ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-770-FP-073 喉頭異物摘出後の肺水腫の検討国立病院機構 大阪医療センター 救命救急センター曽我部 拓、高端 恭輔、佐尾山 裕生、石田 健一郎、島原 由美子、家城 洋平、定光 大海【はじめに】上気道閉塞解除後に肺水腫を来すことは知られている。当院に搬送となった喉頭異物による上気道閉塞症例について後方視的に検討した。【対象】2010年4月から2015年3月の期間に喉頭異物による窒息で当センターに搬送となった10症例(除くCPA症例)。年齢70(63-88),性別(男:女 5:5),異物(食物が9例 義歯が1例),ADL(自立2例,介助歩行可4例,全介助4例)。【結果】ADL が自立していた2 症例で肺水腫の合併を認めた。症例1:63 歳,男性。キャベツを喉に詰めたとのことで救急要請。胸部Xp で肺水腫をみとめ陰圧性肺水腫の診断で人工呼吸管理を継続した。陽圧換気により肺水腫、酸素化は速やかに改善し第2病日に抜管し第4 病日に退院となった。症例2:5歳,男児。冷凍ブドウを喉に詰め救急要請。救急隊到着時はチアノーゼが著明であったが異物除去され,チアノーゼが改善した状態で搬入となった。搬入時,意識清明であり胸部レントゲンにて若干の浸潤影がみられたが酸素化は維持できていたため酸素投与のみで入院とした。入院3時間後より意識レベルの低下を認めた。胸部レントゲンにて両側肺野のびまん性浸潤影が著明であったため人工呼吸管理とした。挿管後,気管内からはピンク色の泡沫状分泌物を多量に吸引でき,胸部CTで両側すりガラス影を認めたため陰圧性肺水腫と診断した。人工呼吸管理を継続し胸部レントゲン所見改善したことを確認し第5病日に抜管,第9 病日に退院となった。【考察・結語】吸気努力が強いADL良好な症例で上気道閉塞後の肺水腫の出現を認める傾向にある。閉塞解除後の呼吸状態の厳重な観察が必要である。FP-074 再膨張性肺水腫による低酸素血症に対し一酸化窒素吸入が有効だった左室補助装置装着患者の1 症例1)鳥取大学 医学部 医学科 麻酔科、2)鳥取大学 医学部 附属病院 高次集中治療部湊 弘之1)、森山 直樹1)、南 ゆかり2)、仲宗根 正人1)、北川 良憲1)、持田 晋輔1)、稲垣 喜三1)再膨張性肺水腫では、低酸素血症となることがあるため、人工呼吸管理下にPEEP を負荷する治療法が行われてきた。一酸化窒素(NO)は、選択的肺血管拡張作用により換気血流比を改善させることが知られている。今回我々は、再膨張性肺水腫によると考えられる低酸素血症にNO吸入が有効であった左室補助装置(LVAS)装着患者の一症例を経験したので報告する。患者は60歳の男性で、急性心筋梗塞(AMI)にて当院搬送後に肺停止となり、経皮的心肺補助装置を装着され経皮的冠動脈形成術を施行された。重症心不全で内科的治療は困難と判断され、AMI 発症から31 日目にLVAS 装着術を施行された。LVAS装着術施行後から左胸水が貯留した。術後4 日目に胸腔ドレーンを留置して、胸水を1L排液し、ドレナージを継続した。留置後、漿液性の喀痰が著明に増加し、酸素化が低下した。PEEP負荷など施行するも、吸入酸素濃度80%でPaO2が48mmHgとP/F比が60まで低下した。胸部写真で左肺野の透過性低下がみられたため、再膨張性肺水腫と診断した。PEEP負荷を増圧するもLVASの脱血が困難となったため増圧できず、吸入酸素濃度も100%を必要とした。翌日からNO 吸入を行ったところ、開始直後から酸素化は改善し、20 分後にはP/F比が160となり、投与酸素濃度を軽減できた。NO吸入は4日間施行したが、有害事象無く呼吸状態は改善した。片側性の再膨張性肺水腫は、換気の行われている肺胞と閉塞している肺胞が二極化しているため、NO の換気血流比の改善効果が著明であったと考えられる。高度の低酸素血症を呈す再膨張性肺水腫に、NO吸入は有効であると考えられる。FP-075 てんかん発作後に肺水腫をきたした一例久喜総合病院 救急科岩瀬 信哉、出口 善純、幸部 吉郎【症例】18 歳男性.【経過】他院で意識消失発作の精査を予定していたが,痙攣発作を起こし当院救急搬送となった.来院時には痙攣は消失しており意識清明,酸素投与なしでSpO2 96%であったが,診察中に呼吸苦が出現,湿性咳嗽と血痰を認めSpO2 85%にまで低下した.胸部CT検査で両側肺野すりガラス影を認めたため抗菌薬投与,酸素投与および抗痙攣薬投与を行い一般病棟で入院加療を開始した.ところが,入院同日に再度痙攣発作が生じた.ジアゼパム投与で痙攣は消失したものの意識覚醒は不十分であり,さらにマスクによる酸素投与では酸素化を保てなくなったため気管挿管,人工呼吸管理としICU 入室となった.第2病日の胸部レントゲン画像では肺野陰影が増強したが,痙攣発作は制御され酸素化は改善傾向となり第4病日に人工呼吸器を離脱した.以降,酸素化の低下や痙攣発作なく経過し,第6病日に脳波検査でてんかんの診断に至り,第8病日の胸部レントゲン画像では肺野陰影は消失,第11病日に退院となった.【考察】てんかん発作に伴う肺水腫の報告は少なく,誤嚥性肺炎と誤診されていたり軽度のものは見逃されていたりする可能性がある.てんかんでは発作時の気道確保だけでなく,発作後肺水腫の可能性を認識しておくことが重要である.