ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-746-FP-001 Rapid Response System導入の試み群馬大学 医学部附属病院 集中治療部戸部 賢、岸田 浩一、日尾 早香、楢原 創、徳江 彩、松岡 宏晃、坂上 浩一、日野原 宏、国元 文生、齋藤 繁【背景】病院内の急変患者には、その急変の8 時間前までくらいにその予兆があると言われている。その予兆の段階で対応することで病院内での予期せぬ心肺停止発生を防ぐことができるという報告がある。当院にはもともと院内急変発見時、予め決められた番号をコールすることで集中治療室の医師・看護師が対応するシステムが存在していた。しかし、急変コールの4割は心肺停止状態でのコールであり、それら院内急変を事前に対応するために既存の緊急コールシステムに加えてRapid Response System(RRS)を立ち上げた。【方法】まず過去の論文をもとに、当院におけるRRS コール基準を設けた。その際に、8 つのバイタルサインを中心とした客観的基準の他に、『医療スタッフによる臨床上の懸念』という項目も加えた。コール番号とコール基準を病棟スタッフに周知し、集中治療部リーダー医師がその電話を携帯することとした。病院内の広報は、医療安全部門と連携して、院内の医療安全講習で講演を行い、医療安全部の発行する広報誌に掲載してもらうかたちで行った。また職員全員が携帯する院内ポケットマニュアルにもコール基準、コール番号を記載してもらった。【結果】RRS 導入から一年経過した時点で、RRS 発動件数は21 件でそのうち10件はICU入室となった。その一年間の緊急コールのうちのCPA割合は27%で過去4年間の40%を下回った。【考察】今回、院内の緊急コールシステムに加えてRRSを導入したが、コール件数は少なく、周知に時間を要している。ただ、緊急コールのCPA割合は減少しており、ある程度の効果は期待できるため、今後さらに病棟スタッフへ周知し、システムを利用していただけるように努力していく必要がある。ポスターFP FPポスター会場FP-002 Rapid Response System導入が緊急コールの状況に与えた影響の検討順天堂大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科野村 智久、関井 肇、杉田 学、高見 浩樹、小松 孝行、水野 慶子、三島 健太郎、井上 照大、近藤 彰彦、浅子 英当院には以前より共通の緊急コールがあったが、明確な要請基準は無く適切に機能しているとは言えなかった。当院開院から5年間の調査では、緊急コールの理由として心肺停止が46%と最多であり、その予後は必ずしも良好とはいえなかった。この状況を改善するため、当院では2012 年11 月よりRapid Response System(RRS)を導入した。RRS 導入前後の緊急コールの状況の変化を検討した。緊急コール件数は、RRS 導入前が1.2 件/ 月、後は2.0 件/月であった。緊急コールの理由としては、導入前は心肺停止が46%、次いで意識レベル低下が31%であり、導入後は心肺停止が40%、意識レベル低下は36%とあまり変化がみられなかった。RRS導入前の心肺停止症例の66%に、導入後では78%に心肺停止の前兆を思わせるカルテ記載がみられた。RRS対応は2.7件/月であった。RRS の導入により緊急コールの件数の減少を期待したが、むしろ増加しており、また緊急コールに占める心肺停止の割合も著変なかったため、RRS 導入が効果を挙げているとは言えなかった。要因として、DNARオーダーの確認の不徹底、不要な緊急コールの混在、RRS と緊急コールの要請基準の混同、RRS 自体の周知が不十分、医師と看護師以外の職員にはRRS の要請の判断が困難、などが考えられた。RRSの件数は徐々に増加傾向にあり、緊急コールとRRSを合わせた件数は明らかに増えている。適切に緊急コールやRRS が運用され続ければ、今後は緊急コールが減り、心肺停止の件数も減少させる可能性がある。FP-003 当院Open ICUにおける一般病棟からの緊急入室患者の検討1)パナソニック健康保険組合 松下記念病院、2)松下記念病院腎不全科、3)松下記念病院麻酔科國原 宏文1)、小松 良平1)、安田 考志2)、趙 崇至3)【目的】一般病棟からICU に緊急入室した患者の特性を調査し課題を明らかにする【方法】2014 年1~12 月に当院ICU に入室した患者のうち、一般病棟から緊急入室した患者のSAPSII スコア、予測死亡率、入室時間帯、ICU在室日数、病棟入院からICU入室までの期間を後ろ向きに集計し比較検討を行った。【結果】36例が該当した。緊急入室した患者の年齢は72.8±7.9歳、SAPSII42.0±16.9、予測死亡率32.3 ±27.4%、ICU在室日数4.8 ±3.2 日であった。日中と夜間の緊急入室患者のSAPSII、予測死亡率に有意差はなかった(SAPSII:日中;42.3 ± 13.0、夜間;41.8 ± 20.8、予測死亡率:日中;31.6 ± 22.7%、夜間;32.4 ± 32.6%)。病棟入院からICU入室が24時間以内と24時間以降の患者のSAPSII、予測死亡率に有意差はなかった(SAPSII:24 時間以内;41.9± 17.1、24 時間以降;42.2 ± 17.2、予測死亡率:24 時間以内;32.9 ± 27.3%、24 時間以降;31.8 ± 28.2%)。病棟入院からICU 入室までの期間が24時間以内の患者が17名(47.2%)であった。【考察】一般病棟入院からICU入室までの期間が24時間以内の患者が47.2%と多いこと、緊急入室患者の予測死亡率が昼夜問わず30%以上を示していることが当院の一般病棟からICUへ緊急入室する患者の特徴であった。これはICUに入院する必要性の高い患者が一般病棟に入院し、より重症度が増した状態でICU へ緊急入室している可能性が考えられる。当院はOpen ICU であり、客観的な視標を用いた具体的なICU 入室基準を作成することで、状態が悪化する可能性のある患者のスムーズな入室が可能となると考える。重症度に即した具体的なICU 入退室基準の策定、急変発生を予防しそれに対応するためのRRS などのシステム整備、患者トリアージを含む急変徴候に気づくための看護師教育の必要性が示唆された。