nの使用経験日本医科大学 高度救命救急センター宮内 雅人、吉野 雄大、岩井 健司、松居 亮平、山名 英俊、石井 浩統、横堀 將司、増野 智彦、横田 裕行【はじめに】救急集中治療分野で呼吸数の計測は重要である。しかし現状において救急現場での測定は、救急隊の10秒間の目測であり、また救急外来では心電図インピーダンスからの計測で、記録を忘れることが多いとの報告もある。【目的】今回パルスオキシメーターと同様に侵襲がなく、指間センサーで呼吸数を測定できるNellcor PM1000Nを使用し、救急集中治療分野の有用性について検討した。【対象】当院救急外来に救急車で来院された5症例【方法】救急隊が現場で計測した呼吸数、来院時の1 分間目測による実測呼吸数、心電図モニターからの呼吸数、PM1000N 計測による呼吸数について比較検討した(図)【結果】目測による実測呼吸数と比較し、測定値誤差も見られず、さらに心電図計測による呼吸数が体動により大きくずれるという欠点に対し安定性が見られた。一方でセンサー装着部位がずれると計測値表示までの時間を要してしまう欠点もみられた。【結語】Nellcor PM1000Nは侵襲がなく、今後救急現場を含めた救急集中治療分野で広く有用性があると思われた。