ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-764-FP-055 身体抑制を減少させた看護師の意識と行動の分析岩手県立中央病院 ICU佐々木 謙一、松村 千秋【はじめに】平成26年度からA病院ICUでは、身体抑制率(日勤の身体抑制実施患者のべ数/ICU入室患者のべ数)を算出している。その身体抑制率が8 月までは30%前後であったものが、9月以降15%前後と半減し推移している。減少した背景として[人工呼吸器装着率][せん妄発症率][看護師人数/日]などと身体抑制率の関連性を検証したところ、統計学的有意差は認められなかった。このことから、身体抑制率を減少させた要因は看護師の意識や行動にあると考え、看護師へインタビューを実施し分析を行なった。【方法】平成26 年5 月~平成27 年2 月に勤務していたA病院ICU 看護師を対象に、身体抑制率が減少した現状をふまえ個人の意識や行動の変化を問う半構造化面接を実施し、内容を逐語録にまとめ内容分析を行なった。インタビューおよびデータ収集に際し、研究施設の倫理委員会の承認を得て行った。【結果】看護師23 名から回答が得られた。インタビューの結果から、身体抑制率を減少させた要因は[抑制への葛藤][抑制しないための看護実践][リソースの活用][手応え]の4 つのカテゴリーが抽出された。【考察】看護師は、抑制はしたくないという思いと患者の安全を守るという看護師の責務との間で[抑制への葛藤]を抱えていた。そのような葛藤の中、さまざまな[抑制しないための看護実践]を行っていた。その実践を促進しているのがリソースの存在であった。[リソースの活用]が、抑制に対する認識と看護実践の変化の後押しとなり、身体抑制率を減少させたと考える。また、看護師は実践による患者の良い変化や効果を[手応え]として実感していた。その実感と抑制したくないという思いとが、身体抑制率減少の維持につながったと推測される。行動分析学では、行動するにはその個人の意識や能力、現在と過去との相互作用が関係しているといわれている。身体抑制を減少させた背景には、今回抽出されたカテゴリーが相互に影響を及ぼした結果と考える。FP-056 ICU 看護師のポジショニングに対するアセスメントに関する調査JCHO 星ヶ丘医療センター芝田 紀子、坂井 慶子、清田 希世、深津 百合、都築 典子、大西 和彦、中山 和子目的:ICU看護師のポジショニングのアセスメントについて問題解決思考を用いて明らかにする。方法:ICU に勤務する看護師10 名を対象に、事例を設定し、看護過程の問題解決思考に沿ってポジショニングについてのアセスメントを質問紙と面接法で実施。事例紹介: 被殻出血・発症4日目・人工呼吸器使用結果: <観察>神経学的所見・呼吸・循環は、全体的に観察できている。<問題の抽出>対象者全員が# 1 非効果的組織循環:脳、# 2非効果的気道浄化を立案していた。しかし、脳浮腫の予測はあるが、それを助長する細やかなアセスメントが不足していた。事例では嘔吐しており誤嚥性肺炎に着目している人が多かった。<ポジショニング方法の決定>#1非効果的組織循環:脳の問題を挙げていたが、脳浮腫を予防するポジショニングではなく、大半が、呼吸状態に着目したポジショニングを行っていた。<評価>最終のポジショニングの評価として10 名中9 名が、呼吸状態の変動に着目していた。考察: 問題抽出から方法の決定までは、潜在的な合併症の予防をアセスメントしている。しかし、実施となると、直面した目に見える問題解決へと優先順位が変化する。FP-057 自己抜去のリスクに関するHCU 看護師の捉え方社会福祉法人 三井記念病院 HCU諏訪 早苗、中村 真央、玉木 綾乃、福田 幸人、松本 千香江【はじめに】我々はこれまでにHCU病棟におけるライン・チューブ類の自己抜去について後方視的研究を行い、前年度では自己抜去患者の言動を調査しカテゴリー分類を行った。自己抜去患者の言動は5 個のカテゴリーと12 個のサブカテゴリーに分類されたが、患者の言動には看護師が抜去のリスクとして捉えにくい内容が含まれている可能性があると考えた。【目的】看護師が自己抜去のリスクとして捉えている患者情報を明らかにする。【対象・方法】対象:HCU 看護師32名。方法: 自己抜去のリスクと考える患者情報をありのまま表現してもらうため自由記載式質問紙とし、アンケート調査を実施。前年度の研究と比較できるように、得られた結果のうち患者の言動に関するものを抽出し、同じカテゴリー名を使用して分類した。【倫理的配慮】院内の倫理委員会の承認を得た。【結果】スタッフの考える自己抜去リスクが高い患者情報は、情緒の変動24%、治療の意味が理解できない23%、せん妄・自己抜去歴がある11%、幻覚・妄想がある9%、鎮静・睡眠薬の使用7%、治療による不快感5%、その他11%。また言動とは異なるが、自己抜去のリスクアセスメントにJCSを参考にすると答えたスタッフは32 名中20名だった。【考察】前年度の研究で、生理的欲求の阻害、身体抑制による苦痛、コミュニケーションの障害が自己抜去患者の言動のカテゴリーとして挙げられていた。今回のアンケートでこれらのカテゴリーは全く挙がっていないことから、これらの事は自己抜去のリスクとして看護師に認識されにくいのではないかと考えた。ライン・チューブ類とは直接関係がないように思える患者の言動も自己抜去の兆候であるため、苦痛軽減に努める必要がある。自己抜去患者で多かった「辻褄の合わない言動」はアンケートでは4 件2%と少なかった。辻褄が合わない=意識レベルが清明でないと判断されたために、カテゴリーに挙がってこなかった可能性がある。