ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-710-CP53-1 HIV感染症による無菌性髄膜炎に非痙攣性てんかん重積発作を合併し意識障害を呈した一症例市立札幌病院 救急科勝見 紀文、斉藤 智誉、本間 慶憲、長間 将樹、櫻井 圭祐、高氏 修平、遠藤 晃生、提嶋 久子、鹿野 恒、牧瀬 博【背景】HIV感染症は多剤併用療法により治療成績が向上し重篤な脳症の発生は大幅に減少し、むしろ慢性期のHIV 関連神経認知障害が注目されてきている。しかし、今回我々はHIV初感染に伴う重度意識障害に非痙攣性てんかん重積発作(NCSE)を合併し鑑別診断に苦慮した症例を経験した。 NCSE は早期発見・治療により死亡率を低下し得るとされ、原因不明の意識障害の原因として高頻度であると近年注目されている。【症例】30 歳代、男性。同性愛者で1 年前のHIV検査陰性。既往歴なし。【現病歴】23日前より38度台の不明熱により近医入院中であった。40℃台の発熱と意識障害により当科入院となった。GCS6 点の意識障害を認めたため気管挿管を行い人工呼吸管理とした。前医でのHIV-PCR 陽性(2.5 × 10*6copy/ml)、CD4 陽性細胞軽度低下(421/ μ l)を認めHIV初感染が疑われた。髄液検査は無菌性髄膜炎の所見を認めた。脳MRI・髄液培養には異常所見を認めなかった。髄液中のヘルペスウイルス、梅毒ウイルス、結核は陰性で、HIVウイルスによる髄膜炎が強く疑われた。ステロイドパルス療法を3日間行い意識障害は改善し、人工呼吸管理を第3 病日に離脱した。しかし翌第4 病日に再び意識障害、凝視、上肢の自動症を発症したため、てんかん発作を疑い脳波検査を施行し、群発徐波を認めた。非痙攣性てんかん重積発作を疑い、ジアゼパム投与により直ちに意識障害は改善した。さらにクロナゼパム、レベチラセタムの内服によりてんかんは良好にコントロール可能となり、第21病日に脳機能カテゴリー(CPC)1にて退院した。身体障害者3 級を申請し、自立支援医療費に基づき患者負担可能な状態となったため、第67病日よりDTG/ABC/3TCの多剤併用療法を開始した。【考察】無菌性髄膜炎の原因にHIV感染が考えられた。また、意識障害の原因としてNCSE の鑑別が必要であった。ポスターCP 53 神経② 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP53-2 膠原病に伴う脳症の二例1)手稲渓仁会病院 麻酔科 集中治療部、2)手稲渓仁会病院 総合内科、3)手稲渓仁会病院 腎臓内科、4)手稲渓仁会病院 リウマチ科秋本 貴子1)、宮本 翔平2)、本田 奈々瀬4)、上村 亮介1)、滝沢 英毅3)、芹澤 良幹2)、勝俣 一晃4)、横山 健1)、片山 勝之1)けいれん重積は脳梗塞に次ぐ神経学的救急疾患である。特に全身性エリテマトーデス(SLE)における中枢神経症状の報告は12-75%と報告により差があるが、症状は重篤な病態もあり集学的治療が望まれる。新規にNeuropsychiatric SLE( NPSLE)を疑い異なる転機をたどった二症例を報告する。【症例1】30代女性、SLEの診断で経過観察されていた。入院前日からの頭痛、発熱、意識障害を契機に痙攣を来たし、MRI T2画像にて皮質下に高信号を認め、NPSLEと診断した。ICU入室しステロイドパルス療法、血漿交換、シクロホスファミド大量静注療法(IVCY)施行するも意識障害が残存し治療困難となった。【症例2】30 代男性、抗核抗体陽性を伴う抗GBM 抗体病、急性進行性糸球体腎炎として入院、加療していたが、第81 病日に間代強直性けいれんを来たし、MRI T2画像にて側脳室周囲に高信号を認めた。補体低下、抗核抗体陽性、抗ssDNA抗体陽性よりNPSLEを疑われ、ステロイドパルス療法、血漿交換を施行した。その後神経所見の改善を認め退院となった。【結語】膠原病を誘因とする二例の脳症を経験した。診断、治療に難渋し、神経学的予後は対照的な転機をたどったことから、膠原病に伴う神経学的集中治療につき検討報告する。CP53-3 てんかん重積状態を呈した非ヘルペス性辺縁系脳炎の一例1)東京医科大学八王子医療センター救命救急センター、2)東京医科大学八王子医療センター脳神経外科、3)東京医科大学八王子医療センター神経内科田中 洋輔1)、須永 茂樹2)、上田 優樹3)、弦切 純也1)、新井 隆男1)【背景】てんかん重積による頭部MRIで海馬・島回などで異常信号を認める報告を散見するが、しばしば辺縁系脳炎とてんかん重積後のMRI所見との鑑別が困難なことがある。今回、我々はてんかん重積状態で発症した後、MR imaging で両側側頭葉内側部構造の信号変化と記名力障害を呈した症例を経験したので報告する。【症例】58歳、 女性。 静脈洞血栓症、関節リウマチの既往を認める。 てんかん発作を呈した既往は確認されなかった。駅のロータリーで事故を起こした乗用車内で不穏状態でいるところを通行人に発見された。救急搬送中に痙攣発作を認めたが、自然に頓挫した。来院時の意識はE1V1M4で頭部CT で出血や3DCTAで血管閉塞を認めなかった。MR imagingで両側側頭葉内側部で高信号域が確認された。 当初から、髄液検査で蛋白高値を認めたため 辺縁系脳炎を考慮してウィルス性、傍感染性や非ヘルペス性脳炎等についての精査を行った。 臨床経過で1週間前からの発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹があり、採血検査結果でVCA-IgM(-)、VCA-IgG(+)、EBNA-IgG(+)、EA-IgG(+)であったことからEB ウイルス再燃による辺縁系脳炎と判断した。治療はメトトレキサートを中止してステロイドパルスを行った。発症1ヶ月後のMR imaging のFLAIR像では、両側側頭葉内側部の高信号の軽減と軽度の萎縮を認めた。脳波では、右前側頭葉と左側頭葉後部での異常波が確認された。現在、 改善傾向ではあるが記名力障害は残存している。【まとめ】非ヘルペス脳炎によるてんかん重積状態のMR imagingで、両側側頭葉内側部構造に高信号変化を認めた。今症例に対して文献的考察を加え報告する。