ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-734-CP65-1 ボリュームビューシステムの術中適応 -腎移植術における有用性―1)徳島大学 麻酔疼痛治療医学分野、2)徳島大学 地域医療人材育成分野、3)徳島大学 歯科麻酔科学分野里見 志帆1)、曽我 朋宏2)、川人 伸次2)、箕田 直治1)、片山 俊子1)、若松 成知1)、久米 克佳1)、堤 保夫1)、田中 克哉1)、北畑 洋3)【背景】慢性腎不全患者に対する腎移植術時には移植腎の機能維持と腎血流維持を目指し、腎血流再開までに短時間で多量の輸液を行う。多くの慢性腎不全患者は術前に腎機能だけでなく、循環器系合併症を有しており大量の輸液負荷により周術期に肺水腫を発症することがある。【症例】5例の腎移植術症例にボリュームビューシステムを使用した。全身麻酔導入後、左大腿動脈からボリュームビューカテーテル、右内頸静脈よりプリセップCVオキシメトリーカテーテルを挿入し、EV1000 クリニカルプラットフォームに接続した。連続的パラメーターとしてCO/CI, SV/SVI, SVR/SVRI, SVV, ScvO2 を測定し、ボリュームビューによる間欠的パラメーターとしてEVLV(肺血管外水分量)、ELWI(肺血管外水分量係数)、GEF(全心駆出率)、GEDV(全拡張終期容量)、GEDI(全拡張終期容量係数)、PBV(肺血液量)、PVPI(肺血管透過性係数)、ITBV(胸腔内血液量)を測定した。手術前、腎血管吻合前、腎血管吻合後に間欠的にパラメーターを算出し、輸液の指標とした。肺内水分量、末梢血管容量をイメージし、ベンチサージェリーまでは極力輸液を制限し、また腎血流再開までには輸液を急速負荷することが出来た。明らかな合併症はなく,視認性の高い画面設定により病状把握・効果確認が容易であった。【結語】腎移植術中にボリュームビューシステムを用いて肺水分量も考慮した輸液管理を行った。ボリュームビューシステムはALI やARDSなどに対して集中治療領域で使用されて来たが、周術期であっても肺水腫のリスクのある患者・術式に使用すれば有用なモニターとなる可能性がある。ポスターCP 65 心臓・循環・体液管理⑦ 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP65-2 高度肺動脈狭窄を合併したアラジール症候群患児に対する生体肝移植術の麻酔経験京都大学医学部附属病院 麻酔科木村 良平、田中 具治、瀬川 一、福田 和彦アラジール症候群は遺伝性の肝内胆汁うっ滞症であり、心血管系の異常を伴うことが多い。高度の肺動脈狭窄を合併したアラジール症候群患児に対する生体肝移植術の麻酔を経験したので報告する。【症例】出生時に黄疸を指摘され、肝生検の結果アラジール症候群と診断された。肺動脈狭窄を合併しており、肺動脈ステントが留置されていた。生後6ヶ月で肝移植術の適応と判断されたが、重症の肺高血圧(肺動脈圧 103/12mmHg、平均48mmHg)を認めたため、経カテーテル的肺動脈ステント拡張を先行させた。その後も肺高血圧は残存(肺動脈圧77/7mmHg、平均33mmHg)していたが、さらに肝機能も低下し、肺動脈狭窄に対する治療も限界と考えられたため、関連各科で合同カンファレンスを行った上で、1歳1ヶ月時に生体肝移植術を施行した。【経過】急速導入後に気管挿管し、動脈ライン、中心静脈カテーテルを挿入した。開腹後よりドパミン・ドブタミンを開始し、循環動態は比較的安定していた。しかし、移植肝の再灌流後から次第に血圧が低下し、容量負荷、フェニレフリン間欠的投与、ドパミン・ドブタミン増量を行ったが、効果に乏しく収縮期血圧 50mmHg台まで低下した。アドレナリン持続投与、一酸化窒素(NO)吸入を開始したところ、次第に循環動態は改善し、収縮期血圧 90mmHg 前後まで回復した。その後は、大きな問題なく手術終了し、集中治療室に入室した。術後経過は順調で、術後29日目に軽快退院した。【考察】再潅流後に循環動態が不安定となり、再灌流症候群や右心不全、グラフト肝による下大静脈の圧迫などを疑ったが、結果的にNO 吸入とアドレナリンの投与によって安定させることができた。本疾患では肝移植術を必要とすることが多いが、肝外病変、特に心血管系の評価が重要となる。ただ、統一的な指針はなく、各症例において個別に判断されている。本疾患の適切な術前評価や治療について文献的考察を加えて検討する。CP65-3 Ross手術後のSystolic Anterior Motion発生時のVector Flow MappingとEnergyloss評価1)京都府立医科大学 麻酔科学教室、2)京都府立医科大学 心臓血管外科秋山 浩一1)、木下 真央1)、清水 優1)、濱岡 早枝子1)、加藤 秀哉1)、内藤 慶文1)、板谷 慶一2)、佐和 貞治1)圧格差100mmHg 以上の重度大動脈弁狭窄症と診断された、5 才男児に対してRoss手術が行われた。術中経食道心エコーによるモニタリングを行っていたが、人工心肺離脱後に僧帽弁のSystolic Anterior Motion を認め、輸液、輸血による負荷とカテコラミン中止により、SAMを解除できた。その際、重度のSAMが発生していた時には、clockwise vortex のejection vortical SAM というべきVFM 画像が,SAM がmild まで軽減した時にはcounterclockwise vortex のbending vortical SAMというべきVFM画像が得られた。また、それぞれの事相においてEnergyloss の算出も行い、SAM が解除されるに従いEnergyloss も減少していた。VFMとEnergyloss の評価を行うことで、臨床的予後の評価につなげらると考える。