ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-720-CP58-1 集中治療室における薬剤師による注射薬のルート管理について1)医療法人社団洛和会 洛和会音羽病院 薬剤部、2)医療法人社団洛和会 洛和会音羽病院 看護部、3)医療法人社団洛和会 洛和会音羽病院 ICU/CCU岩内 大佑1)、岸田 敬子2)、大野 博司3)【はじめに】今年度から当院は病棟薬剤業務を実施し、9月より同業務実施加算を取得する予定である。集中治療室(以下ICU/CCU)は努力義務病棟であるが、一般病棟と同じく担当薬剤師を配置し病棟薬剤業務を展開している。今回、当院のICU/CCUにおける注射薬のルート管理業務について報告する。【方法】調査対象は平成27年5月1日から平成27年7月31日にICU/CCUに入院した患者。ルート管理として1日1回管理を目標に実施。ルート管理の項目は、配合変化、投与速度、薬液濃度、指示逸脱の有無、静脈炎の有無などとした。【結果】上記の期間におけるICU/CCUの入院患者数は184名。そのうち薬剤師による注射薬のルート管理を実施できた患者数は67 名(実施率36.4%)、のべルート管理件数は110 件であった。診療科の内訳は心臓内科20 名、脳神経外科11 名、心臓血管外科10名、神経内科5名、外科4名、集中科3名、その他の診療科14 名であった。ルート変更の提案が7 件、配合変化は7件(うち未然回避は6 件)、流速逸脱が1 件であった。また、静脈炎は11件発見し、VIPスコア3のものが1件あり、他はVIPスコア2以下程度であった。静脈炎の原因薬剤はプロポフォールが3 件、アミノ酸・ビタミンB1 加総合電解質液が3 件、デクスメデトミジンが2 件、その他の薬剤が3 件であった。【考察】ルート管理の実施率は低率ではあったが、配合変化の未然回避および静脈炎の早期発見などが行えたことから、薬剤師によるルート管理は注射薬の適正使用に寄与できることが示唆された。【今後の展望】薬剤師によるルート管理の頻度を増やすと共に、薬剤師不在時にも病棟スタッフが配合変化を回避できるような早見表などを作成することで、さらなるICU/CCU の注射薬の適正使用に貢献したい。ポスターCP 58 チーム医療② 2月14日(日) 9:30~10:30 CPポスター会場CP58-2 ICU への薬剤師常駐の取り組みと効果北播磨総合医療センター小茂池 潤太、都 弓恵、稲岡 梨乃、小松 義輝、山端 大樹、金城 和美、武士 昌裕北播磨総合医療センターでは、平成26 年9 月より病棟薬剤業務実施加算の算定を開始するにあたり、ICUへの薬剤師常駐を開始した。そこで、ICUへの薬剤師常駐前後における薬剤関連業務の変化、及び新たな取り組みについて報告する。新たに開始した業務として、1. 麻薬・向精神薬・鎮静薬の管理と処方せん処理、2. 内服薬の処方代行入力、3. 鎮痛・鎮静・せん妄への関与、4.RST 回診への参加があげられる。特に、鎮痛・鎮静・せん妄への関与では、挿管患者への鎮痛薬・鎮静薬の適正使用に介入したことにより、ミダゾラム注、レペタン注の使用量が減少し、フェンタニル注、プロポフォール注の使用量が増加した。また、平日はICU担当薬剤師が他職種との連携を密にとりながら、ICU入室中の全患者の薬物治療に介入することで、薬剤管理指導件数、プレアボイド件数が増加し、病院経営や医療安全に貢献していることがわかった。ICU に薬剤師が常駐することで、様々な効果が得られることが示されたが、医師・看護師などの業務負担が軽減され、安心して円滑な業務に従事できる環境を提供するためには、ICUに薬剤師が常駐し適切な薬剤の使用・管理に介入することが重要であり、今後さらに業務の充実に努めたい。CP58-3 ICU・CCUにおける薬剤師業務が薬物治療の安全性へ与える影響に関する検討1)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 薬剤部、2)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 看護部、3)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 麻酔部一杉 俊輔1)、四方 公亮1)、加藤 潤一郎1)、長谷川 英雄1)、崎本 聖美2)、岩井 健一3)当院では、2013年11月よりICU・CCU併設病棟へ薬剤師が半日常駐しており、薬剤投与の適正化に取り組んでいる。業務内容は、処方設計、薬剤相互作用確認、スタッフへの医薬品情報提供と多岐に渡っており、特に薬剤投与管理(注射薬のルート設計や内服薬の簡易懸濁法など)と薬歴監査(処方漏れや薬剤の投与指示の不備の確認)への介入件数は多く、医薬品の安全使用に貢献しているものと考えられる。また、過去の警鐘的事例をもとに看護師向けに勉強会を定期的に行うなど、スタッフ教育への関わりを強化してきた。そこで、これら薬剤師の介入による薬物治療の安全性の向上の変化を薬剤関連インシデント及びアクシデント報告件数の推移を調査し検証した。薬剤関連インシデント及びアクシデント報告件数を薬剤師の半日常駐化前後で比較したところ、常駐前は2.5 件/ 月、常駐後は2.8件/月であり、有意差はないものの常駐化後の方がむしろ微増していた。しかし、年度ごとの報告件数は減少傾向にあり、2015年度に関しては7 月までで0.8 件/ 月の報告となっており、かつ、アクシデント報告はなかった。また、2014 年度より取り組んだ看護師向け薬剤投与勉強会の実施前後1年間での報告件数の比較では、実施前は4.2件/月、実施後は2.0件/月と有意に減少していた。今回の調査からは、薬剤師の半日常駐化前後でのインシデント及びアクシデント報告件数に有意な差は認めなかったが、年次推移では報告件数の減少を示していることから、薬剤師の介入はICU・CCU における薬物治療の安全管理の上で有意義な結果をもたらすと考えられた。さらに、薬剤投与勉強会開催前後の比較で、報告件数が有意に減少していることから、スタッフ教育は医薬品安全管理において重要であり、定期的な勉強会の実施は病棟での与薬業務上有用性が高いと推測された。今後も薬剤監査スキルやスタッフ教育を強化し、安全な薬物治療に貢献していきたい。