ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-756-FP-031 土砂災害において受傷した開放骨折から早期の緑膿菌敗血症ショックをきたした1 例1)獨協医科大学越谷病院 救急医療科、2)県立広島病院 救急科、3)県立広島病院 形成外科佐伯 辰彦1)、板井 純治2)、多田 昌弘2)、竹崎 亨2)、楠 真二2)、山野上 敬夫2)、永松 将吾3)【はじめに】土砂災害における外傷についての報告例は少ない。また、Gustilo type3の開放骨折は高い感染率が知られている。我々は、2014年の広島県の土砂災害の中で土砂に流された開放骨折早期に緑膿菌敗血症を合併し上腕切断、集中治療を必要とした症例を経験したので報告する。【症例】 患者は64 歳男性、自宅1階で就寝中に裏山の土砂崩れにより300m 以上流され、歩道上に倒れているところを発見され、救急搬送された。 来院時、血圧50/29mmHg, 心拍数113/min とショック状態、意識はGCSE3V5M5、体温34.6℃だった。 全身が土砂により汚染されており、気管挿管後、全身を洗浄し、左橈尺骨開放骨折に対して、手術室で洗浄後、前腕の創外固定を行い、ICU に入室した。この時点で前腕は血流を認めており、Gustilo type3B と判断した。抗菌薬は、CEZ、AMK を使用した。 入院2 日目に、血圧低下を認めた。診察上、明らかな出血源はなく、敗血症性ショックと判断しノルアドレナリンを開始した。抗菌薬は、CEZをTAZ/PIPCに変更した。左前腕の汚臭を認め、感染源と診断し、再手術を行った。血流は途絶しており上肢温存は困難と判断し上腕切断術を行った。術後、敗血症ショックに対してCHDF、PMX を併用し、全身状態は改善した。 入院2 日目に採取した血液培養からP.aeruginosaを認め、汚水による緑膿菌性敗血性ショックであったと診断した。 入院9日目に抜管、その後、上腕切断部の感染を認め再度デブリドメントを必要とし、入院102日で独歩退院した。【考察】 本症例では、土砂に300m流され、開放骨折や全身の創内に土砂が入り込み早期に緑膿菌敗血症をきたしたと考えられる。FP-032 敗血症に伴うsymmetrical peripheral gangreneの2 例1)大分大学 医学部 附属病院 高度救命救急センター、2)大分大学 医学部 附属病院 形成外科、3)竹田医師会病院 整形外科重光 修1)、和田 伸介1)、竹中 隆一1)、石田 健朗1)、吉田 光郎1)、黒澤 慶子1)、上原 幸2)、石井 一誠3)対称性末梢性壊疽(symmetrical peripheral gangrene)は大きな動脈の閉塞を伴わない2 肢以上の末梢の虚血傷害が特徴であり、比較的稀である。今回、この症状を呈した2例を経験したので報告する。症例1:84 歳男性、下血があり他院にて大腸内視鏡検査施行され大腸憩室症からの出血と診断され入院した。発症6 日後より40℃の発熱、嘔吐、呼吸状態悪化しショックとなったため、同日本院に転院した。重症敗血症と診断し治療を開始した。血液及び尿の培養からKlebsiella oxytoca が検出され、尿路感染からの敗血症が疑われた。入院3日目、足背動脈は触知可だが、両足趾末梢のチアノーゼ、冷感は著明になり、入院9日頃には壊疽となった。プロスタグランジンE1点滴により拡大傾向や感染はなく経過観察となった。症例2:74 歳男性、意識障害を伴う小脳梗塞で他院にて入院加療を受けていた。入院後、発熱、DIC、腎機能悪化認め発症5日目に本院に転院となった。重症敗血症の診断で加療開始した。本院入院2 日目に循環動態悪化しNA, Vasopressinを使用したが、それ以後全指趾末梢の壊疽をきたした。FP-033 MSSA(Methicillin-Susceptible Staphylococcus Aureus)が起炎菌と考えられる劇症肺炎の一例1)川崎医科大学 麻酔集中治療医学3、2)鳥取市立病院 麻酔科日根野谷 一1)、吉田 悠紀子1)、福田 直樹1)、那須 敬1)、片山 大輔2)、落合 陽子1)、花崎 元彦1)、片山 浩1)【症例】65歳男性、スイス人。3月下旬、夫妻で日本旅行中、急に呼吸困難感を訴え当院救急外来を受診後、ICU入室となった。ICU 入室時SpO2 < 70%(100% O2)、BT: 39.8 ℃、HR:110/min、WBC: 2,500/ μ L、CRP: 23mg/dL、と強い炎症反応と腎機能傷害を認めた。 胸部CT検査では右肺中下肺野を主体とする浸潤影を認めた。心エコーでは左室壁全体にわたりdiffuse hypokinesisであった。喀痰から検出されたグラム陽性球菌に貪食像を認めたため、経口挿管後人工呼吸器装着し、パズフロキサシン及びリネゾリドの投与を開始した。入室翌日急激な血圧低下とP/F ≒ 50 と極度の低酸素血症、41.1℃の高熱を認めた。ノルエピネフリンおよびピトレシンの昇圧剤を投与し、腎補助および抗炎症作用を目的にAN-69STによる血液浄化を開始した。入室18 日目に撮影したCT では入院時認めなかった多発性の肺内嚢胞と気胸を認めた(図)。その後も粘り強く治療を継続し、入室55 日目、人工呼吸器補助下に帰国の途に着いた。【まとめ】MSSAは毒性が強く、強い炎症と組織破壊を認め重篤化することがある。