ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
714/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている714ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-712-CP54-1 びまん性肺胞出血により人工呼吸器管理となった症例を経験して1)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 リハビリテーション科、2)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 外科、3)社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 集中治療室 看護部仲本 昂平1)、野中 沙恵1)、高崎 裕介1)、佐藤 英博2)、平湯 恒久2)、白土 奈央3)【はじめに】びまん性肺胞出血は重篤な呼吸不全に急速に進行することも多い予後不良の疾患と言われている。今回、肺胞出血により人工呼吸器管理が必要な症例に対し入院翌日より理学療法を開始した。既往に脳梗塞後重度右片麻痺及び失語症を呈しておりADL 低下も懸念されたが、入院前ADLを再獲得し良好な結果を得ることが出来たため以下に報告する。【症例紹介】60代男性。既往に脳梗塞あり、抗血小板薬2 剤を内服中。X 日、呼吸苦が出現し経過観察していたが鼻出血、喘鳴・呼吸苦の増悪を認め当院へ救急搬送。搬送後、出血による気道閉塞の所見あり気管挿管。気管支鏡を施行し肺胞出血と診断され、入院の運びとなる。【経過】人工呼吸器管理となり、止血目的に最高気道内圧を30cmH2Oに設定。X+1日より理学療法を開始。X+4 日にCT にて左下葉無気肺を認めた為、積極的に肺理学療法を開始。X+8日に気管支鏡を施行し止血が確認され、翌日よりベッドサイドにて起立訓練を開始。X+10 日に抜管し、摂食評価目的にST介入。X+15日ICUを退室後から歩行訓練を開始。 X+20日に酸素投与終了時にはT杖歩行も可能となり、X+25日には入院前ADLを再獲得し自宅退院となった。【考察】当院ではICU に専従理学療法士を配置し、回診時に同行し早期から理学療法を実施している。今回、入院翌日より理学療法を開始したものの、止血が確認されるまでは離床する事が出来なかった。しかし、病態に応じたプログラムを実施する事で、離床が可能となった時点でスムーズにADL改善に向けたプログラムへ移行出来たと思われる。また、本症例は失語症を呈しており、鎮静中断中の指示理解有無の判断に難渋したが、家族から早期に情報を得る事で不必要な抑制を解除する事も可能であり、看護師と協働し日中の管理をする事が可能であった。ICU 入室時より関わる全スタッフで目標を共有する事で、入院前ADLを再獲得し直接自宅へ退院出来たものと考える。ポスターCP 54 早期離床・リハビリテーション③ 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP54-2 多臓器障害を合併した急性呼吸不全患者に対し、理学療法的介入をおこなった1 症例1)長崎労災病院 中央リハビリテーション部、2)長崎労災病院 集中治療室、3)長崎労災病院 救急集中治療科和田 政範1)、山戸 隆二1)、久保 智美2)、中村 利秋3)【背景】ICU における急性期理学療法の重要性は確立されつつあり、理学療法士のICU 専従化をおこなう病院も増加しており、当院もICU担当の理学療法士を配置している。今回、その契機となった多臓器障害を合併した急性呼吸不全患者に対し、理学療法的介入をおこなった1 症例を経験したので報告する。【症例】69歳、女性。既往歴:気管支拡張症、在宅酸素療法。現病歴:入院前の日常生活能はすべて自立していた。入院後経過は、肺炎に対する入院治療中であったが、第4 病日に呼吸状態の悪化、さらに意識障害、循環不全を呈したため、集中治療目的にICU入室となった。人工呼吸管理下に治療していたが、急性腎障害も併発し、持続的血液濾過透析を必要とした。第11病日(ICU入室後8日目)に理学療法の介入を開始し、呼吸理学療法(前傾側臥位管理)と離床運動をおこなった。幸い、集学的治療が奏功し、腎障害、呼吸不全の改善を認め、第19 病日(ICU 入室16日目)には持続的血液濾過透析から離脱、第23 病日(ICU 入室20日目)に人工呼吸を離脱しえた。第30 病日(ICU 入室27 日目)にICU退室した。一般病棟転棟後は、筋力増強、歩行練習、階段昇降などの日常生活能練習を強化し、第79 病日目に自力歩行可能な状態で自宅退院となった。【結語】集中治療内容に関連する理学療法阻害因子があったが、理学療法士と医師、看護師との緊密な診療連携により、集中治療下にある症例への理学療法介入が奏功した。今後もひきつづき、ICU領域における理学療法士の介入に関する認識を高めていくことが重要である。CP54-3 器械的排痰補助を用いて無気肺が改善した外傷性血気胸患者の一例1)聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーション部、2)聖マリアンナ医科大学 救急医学堅田 紘頌1)、横山 仁志1)、森澤 健一郎2)、柳井 真知2)、高松 由佳2)、津久田 純平2)、平 泰彦2)[目的]器械的排痰補助(MI-E)は, フェイスマスクや人工気道を介して陽圧による深呼吸と陰圧による咳嗽を作り出す気道クリアランス方法である.MI-Eは, 肺や気管支に圧変動が加わるため, 一般的に肺の圧傷害を有する例やその発症リスクがある例は,相対的禁忌とされている.今回,外傷性血気胸に閉塞性無気肺を併発し,MI-E実施がその改善に有効であった症例を経験したので報告する.[症例]60歳代,男性.外傷による出血性ショック,不安定型骨盤骨折,右第9 ‐ 11肋骨骨折,血気胸にて入院.翌日にせん妄を併発し,骨折部の安静保持を目的に鎮痛・鎮静,挿管人工呼吸器管理となった.第8病日に抜管となったが,骨折による安静管理(ヘッドアップ禁止,10度程度の左右体位変換のみ)と疼痛による咳嗽力の低下が遷延し,第11 病日に右完全閉塞無気肺を併発. これに対し, 用手的な排痰・咳嗽介助を中心とした呼吸リハと気管吸引ならびに気管支鏡による分泌物の除去を行ったが無気肺の改善には至らなかった. そのため, 第13病日より呼吸リハにMI-E を導入することを検討した. MI-E 導入に伴う気胸の再発を懸念し、気胸の改善を認めていたが胸腔ドレーンを留置して実施した. その結果, 呼吸リハ中には, 黄色膿性粘調痰が多量に喀出され, 有害事象を併発することなく, 画像所見上著明な無気肺の改善が認められた. その後、疼痛管理がなされ徐々に自己喀痰が可能となり,胸腔ドレーンを抜去した.これに伴いMI-Eの実施頻度を減じたが無気肺の再発には至らなかった[. 考察]胸部を中心とする多発外傷では,安静や疼痛による深呼吸・咳嗽力の抑制により気道クリアランスが低下し,閉塞性無気肺を併発する症例が多い.本症例のように,無気肺改善,あるいは良好な疼痛管理や安静解除に至り気道クリアランスが改善するまでの間, 圧傷害の再発に対処できる胸腔ドレーンが留置された状態であればMI-Eを導入することが有効な場合があると考えられた.