ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
784/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている784ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-782-FP-109 病的肥満患者の呼吸管理福山市民病院 救命救急センター宮庄 浩司、柏谷 信博、米花 伸彦、大熊 隆明、石橋 直樹、山下 貴宏病的肥満患者の場合、その体型から来る特異性により、ベッドをはじめ多くの物品が規格外であり、呼吸管理においても工夫を要する。病的肥満患者の呼吸管理を2 例経験しそれぞれ若干の工夫を要しており報告する。【症例1】38歳 男性 息苦しさを主訴に近医受診後、呼吸困難のため当院に搬送された。自己申告では体重は約180kg程度。入院後臥位になれず、半坐位としたが血液ガス所見でPaCO2 110mmHgと高炭酸ガス血症により、当初BypathにてNIV(non invasive ventilation)をおこなったが意識低下をきたし換気できずBennnet840TM の NIV モードにて換気を施行。体重減少とともに、NIV からHigh flow nasal cannula(optiflow TM)に変更し自転車こぎなどの運動療法を負荷した。利尿により9日で計約21kgの体重減少をおこない9日目に酸素カニューラに変更し病棟に転棟した。 改善時の体重は約220kg であった。【症例2】22歳男性、呼吸困難と意識低下で近医より緊急搬送された。来院時Paco2 116mmHg で意識低下により、気管挿管施行を行い人工呼吸管理とした。利尿による体重減を図り9 日間で約25kgの体重減少を図った。本症例ではウイーニングに際し胸郭外陰陽圧式人工呼吸器を併用し抜管した。挿管中からダンベルによる運動負荷療法を開始し、抜管後の体重は約150kgであった。【考察】、病的肥満からの高炭酸ガス血症による意識障害においては、換気の改善が第一であるが、胸郭の重みによる換気不全に難渋する。挿管に関してはできれば挿管せず自発呼吸を温存する換気がよいと考えられるが2 症例ともNIV 専用器では換気ができずやむなく通常の人工呼吸器の装着を行っており治療時には人工呼吸器の特性や能力など患者に応じた換気方法の選択を考慮する必要がある。【結語】病的肥満患者の呼吸の改善には、基本は体重の減少であるが、その間の呼吸管理は人工呼吸器の特性を考慮した工夫と管理が必要である。FP-110 慢性呼吸不全患者におけるICU - AWの検討1)近江八幡市立総合医療センター 救命救急センター、2)近江八幡市立総合医療センター 麻酔科立川 弘孝1)、青山 武司2)人工呼吸器管理を必要とするICU重症患者で原因不明の神経筋障害(ICU-acquired Weakness:ICU-AW)を呈することが知られ、ICU退室後も一般病棟で長期入院を要することが少なくない。今回はこの一年間にICUでの人工呼吸器管理を要した3名の慢性呼吸不全の急性増悪患者を検討し、早期のリハビリテーションの介入などが神経筋障害や全身の引力低下を防ぎ得たか、入院期間の短縮に寄与したかどうかにつき検討した。3症例とも60歳代の男性で、症例1はリウマチ性間質性肺炎の急性増悪と難治性膿胸で長期人工呼吸管理を要したことよりAWを発症、特に呼吸筋と嚥下機能に高度の障害を残すことになった。気管切開、気管食道分離術を施行し退院にこぎつけた。症例2は高度慢性肺気腫症に急性肺炎を併発しARDS を併発から人工呼吸器管理を要した。経口気管挿管中の早期から体幹運動を中心とした早期リハビリテーションを始めたことにより、比較的早期に歩行可能となり呼吸器管理および気管切開から離脱できた。しかし嚥下機能は残存したままの退院となり現在も在宅で嚥下リハビリテーションを継続中である。症例3 は慢性肺MAC 症で治療中に原因不明の血小板減少症から肺胞出血を呈し人工呼吸器管理を要した。早期からリハビリテーションを開始したが、呼吸苦が強くなかなかリハビリテーションが進捗せず車椅子移乗は可能になったが、嚥下機能の回復が遷延している。3症例ともに痩せ型で病前からの呼吸機能低下が示唆されるが、発病前までは自立歩行可能でADLも自立していたにもかかわらず、入院数週間後には体幹や嚥下に関する筋力の低下が著しく、経菅栄養や胃瘻増設などを考慮せざるを得なくなる。このICU-AWの悪化因子や早期診断法につき検討し、治療やリハビリテーションに関して考察する。FP-111 術後の肺水腫の評価に肺エコーが有用であった1 症例福岡大学 医学部 麻酔科学十時 崇彰、矢鳴 智明、岩下 耕平、重松 研二、山浦 健術後の肺水腫の評価に肺エコーが有用であった症例を経験したので報告する。 症例は61 歳女性、148 cm、66 kg。40 mm大の右視床部腫瘍に対し、開頭腫瘍摘出術を行った。術中に空気塞栓を疑わせる所見があり、酸素化不良となった。聴診所見で両側肺野にラ音は聴取されなかったが、術後の胸部X線で両側肺門部のうっ血を認めP/F 比93 のため、気管挿管したまま集中治療室に入室した。 集中治療室入室後、肺エコーで肺水腫や肺炎でみられるB-line が同一肋間に3 本以上描出された。B-line は仰臥位両背側だけでなく、前胸部にもみられた。肺水腫の診断のもと、人工呼吸管理および利尿薬投与を行った。 入室2日目の動脈血液ガス分析ではPEEP12cmH20 でP/F 比163 であった。肺エコーのB-line の所見は両前胸部では消失したものの、両背側では残存していた。胸部X 線でも両側肺門部のうっ血は改善傾向であった。その後、胸部X 線所見の改善と共に両背側部のB-lineは消失した。なお、経過中、無気肺や気胸がないことを示唆するlung slidingとlung pulseの所見は常に認められた。 脳幹部に近い腫瘍であり、手術に伴うと考えられる意識障害のため術後9 日目に気管切開を行い、術後10 日目に人工呼吸から離脱した。 今回、肺水腫の評価に肺エコーを使用した。肺エコーは侵襲もなく簡便な検査であり、肺うっ血の補助診断および治療経過の指標の一つとなりうる可能性があると考えられた。