ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-776-FP-091 Harlequin syndrome に対してHybrid ECMO を導入した一例1)東京都立多摩総合医療センター 救命救急センター、2)昭和大学医学部 救急医学講座萩原 祥弘1)、清水 敬樹1)、小野 将平1)、鈴木 茂利雄1)、濱口 純1)、荒川 裕貴1)、金子 仁1)、光銭 大裕1)、森川 健太郎1)、三宅 康史2)【背景】敗血症性ショックと重症呼吸不全が合併した病態に対してVA-ECMOを導入した際,心機能の改善に伴い Harlequinsyndromeが問題となる事がある。【症例】70歳代女性,体重31kg,身長142cm。2 年前より関節リウマチの診断で治療を開始。2015 年6月呼吸困難を主訴に救急搬送。膠原病合併間質性肺炎, PJP,細菌性肺炎などの鑑別が挙がる急性呼吸不全に敗血症性ショックが合併した病態として治療が開始された。同日中にMurrey3.5 点,P/F76 と呼吸器不耐性の呼吸不全状態となりVVECMO導入となった。第3 病日に昇圧剤高容量使用にも関わらず循環動態が悪化し大腿動静脈カニュレによるVA-ECMO に移行した。心機能の改善に伴いECMO flow downを試みたところ,脳組織酸素飽和度の低下を認めHarlequin syndromeと判断した。そのため第10病日に右内頚静脈送血カニュレを加えVAV-ECMOに移行した。VAV管理中は低圧となる静脈送血側をチューブクランプで微調節することで, 徐々に動静脈送血比1:1から静脈送血優位にシフトさせていった。第11病日には合併症なくVVECMOに移行することが出来た。【考察】大腿動静脈カニュレによるVA-ECMO のmixing point は経時的に変化し正確な評価は困難である。またweaning期における上半身への血流は自己心肺に依存し,呼吸不全合併時は脱酸素血が循環するHarlequinsyndrome が問題となる。これに対してVV-ECMO への架け橋も兼ねて,VAV-ECMOへの移行が考慮される。このようなHybrid-ECMO ではチューブクランプを用いることで,変動する患者の呼吸循環動態に合わせて柔軟かつ適切なサポートを行なうことが可能となる。特にVA-ECMO管理中に呼吸不全の合併した症例やHarlequin syndromeが顕在化した症例ではVAV-ECMOの良い適応となり,病態に応じてVA・VAV・VVと移行させる事が一つの治療戦略となる。FP-092 急性呼吸不全におけるNPPV とHigh Flow Therapyの比較~短期効果についての検討公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科横山 俊樹、谷口 博之、近藤 康博、木村 智樹、片岡 健介、松田 俊明、寺町 涼背景:近年, High Flow Therapy(HFT)とNPPVの比較試験の結果により,HFTが急性呼吸不全患者の予後を改善することが示された.本邦においても急速にHFTの使用施設が増加し,急性期呼吸管理として定着しつつある.一方で,HFTは特殊な経鼻カニューレから高流量混合酸素を流す方法であり,顔面や鼻腔の形状の影響を受ける可能性もあるため,海外データのみで有効性を検討するのではなく,日本人を対象とした検討を行い,有効性を確認する必要がある.目的:NPPV 及びHFTそれぞれの同一症例における短期効果について比較する.方法:2014 年4 月~2015年7 月の間にHFT 及びNPPV双方を使用した症例において,酸素化及び呼吸困難(Borg scale),バイタルサインについて比較を行い,切り替えによる短期効果について後方視的に検討を行った.結果:対象症例は23例(年齢:74.8 ±10.4,男18/ 女5)だった.急性呼吸不全の原因は,ARDS 14例,間質性肺炎5 例,肺炎2 例,心不全2例だった.全例でBorg scaleの前後評価ができていたが,動脈血ガス分析が前後評価できたのは16例だった.NPPV 設定はCPAP 17 例,ST モード 6 例,PEEP は6.6 ± 2.8cmH2O だった.HFT 設定はFlow 56.9 ± 6.0L/min, FIO2 50.0 ±12.6% であった.HR,呼吸数,Borg scale はHFT・NPPV 切り替えによって有意な差は認めなかったが,PaO2/FIO2 はHFT 時184.2±93.21,NPPV 時 203.1±97.5(p=0.0171)とNPPVにおいて有意に上昇していた.NPPVと比べてHFTにおいてBorg scaleが1項目以上低下していたのは23例中11例だった.考察:酸素化改善効果はHFTと比べて有意にNPPVが良好であった.一方で,HFTを用いることで半数近くの症例でBorg scale低下がみられた.短期の酸素化改善を必要とする疾患においてはNPPVが望ましいと考えられたが,一方で一部の症例ではHFTで呼吸困難が改善することが示唆されており,長期的な使用を視野に入れればHFT で管理可能な症例も少なからずあると考えられた.FP-093 PAV+ が呼吸器離脱時のウィーニングに有用であった肺気腫の1 症例大阪医科大学附属病院 集中治療部大地 史広、梅垣 修、日外 知行、下山 雄一郎、門野 紀子、出口 志保症例)67歳男性、既往歴は高血圧、肺気腫。肺気腫に対して在宅酸素療法(HOT)中であった(経鼻カヌラより100%O2 1L/min)。冠動脈3枝病変に伴う不安定狭心症、腹部大動脈瘤と診断され、これらに対して冠動脈バイパス術(CABG)と腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)が予定された。経過)3枝CABG術後、挿管・未覚醒のままICUへ入室。SIMVからプレッシャーサポート(PS)を使用してウィーニングし術後3 日目に抜管されたが、酸素化の悪化と呼吸の促迫を認めたため再挿管となった。再挿管後のウィーニングにはPSの後にPAV+を用い、再挿管から5日目に抜管された。再抜管後は呼吸促迫など認めず経過し、術後14日目にICUを退出された。CABG術後から27日目にEVAR+腎動脈、上腸間膜動脈再建を施行された。術後に前回と同様、挿管・未覚醒でICUへ入室した。人工呼吸管理は前回の経験を参考にPAV+を使用してウィーニングを行った。術後6日目に抜管し呼吸促迫・再挿等の呼吸管理上問題なく経過し術後7 日目にICU 退出となった。EVAR術後31 日目に腹部の創がし開し閉創術が行われた。前回と同様に挿管のままICU入室とし、PAV+ を用いて呼吸器ウィーニングを行った。術後4 日目に抜管され、問題なく経過したため術後5日目にICU退出した。考察)PAV は患者の吸気仕事量をもとに呼吸器のサポート量を決定する換気様式であるが、PAV+ではこの煩雑な吸気仕事量の算出を自動で行い患者の毎回の吸気努力に対して追従する。PS では対応しきれない抜管困難な患者に対しても吸気努力への応答性がよく、また設定も吸気仕事量の%で指定する簡便さから呼吸器の合併症を持つ患者のウィーニングに有用であると考えられる。結語)HOT 中の重度COPD 患者の呼吸器ウィーニングにPAV+ が有用であった。