ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-743-CP69-4 人工呼吸管理患者における鎮静プロトコル導入の効果1)淀川キリスト教病院 救急・集中治療科、2)奈良医科大学付属病院 総合診療科原 悠也1)、矢田 憲孝2)、長田 俊彦1)、的井 愛紗1)、武東 義成1)、石田 丈貴1)、堀 雅俊1)、藤本 善大1)、三木 豊和1)、則本 和伸1)【背景】2013 年J-PAD ガイドラインが発表され、プロトコルに従った鎮静が推奨されている。【方法】2013年4月から2015 年3月に48 時間以上の人工呼吸管理を要した症例を対象とし、鎮静プロトコル導入前(Non Protocolized Sedation;NPS)群と導入後(Protocolized Sedation;PS)群で比較検討した。【結果】NPS 群30 例、PS 群27 例で、APACHE2score はNPS 群21.8 ± 7.1・PS 群21.6±8.1であった。PS群ではfentanyl使用例が有意に多く、ミダゾラム使用例・複数の鎮静薬使用例が有意に少なく、CPOTはPS 群0.44 ± 0.43(NPS 群は評価なし)、RASS はNPS 群-2.1 ± 1.1 ・PS 群 -0.95 ± 0.7(p < 0.05)であった。ICU freedays(28 日-ICU 滞在日数)はNPS 群12.8 ± 8.6 日・PS 群13.6 ± 8.0 日、カテコラミンfreedays(28 日-カテコラミン投与日数)はNPS 群22.5± 7.4 日・PS 群23.7 ± 5.1 日、人工呼吸器freedays(28 日-人工呼吸器装着日数)はNPS 群16.7 ± 9.2 日・PS 群16.7 ± 8.5 日と、いずれも差はみられなかった。手術例と非手術例に分け比較すると、手術例(NPS 群7例・PS 群3 例)では、人工呼吸器freedays はNPS 群13.0 ± 12.2 日・PS 群22.0 ± 3.0 日と、PS 群で長い傾向にあった。一方、非手術例(NPS 群23 例・PS 群24 例)では、呼吸器freedaysはNPS群17.8±8.1日・PS群.16.0±8.8日と差はみられなかった。また、疾患別で比較すると、非呼吸器疾患(NPS群15例・PS 群10 例)では、カテコラミンfreedays はNPS 群21.7 ± 7.6 日・PS 群26.2 ± 2.1 日と、PS 群で長い傾向にあった。一方、呼吸器疾患(NPS 群15 例・PS 群17 例)では、カテコラミンfreedays はNPS 群23.2 ± 7.5 日・PS 群22.2 ± 5.8 日であった。【結語】鎮静プロトコル導入により鎮静薬の減量、浅鎮静管理が可能となった。特に、手術例では人工呼吸器期間、非呼吸器疾患ではカテコラミン投与期間がそれぞれ短縮される傾向がみられ、鎮静プロトコルが有用である可能性が示唆された。CP69-5 中央手術部集中治療室開設後の術後早期離床状況の推移と入院期間との関連1)福山市民病院 麻酔科・がんペインクリニック、2)福山市民病院 中央手術部集中治療室石井 賢造1)、小野 和身1)、日高 秀邦1)、小山 祐介1)、小坂 真子1)、谷本 和香奈1)、片山 明1)、木村 由佳2)、池口 修平2)、大元 未知子2)【背景】当院中央手術部集中治療室(以下当ICU)では手術翌日に一般病棟へ帰棟する患者の割合が高く,開設当初から手術翌日午前中退室の患者も「第一歩行はICU内で施行」することを目標として取り組み,さらに2014年9月より「離床マニュアル」を作成・運用している【目的】当ICUでの術後早期離床の実施状況と入院期間との関連について検討する【方法】診療録を用いた後向き研究.対象期間を以下のように設定した.A:2013年5月~7月(開設当初)、B:2014年4月~7月(離床マニュアル使用前)、C:2015年4 月~7月(離床マニュアル使用後)。対象は当ICUに入室した手術後患者で、入室翌日退室し、手術翌日医師より離床許可の出た患者とした。離床実施率、離床成功率、失敗理由、対象患者の入院期間およびAPACHE2スコア等の患者背景について比較検討した。統計解析はχ2検定、Steel-Dwass法を適宜使用【結果】症例数は期間A:147,B:154,C:196例であった。APACHE2スコアの中央値はA:10.5,B:12,C:12であり, 期間Aに比べてB,Cは有意に高かった。期間Aと比較しB,Cでは離床実施率(A:64.6%,B:94.8%,C:98.0%)、離床成功率(A:55.1%,B:84.4%,C:74.1%)は有意に上昇。しかし期間B → C では離床成功率は低下。入院期間(中央値(日)A:11,B:12,C:12)はA→Cでは有意に延長したが,他は有意差を認めなかった【考察】APACHE2スコアの上昇はより重症度の高い症例でも離床が求められていることを示している.期間B→C で離床成功率が低下した要因としてはマニュアルにより中止基準が明確化されたことがあげられ、より安全な離床手順を踏んでいることが考えられた。入院期間の延長については重症度以外にもさまざまな要因が考えられ,さらなる検討が必要である【結語】当ICU開設後の離床状況と入院期間の関連について調査した。今後は安全な離床を実施しつつ離床成功率を上げ,入院期間の短縮につながるような取り組みが必要であると考えられた。