ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-742-CP69-1 開腹下腹部大動脈瘤手術に神経ブロックと持続創部浸潤麻酔の併用で術後鎮痛を行った5 症例伊勢赤十字病院 麻酔科藤井 靖子、中川 裕一、藤井 文、原 祐子はじめに:開腹下腹部大動脈瘤手術は創が広範囲であり術後痛が強いが,術中に抗凝固薬を使用するため硬膜外麻酔は使用し難い.そのため当院では神経ブロックと持続創部浸潤麻酔を併用し,術後鎮痛を行っている.方法:全ての症例において,デスフルラン,レミフェンタニル,フェンタニルを併用した全身麻酔で行った.導入後に,腹直筋鞘ブロック,肋骨弓下腹横筋膜面ブロック,腹横筋膜面ブロックを施行し0.25% アナペイン90ml を投与した.また,両側総腸骨動脈遮断解除後にフェンタニルを0.25μ g/kg/hにて開始し,24時間持続投与した.手術終了時に,持続創部浸潤麻酔として腹膜を縫合後,0.75%ロピバカイン20mlを局所投与し,筋膜下に多孔式カテーテルを留置した.閉腹後に0.2%ロピバカイン300ml を6ml/h で投与開始した.術後疼痛時のレスキューとして,アセトアミノフェン1000mgやブプレノルフィン0.2mgを静注した.術後痛の評価は,術後2,6,12,24,48時間後に10段階のVAS疼痛スケール,制吐薬の使用回数を調査した.結果: 症例は60歳から68歳の男性5例.全症例において制吐薬は使用しなかった.術後5 回分のVAS 値は,症例(1)0/0/0/2/0,症例(2)1/1/0/5/5,症例(3)0/2/5/10/5,症例(4)2/1/2/1/2,症例(5)0/3/0/1/4となった.考察:今回,4症例で術後48 時間までのVAS 値は0-5を推移し良好な鎮痛が得られたと思われる.当院では,創部痛に対して神経ブロックと持続創部浸潤麻酔を,内蔵痛に対してはフェンタニル持続投与にてmultimodal な術後鎮痛を行っている.持続創部浸潤麻酔は,その鎮痛作用によりオピオイドの使用量と吐気等の副作用を減らす可能性があり,腹部大動脈瘤を含む硬膜外麻酔が困難な開腹術症例には有用であると考えられた.今回の報告は5症例と少ないため,今後も症例数を増やして持続創部浸潤麻酔の効果を検証していくつもりである.ポスターCP 69 鎮静・鎮痛・せん妄・早期離床⑥ 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP69-2 腹部大動脈瘤術後疼痛対策としての腹横筋膜面ブロック応用 第3 報~液性剥離面の時間的変化に関して1)三豊総合病院 麻酔科、2)舞鶴共済病院麻酔科松下 幹晴1)、長野 ゆり1)、白石 建輔2)、小松 達彦1)【緒言】われわれは腹部大動脈瘤に対する開腹術に対し、季肋弓下斜角腹横筋膜面ブロック(以下TAPブロック)が有用であることを報告してきた。現在持続ブロックを行う施設も多いと思われるが、術前の単回投与でも充分な効果が得られることも多い。経験的に単回投与の持続時間は半日以上と考えられているが、薬液の吸収に関する知見は見当たらない。そこでわれわれは、ブロック後の液性剥離面がどのように推移するかを検討した。【対象と方法】2014 年4 月から2015 年3 月までに当院外科で腹部大動脈瘤人工血管置換術を受けた患者7 例である。全例全身麻酔導入後に両側のTAPブロックを0.375%ロピバカイン計40mLで行い、術後の液性剥離の最大値を超音波下に計測した。【結果】明らかに液層剥離していると考えられる筋層を測定した結果、ブロック後(以下同様)4時間で0.8mmから2.2mm、6時間で0.66mmから2.2mm、8 時間で0.43mmから1.2mmであった。最大で11時間後に液性剥離を認める症例もあったが、術翌日は判別不可能であった。【考察】後腹膜臓器の手術である腹部大動脈瘤手術は腹腔内操作がほとんどないため、体性神経ブロックに過ぎないTAPブロックは有効と考えている。従来神経血管面は薬液の吸収が早いと考えられていたが、今回の検討では相当時間の貯留があったと思われ、われわれが現実に体験するブロックの持続時間と相関するものだろう。持続ブロックが単回より有用であることに異論はないが、煩雑で、手術操作の妨げになり得ること、またコスト面などを考えると、単回投与と他の持続鎮痛法併用は、一般市中病院では充分有用だと考える。【結語】TAPブロックの経験的持続時間は、薬液が充分に緩やかな速度で吸収されるよるものであることが示唆された。CP69-3 当救命センターにおける急性期リハビリテーションへの取り組み1)東京都立多摩総合医療センター、2)昭和大学救急医学講座笠原 道1)、清水 敬樹1)、鈴木 茂利雄1)、荒川 裕貴1)、濱口 純1)、萩原 祥弘1)、光銭 大裕1)、金子 仁1)、三宅 康史2)、小野 将平1)【はじめに】 集中治療領域に限らず、リハビリテーションの開始の遅れは廃用症候群を招き、特に高齢者では不可逆的障害を惹起しうるので、早期開始が重要とされている。当センターにおいてリハビリテーションを積極的に行った患者5例を検討することで、デバイス装着患者の急性期リハビリテーションの問題点や展望を報告する。【症例】70 歳代、男性。顕微鏡的多発血管炎による肺胞出血で当院リウマチ科入院中。呼吸状態不安定となり、気管挿管、人工呼吸及びV-VECMO管理となった。管理中にベッドサイドで立位を行うことが出来た。30歳代、男性。モダフィニル中毒による意識障害で救急搬送。気管挿管、人工呼吸器装着し、ICPモニター挿入し管理していた。ICPモニター抜去後、気管挿管を行いながらも歩行できるまでに至った。50歳代、女性。アイスピックによる胸腹部刺傷、縦隔気腫で救急搬送。気管挿管、人工呼吸管理となった。気管挿管を行いながらも歩行することに成功した。70 歳代、男性。転倒による頭部外傷受傷後、1 週間後に救急搬送。頭部の血腫が壊死、自壊しており、広範なデブリードメントが必要と考え、気管挿管、人工呼吸器管理となった。連日の洗浄とデブリードメントを行い、気管切開施行し、頭部に対し陰圧吸引療法を開始した。陰圧吸引療法のデバイスをつけながらも歩行を積極的に行った。70歳代、男性。交通外傷による血気胸と多発肋骨骨折によるフレイルチェストで集中治療管理。チェストバンドで外固定を行い、胸部の疼痛に対して硬膜外カテーテルを挿入し、適切な鎮痛下で歩行可能となった。【考察】現疾患のコントロールが難しい患者は、リハビリテーションそのものが症状の増悪や合併症増加に関与してしまう。当センターでは他職種によるリハビリカンファレンスを行うことで、中・長期的ゴールや短期的ゴール、医学的な問題点や注意点などを共有し、積極的なリハビリテーションを行っている。