ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-708-CP52-1 小脳出血により心肺停止となった妊婦の1 例石川県立中央病院 救急科明星 康裕、太田 圭亮、南 啓介患者は38歳の女性。身長161cm、体重56kg。先天性胆道閉鎖手術の既往と妊娠1 回分娩1 回であった。現病歴は39週の単胎妊娠で分娩のために帰省していた。朝起床しないので、家族が見に行くと「気分が悪い、お腹痛い」と言い、顔色不良になり泡吹き倒れた。呼吸停止になり救急車を要請した。救急隊到着時は心肺停止で、胸骨圧迫2分後のリズムチェック時に自己心拍再開した。補助呼吸しながら救急搬送となった。119番から救急隊到着まで10分、さらに心拍再開まで2分経過があった。来院時は、JCS300 GCS E1T1M1、両側瞳孔3mm で対光反射はあった。血圧105/60、脈拍110、呼吸20、O2 10L/min でSpO2 90であり、直ちに気管挿管、補助呼吸を開始した。気管内から気道分泌物が多量に吸引できた。超音波検査で胎児心拍正常で、母体の右心負荷はなかった。頭部CT検査で右小脳出血、脳室穿破、水頭症を認め、帝王切開術に続き開頭血腫除去術を施行した。児のApgar score は6/6であり、NICU で6 日間人工呼吸管理と昇圧剤を使用したが問題なく退院できた。第2 病日より徐々に意識レベルが改善し、第6病日はJCS30 GCS E2VTM4となり、第8病日に気管切開を行った。小脳出血の原因であるAVM はSpetzler-Martin分類1点(大きさ1、周辺脳機能0、流出静脈0)で、第30病日に脳動静脈奇形塞栓術、第35病日に脳動静脈奇形摘出術を行った。第40病日にはJCS0 GCS E4VTM6 に回復し、第44病日に気切チューブを抜去した。頭部の創感染の合併症はあったが、リハビリを行い第84 日に転院となった。両外転制限による複視の後遺症が残った。脳動静脈奇形破裂による心肺停止となった妊婦を経験した。心拍再開直後の手術により母子ともに社会復帰できた。ポスターCP 52 心肺蘇生・蘇生後ICU管理② 2月13日(土) 15:00~16:00 CPポスター会場CP52-2 偶発性低体温に対し、PCPS導入にて救命し得た一例東京女子医科大学 救急医学齋藤 倫子、齊藤 眞樹子、角田 美保子、鈴木 秀章、秋月 登、並木 みずほ、武田 宗和、矢口 有乃【症例】53 歳男性。【現病歴】数年前より活動性の低下を認め、自宅に引きこもりの状態であった。両足趾に壊死性黒色変化を認めるも、医療機関は受診せず放置。1月某日、自室にて同居する兄に意識障害で発見され、救急要請。現着時、JCS300、血圧測定不能、橈骨動脈微弱、脈拍36 回/ 分、体温測定不能であった。救急車内で痙攣後に心肺停止、モニター上PEAとなり、CPR開始された。【来院時現症】JCS300、瞳孔5/5(両側対光反応あり)、心静止、体温測定不能、顔面蒼白、るいそう著明、両足第1~5趾壊死を認めた。【経過】初療にて経口気管挿管施行し、CPR継続。膀胱温25.8度の低体温であり、経皮的心肺補助法(PCPS)導入した。導入約11分後、膀胱温28.2度に上昇した時点で、自己心拍再開を認め、カテコラミン持続投与開始し、ICUに入室。血液検査上、白血球数13610/ μ L、CRP13.78mg/dL、プロカルシトニン126.9ng/mL と炎症反応の上昇に対し、CT 上空洞形成を伴う肺炎像あり、かつ両足趾の感染に対し、第1 病日よりMEPM、VCM、CLDM、グロブリン製剤の投与を開始。第2病日に膀胱温35.8 度まで上昇認め、PCPS離脱。第5病日にカテコラミン投与と人工呼吸器から離脱した。両足趾に対し、手術を検討するも、本人の意思により保存的加療にて加療を行った。経過中に施行した頭部MRI検査では低酸素脳症や、梗塞等の所見は認められず、第21病日に独歩にて自宅退院となった。【考察】本症例は、未治療の糖尿病と低栄養状態における、両足趾壊疽から敗血症に至り、活動性が低下し低温環境下での低体温症から心肺停止に至った症例であった。本症例では、心停止時間が約1時間12分に及んだが、PCPS にて急速復温により救命し得たと考えられた。CP52-3 過量服薬からCPAとなったがCPC1 まで回復し得た一例国立病院機構 熊本医療センター 救命救急・集中治療部山下 幾太郎、江良 正、狩野 亘平、山田 周、櫻井 聖大、北田 真己、原田 正公、橋本 聡、木村 文彦、高橋 毅当院へは年間150例以上の過量服薬による搬送があるが、CPAに至る症例は稀である。今回、我々は、過量服薬を契機にCPAとなったが、集中治療にてCPC1 まで回復し得た症例を経験したので報告する。症例は39 歳女性、双極性障害にて近医外来通院中であった。自宅で処方薬を過量服薬後に意識消失しているところを発見され救急要請、搬送途中にCPAとなりCPR 開始し当院へ搬送された(CPAOA)。搬入後直ちに心拍再開を得、心肺停止時間は約8分間であった。服薬内容はバルプロ酸が約100 錠、その他抗精神病薬、睡眠導入剤を中心に計16 種類、421錠であった。搬送時の血液ガスで著明な高二酸化炭素血症を認め、挿管後に多量の食物残渣が気管内から吸引されたことより、吐物窒息による呼吸原性CPAと思われた。救急外来にて人工呼吸器装着、活性炭・下剤投与を行った後、ICU入室し脳低温療法を開始、バルプロ酸血中濃度高値であったため血液吸着療法も開始した。誤嚥性肺炎に伴う敗血症性ショック、ARDS、DIC も併発しており、呼吸・循環動態共に不安定な状態であった。バルプロ酸血中濃度は1 回の血液吸着にて中毒域を脱したため血液吸着は1 回で終了した。第5病日には脳低温療法終了、復温開始した。復温後、徐々に意識回復しCPC1 まで回復した。呼吸・循環動態も改善し第6 病日に人工呼吸器離脱・抜管した。腎機能低下、尿量低下あり一時的に血液透析(CHDF)を要したが速やかに回復し、数日で透析離脱した。第13 病日にICUから精神科病棟へ転棟。誤嚥性肺炎の再燃などあり、第23 病日まで抗生剤治療は継続した。身体的加療終了し、第36 病日には精神科転科となった。過量服薬患者の転帰等に関して、文献的考察も加え、考察する。