ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
777/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている777ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-775-FP-088 当院 ICU における高流量経鼻酸素療法(NHF)の使用状況について国立国際医療研究センター 救命救急センター 集中治療科岡本 竜哉、植村 樹、米廣 由紀、仁平 知保、小川 竜徳、深谷 隆史、松田 航、佐々木 亮、野中 千春、木村 昭夫【背景と目的】高流量経鼻酸素療法(NHF, Nasal High-Flow Oxygen therapy)はベンチュリーマスク等の通常の高流量酸素療法と非侵襲的陽圧換気(NPPV)の中間に位置する酸素療法で、最近90日死亡率が有意に改善したとの報告(NEJM: 372, 2185,2015)もあり、大変注目されている。NHFの対象疾患はCO2の貯留を伴わない低酸素血症とされているが、ICUにおいては心不全や軽度の肺炎、さらに抜管後の酸素投与などその応用範囲は広い。当ICU は総ベッド数780床の総合病院における10床の集中治療施設であり、主に侵襲度の高い手術患者の術後管理やCCU 機能、そして院内重症患者の全身管理を行っており、入室患者の約1/4 に挿管・人工呼吸管理を行っている。そこで今回、当施設におけるNHFの使用状況について検討を行った。【結果】2014.4~2015.8 における当施設の入室患者2467 例中、NHF を使用した症例は64例、NPPV を使用した症例は114 例であった。年毎に見ると導入した2013年は6例、2014年は14例、そして2015年は44例と、特に今年になって使用頻度が急増していることがわかった。担当科としては外科が約半数で、次いで循環器・呼吸器内科であった。43/64 例(67%)は抜管後の酸素療法として使用され、そのうち35/43例(81%)は鼻カヌラ等の低流量酸素療法に移行・離脱できた。しかしながら5/43 例(12%)は NPPV に移行し、3/43例(7%)は再挿管となった。挿管を伴わない症例としては、急性心筋梗塞後や慢性心不全、軽度の肺炎などNPPVの適応とされる症例が多かった。最近ではNPPVを適応し難い症例、例えば食道がんの術後などにおける喀痰排泄困難例や、高侵襲度手術後の抜管後の酸素療法としてルーチンに用いている。【結論】NHF は、再挿管率やNPPV 導入率を減らしうる新しいデバイスとして、その適応範囲は今後益々拡大していくものと考えられる。FP-089 抜管後呼吸不全の予防においてHFNC はNPPVに取って代わるか?1)済生会熊本病院 救急総合診療センター、2)鹿児島大学病院 救急・集中治療部菊池 忠1)、中山 雄二朗1)、高木 誠1)、川野 雄一朗1)、福永 崇1)、尾崎 徹1)、白井 純宏1)、具嶋 泰弘1)、前原 潤一1)、垣花 泰之2)【はじめに】抜管後呼吸不全のリスクが高い症例に抜管直後からNPPVを導入すると抜管後呼吸不全を予防できるという報告がある。近年登場したHigh-flow nasal cannula療法(以下HFNC)が抜管後呼吸不全の予防においてNPPVに取って代わるのかどうか、救急症例と術後症例のそれぞれにおいて検証した。<救急症例>【対象】2012年1月~2015年1月に当センターへ入院となり気管挿管下人工呼吸管理を施行され、担当医の判断で抜管直後からNPPVまたはHFNCを導入された29症例。【結果】NPPV群:10例、HFNC 群:19 例であった。再挿管率(NPPV 群 vs HFNC 群= 3/10(30.0%) vs 4/19(21.1%),p = 0.59)、入院期間(33.1 ± 24.3日 vs 41.6 ±35.2 日,p= 0.33)、院内死亡率(2/10(20.0%) vs 3/19(15.8%),p= 0.78)はそれぞれ二群間に有意差を認めなかった。<術後症例>【対象】2009年5月~2013年1月に心臓・大血管手術施行後、気管挿管下に鹿児島大学病院ICUに入室し、プロトコルに基づき抜管直後からNPPV またはHFNC を導入された73 症例。【結果】NPPV 群:48 例、HFNC 群:25 例であった。再挿管率(NPPV 群 vs HFNC 群= 3/48(6.3%) vs 1/25(4.0%),p = 0.69)、入院期間(58.9 ± 44.4 日 vs 44.4 ± 26.0 日,p = 0.14)、院内死亡率(3/48(6.3%) vs 2/25(8.0%),p=0.78)はそれぞれ二群間に有意差を認めなかった。それぞれの施行期間(30.1±25.1 時間 vs 39.7 ± 36.9 時間, p = 0.19)には有意差はなかったが、中断回数(6.0 ± 5.5 回/ 日 vs 0.042 ± 0.146 回/ 日, p < 0.01)はHFNC 群で有意に少なく、喀痰排泄回数(2.6 ± 4.7 回/ 日 vs 7.2 ± 6.2 回/ 日, p < 0.01)はHFNC 群で有意に多かった。【まとめ】救急症例でも術後症例でもHFNCはNPPV と同様に抜管後呼吸不全の予防に有用であった。NPPVと比較してHFNCは患者の受け入れが良く、また抜管後に危惧される喀痰の排泄にも有利にはたらく可能性が示唆された。FP-090 悪性腫瘍末期患者における高CO2 血症に対するHFNC 酸素療法の使用経験都立墨東病院 胸部血管心臓外科松永 裕樹、尾辻 瑞人、中村 景子、小林 亜紀、伊藤 淳、三島 秀樹、片山 康、石川 進、大島 哲【はじめに】近年、高流量経鼻カニューラ(HFNC:high-flow nasal cannula)による酸素療法が注目されている。今回、高度の高CO2 血症に対して、HFNC酸素療法が有効であった症例を経験したので報告する。【症例】45 歳女性。18 年前に浸潤性胸腺腫に対して、胸腺腫及び、心膜、胸膜合併切除術を施行。その後、胸膜播種病変に対して、放射線療法、化学療法を行っていた。胸部CT 画像検査では、播種病変が右主気管支を閉塞し、右胸腔は無気肺及び播種巣で占拠され、肝転移もあり、左胸腔は圧排されていた。この1年、悪性胸腺腫の胸膜播種により気道狭窄、気道分泌物増による低酸素血症・高CO2血症で入退院を繰り返していた。在宅酸素療法を導入し、外来管理中であったが、呼吸困難・低酸素血症が増悪し、緊急入院となった。徐々に意識状態悪化、血液ガス検査ではマスク5L下で、PaO2:116mmHg,PaCO2:186 と高度のCO2 ナルコーシスの状態で、用手換気では改善しなかった。原病のコントロールが不良であることより、従来から侵襲的な延命処置を行わないことを本人・家族に同意を得ており、人工呼吸器管理は行わない方針であった。このため、鼻腔内死腔のウオッシュアウト効果を目的にHFNC(OptiflowTM,F&P850TMSystem(Fisher & Paykel Healthcare,New Zealand))を使用し、流量40L/min,FIO2:60% で導入した。開始後30 分でPaCO2:121mmHg に改善し、翌日にはPaCO2:103mmHg にまで改善した。家族と会話が可能なまでに意識状態も回復した。【考察】2 型呼吸不全に対する、NPPVの使用は確立されているが、HFNC酸素療法の適応は定まっていない。本例は、DNRでNPPVが使用できないという、限定的な状況ではあるが、症状の改善を得ることができた。また終末期の患者に対し、良好な装着感や症状緩和効果としても、有効と思われた。【結語】本例のように、高度の高CO2 血症に対してもHFNC 療法が有用であることが示唆された。