ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-771-FP-076 食物による窒息を契機として発症した陰圧性肺水腫・肺胞出血の2 症例1)大分市医師会立アルメイダ病院 救急集中治療科、2)大分市医師会立アルメイダ病院 総合内科高崎 智美1)、稲垣 伸洋1)、徳田 隼人1)、中島 竜太1)、安部 雄治2)、高倉 健2)陰圧性肺水腫・肺胞出血は上気道閉塞に伴う胸腔内の高度陰圧状態で引き起こされ、全身麻酔の抜管時における上気道浮腫が原因とされる報告例が多い。今回、食物の誤嚥に伴う陰圧性肺水腫をきたした症例を経験したので報告する。症例1 は70 歳代女性、小脳出血後遺症にて施設入所中。バームクーヘンを食べて窒息し心肺停止きたし救急要請。施設職員により食物は除去され胸骨圧迫蘇生処置が行われた。当院搬入時、自発呼吸あるもSpO288%(O210L/マスク)と低下し、胸部X線にて肺門部を中心とするすりガラス陰影を肺野全体に認めた。胸部CTでは両上肺野を主体にびまん性の粒状影を認めた。入院後、酸素投与と抗菌薬投与で改善し施設へ退院した。症例2は70歳台男性、進行性核上性麻痺あり近医通院中。椎茸を食べて詰まらせ意識消失したため救急要請。当院搬入時は救急隊による処置で自発呼吸あり。胸部X線にて蝶形陰影を認め、胸部CTでは両上肺野を主体にびまん性の粒状影を認めた。酸素投与と抗菌薬投与で改善し5病日に退院した。食物を契機とする窒息など急激な上気道閉塞後に胸部異常陰影を認めた場合は陰圧性肺水腫・肺胞出血を鑑別にあげる必要があると考えられた。FP-077 ASVが有効であった超高齢者の気管気管支狭窄症の1 例石川県立中央病院 救急科明星 康裕、太田 圭亮、南 啓介COPDや肺気腫、 喘息等により、気管軟骨の無い気管背側弾性膜の脆弱化、前後方向に気管支が圧排され、 狭窄を来すEDAC(Excessive dynamic airway collapse) が報告されている。今回超高齢者のEDAC に対しASVで良好な結果を得た症例を経験したので報告する。<症例>93歳の介護施設入所中の女性。既往歴は、高血圧、心不全、腎機能障害、気管支喘息、認知症があった。現病歴は5 日前から風邪症状があり、ベッドで倒れていたのを施設職員に発見され、呼吸苦を訴え救急車で搬送されてきた。来院時身体所見は血圧191/136、脈拍88、SpO2 98(O2リザーバーマスク6 L/min)であり、呼気に著明な狭窄音があった。血液検査では貧血、腎機能障害、心不全があった。心電図は心房細動、胸部X線では心拡大と上縦隔の拡大があった。心臓超音波検査では壁運動低下はなかった。胸部CT検査では、輪状軟骨以外の、気管ほぼ全長が背側膜様部から圧排され狭小化していた。食道が圧排となっていて、狭窄は左右気管支、右中間幹、左下葉気管支近位まで及んでいた。また、左胸水の貯留、胸膜石灰化、葉間胸水、慢性膿胸も認めた。気管支鏡検査を行い、呼気時に見られる閉塞に近い著名な気管狭窄があり、EDACと診断した。高齢の為、ステント等に侵襲的治は行わず、ASVによる呼吸管理を行い良好な呼吸状態を得た。<考察>EDAC は呼気時に胸腔内が陽圧となり,気管内腔は縮小する。気管平滑筋機能不全があると軟骨の無い後壁が貫入し、前後径が50%以上縮小するとEDACとなる。その結果、喘息様発作、再発性気管支炎, 抜管失敗等が生じる。通常喘息の治療であるステロイドや 気管拡張薬吸入の効果は乏しく、気管挿管やPEEP で症状が隠される。<結論>超高齢者に発症したEDAC の症例を経験した。ASVによる呼吸管理が有効であった。FP-078 気道狭窄を呈した経口気管チューブ、気管切開チューブに起因した声門直下炎症性腫瘍の1 例加古川西市民病院 救急科切田 学気管挿管に起因する気管炎症性腫瘤は2000例に1 例に発症する。今回、経口気管チューブ、気管切開チューブの接触により気道狭窄を伴う声門直下炎症性気管腫瘤の1 例を経験した。【症例】70歳代女性。3日間続く呼吸苦により緊急搬入された。JCS100、呼吸19/ 分、脈拍86/ 分、血圧156/80mmHg、SpO295%(酸素10L)、瞳孔R3mm(+)L3mm(+)、体温35.9℃、両肺野にcoarsecrackles とwheezes を認めた。BNP302pg/ml、CTR66.2%、胸部CT にて両側胸水と右下肺浸潤影を認め、慢性心不全急性増悪と診断した。NPPV 管理にてPaCO2134mmHg、PaO262.5mmHg と不良で、3 時間後に経口挿管下にPSV 管理(PEEP5cmH2O、PS10cmH2O)を行った。マイナス4000ml の累積水分バランスとなった第3 病日に意識清明、PaCO266.3mmHg、PF 比252 と改善したので、挿管チューブを抜去した。抜管直後より気道狭窄音があり、喉頭ファイバーにて声門直下腫瘤性肥厚を確認した。第5病日にPaCO2105.5mmHg、PF比133と悪化し、再挿管後PSV管理になった。第10 病日に気管切開を施行、その後PaCO256.2mmHg、PF比330と改善し、自発呼吸下酸素療法に移行できた。気管切開の状態で第110 病日に転院となった。60日後の再入院当日に気管切開チューブを抜去したが、発声はえられず、窒息状態になった。CT上、喉頭ファイバー上ともに声門直下腫瘍は縮小していなかった。再入院第8 病日より細い径の気管切開チューブに交換、2 日後に発声ができた。更に細いチューブ径に変更し、9日後には腫瘍は消失したので、気管切開チューブを抜去した。その後に窒息症状・所見はなく、経口喀痰排泄も可能で、再入院37 病日に退院した。【考察・まとめ】気管挿管チューブの接触による声門直下の気管炎症性腫瘤は短時間で発症し、反対に接触解除で短時間に消退する。緊急気管切開が止む得ない時は、早々に気管切開チューブ径を細くしていくことが有効であろう。