ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-762-FP-049 集中治療室における開心術患者の嚥下機能評価フローチャートの作成と妥当性の検証1)琉球大学 医学部 附属病院 集中治療室、2)琉球大学 医学部 麻酔科学講座、3)琉球大学 医学部 保健学科高志武 千賀子1)、松川 綾乃1)、屋良 愛子1)、上原 佳代1)、糸嶺 京子1)、古謝 安子3)、神里 興太2)、照屋 孝二2)、渕上 竜也2)、垣花 学2)集中治療室における開心術患者の嚥下機能評価フローチャート作成と妥当性の検証【動機】集中治療室ではこれまで抜管後の嚥下機能評価が統一されておらず、看護師個々が患者に水分摂取をさせ嚥下機能の評価を行っていた。しかし、評価には個人差がありその客観性に疑問があった。当集中治療室に入室する割合が高い開心術患者は、人工呼吸器を装着しており、平均年齢も66歳と高く、誤嚥を起こす危険性は高い。抜管後に誤嚥性肺炎をおこすと再挿管となる患者もおり、拙速な経口摂取は患者予後を悪くする可能性がある。そのため、経口摂取が再開されるには手術前の嚥下機能の評価が重要になる。嚥下機能評価の介入は急性期から行うことが望ましいが、高齢者対象の嚥下機能評価用表はあるものの、集中治療室患者を対象にしたものは少ない。今回、開心術患者の嚥下機能評価フローチャートを作成し、嚥下機能評価表の活用にて妥当性を検証する事で、看護師一人一人の評価を統一することができる。また、患者の嚥下機能を客観性・画一的に評価することで、患者のみならず医師との情報の共有化を図ることが可能になると考えられる。【倫理的配慮】琉球大学臨床研究倫理審査委員会の承認を得て研究を行う。【方法】2015年9 月~11月に入室する開心術を行う患者に対し、嚥下機能フローチャートに沿って手術前と抜管後の嚥下機能評価表を使用し、嚥下機能の評価を行っていく。その後、嚥下機能評価表・嚥下機能フローチャートが客観的・画一的に行われているか評価する。過去1年間の開心術後の誤嚥性肺炎及び誤嚥リスクがある患者の発生率と調査期間の発生率を把握し比較する。FP-050 鎮静管理における患者の健康意識とは~見た目の変容に対しての家族の反応と看護師が行った維持的介入~独立行政法人国立病院機構災害医療センター 9階ICU小山 千桜里、中村 香代、八ッ繁 寛【はじめに】入院生活や挿管管理、鎮静化を行うことによって、自らの健康的な外観を保つことが困難となった女性患者や、その患者を目の当たりにする家族の抱える想いに対して、看護師が出来ることはないかと着目した。整容に焦点を当て援助することで変化する患者、家族の双方のニードについて、一連の所見を得たので振り返り報告する。【目的】働く成人女性としてのキャリアや、家庭内での妻、母親という役割を担い、自身の健康的な外観を保つための化粧や整容といったセルフケアを行っていた女性の健康的な見た目を保つために、看護師が行える援助について探求することを目的とした。【方法】突然の入院や見た目の変化があり不安を抱える家族の変化するニード・コーピングをCNS-FACE スケール使用により明らかにし、今後の看護援助の手がかりとする。【結果】患者の外観を日ごとに時間を決めて観察ポイントとなる項目をチェックし、必要な清潔ケアを施行することによって患者の外観が保たれ、最終日にはチェックリストの全ての項目が達成された。入院当初は混乱や動揺が大きく涙を流す場面が多かった家族も、患者の見た目が整うにつれて表情も明るく積極的に患者に関わるようになり、看護師とともにケアに参加するようになった。【考察】A氏からの言語的ニーズが望めない状況であったため、家族を含めた清潔ケアを行う事によって本人の身なりを整えたいというニードを満たし、家族から見たA 氏らしさが保たれ、面会毎に表情が明るくなって行くのが分かった。患者自身を援助することはもちろんであるが、家族も同様に援助の対象として捉えることも重要であることが示唆された。看護師の主観だけではなく、患者の背景となる生活様式や、患者、家族の思いを尊重して関わる必要があると考える。FP-051 体外式膜型人工肺(ECMO)を導入した患者への看護実践: 現状と今後の課題日本医科大学付属病院 外科系集中治療室亀ケ谷 泰匡、富岡 靖友、末松 宏美、中村 幸子、細萱 順一、背戸 陽子今回、A 病院において国内初のCARDIO HELP(MAQUET 社製)を使用したECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)症例を経験した。この経験から、ECMO症例のリハビリテーションや搬送時の有用性について検討した。また、ECMOに関する看護師への教育の重要性を再認識し、A 病院におけるECMOを導入した患者への看護実践の現状と今後の課題について考察したので報告する。【症例】心臓手術後の心不全患者に対するVA ECMO 1症例、肺移植待機中の呼吸不全患者に対するVV ECMO 1症例の計2 例。【看護実践】CARDIO HELP 導入にあたり、安全な患者管理の為に導入前からの研修やトレーニングに加え、マニュアルやチェックリストの作成を行った。経過中には、理学療法士と連携したリハビリテーション、検査や気分転換目的の散歩の際に搬送などを経験した。また、ECMOトラブルを経験し、医師や臨床工学技士らと連携し、運用手順の改善を図った。【考察】CARDIO HELPは搬送を想定したコンパクトな形態をとる。既存のECMOシステムに比べ、高い機動性やシンプルな回路構造により、リハビリテーションや搬送時の安全が確保しやすいと考えられた。また、国外においてはECMO Specialistなどの体系化された教育プログラムがあるが、本邦では同様のシステムは存在しない。このような状況の中、本邦でも回路内圧のモニタリングが可能なECMO システムが採用され始めた。ECMO 治療において、患者管理の役割を担う看護師にもより専門的な知識や臨床的判断が求められている。A病院では2011 年よりECMOチームを結成し、看護師への教育として定期的な勉強会やトレーニングを行っているが、より体系化された看護師の教育システムを構築する必要がある。【結語】CARDIO HELPを使用したECMO管理において、安全なリハビリテーションや搬送が可能であった。また、ECMO治療における安全な看護実践の為には、体系化された看護師の教育システムの構築が望まれる。