ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-707-CP51-4 無脈性心室頻拍にてβブロッカーが有効であった一例循環器病センター多羅尾 健太郎、清水 太郎急性心筋梗塞後のリハビリ中において、無脈性心室頻拍となりCPR により蘇生されたのち、心不全と頻発する頻拍に対して、βブロッカーが奏功し、治療が成功した一例を経験したため報告する。当症例では急性広範囲前壁心筋梗塞を経皮的冠動脈形成術において治療したのち、リハビリを行い11日目に無脈性心室頻拍により循環停止し、病棟看護師によりCPRを行われV-A ECMOおよび大動脈バルーンパンピングにより補助循環を行った。この際多発する心室頻拍があったため、すでに導入されてはいたが、再びβブロッカーを比較的速やかに漸増し、心室頻拍の停止とともに、抜管前後においては安定した循環状態が得られた。患者は現在、埋め込み型除細動を留置され、独歩にて外来通院されている。急性心不全治療において、日本循環器病ガイドラインを参照すると、ノルアドレナリンの単独使用の実質禁忌やドブタミンが比較的優先順位高く出現するなどの記載がみられる。実臨床においては本症例のように、極期におけるβブロッカーの使用が治療において奏功することも多く、またノルアドレナリンの単独使用は臓器虚血は助長しないこと、また、ドブタミン使用による心予後悪化傾向なども報告されており、その点を踏まえて考察を行う。CP51-5 Torsa de pointesを起こし緊急処置を必要とした高齢者QT 延長症候群の3 症例高知赤十字病院 救命救急センター村上 翼、泉 江利子、本多 康人、藤本 枝里、安岡 やよい、廣田 誠二、原 真也、島津 友一、山崎 浩史、西山 謹吾【症例】症例1:94 歳女性。既往に心不全、Wenckebach型房室ブロック。自宅で気分不良あり近医を受診。待合で失神を起こしたため当院に救急搬送された。来院後徐脈からTorsa de pointes(以下TdP)を認めたため、マグネシウム製剤を静注した。一旦回復したが、その後もTdPが持続したため除細動を施行した。カリウム濃度が2.7mEq/L、QTc は530msec であった。一時ペーシングを留置した後ICU 入室となった。利尿剤と下痢による低カリウム血症が原因と考えられ、電解質異常を補正した。症例2:95歳女性。既往に完全房室ブロック。就寝中の胸痛で救急搬送された。来院時HR40台の完全房室ブロックを認め、ERでの経過中にTdPとなりマグネシウム製剤を静注した。カリウム濃度が3.3mEq/L と低下していた。電解質異常と房室ブロックによる徐脈が原因と考えられたがペーシングは希望せず、電解質補正とシロスタゾールの内服を開始した。症例3:84歳女性。15 年前にペースメーカー留置(VVIR60/min)。近医入院中に失神と下肢脱力を認め、脳梗塞の疑いで紹介となった。来院時意識は清明であり、明らかな麻痺を認めなかった。心電図では、自己波とペーシング波が混在しており、QT延長と胸部誘導のT波が陰転化を認めた。胸部症状もなかったため、モニター監視下に入院となったが、入院翌日に突然レベルダウンした。意識は速やかに回復し、モニターを確認するとTdP を起こしていた。心エコーで心尖部の動きが広範に低下しており、たこつぼ型心筋症が疑われた。内服にジソピラミドがあり、薬剤によるQT 延長にたこつぼ型心筋症を併発したことでTdP を起こしたと考えられた。ペーシングレートを80/minに変更し以後はTdPを認めなかった。【考察・結語】薬剤や電解質異常、徐脈性不整脈などにより二次性QT延長症候群は起こり、TdPは致死的不整脈である。これらのリスクを負う高齢者では診療上注意が必要である。CP51-6 TdP を発症した先天性QT 延長症候群の臨床像、12誘導心電図の特徴についての検討1)岡山大学病院 高度救命救急センター、2)岡山大学 循環器内科、3)川崎医科大学 救急医学総合診療医学寒川 睦子1)、森田 宏2)、中村 一文2)、伊藤 浩2)、塚原 紘平1)、山内 英雄1,3)、寺戸 通久1)、佐藤 圭路1)、鵜川 豊世武1)、氏家 良人3)【背景】先天性QT延長症候群は特に若年層における心臓突然死のハイリスクである為、リスクの層別化、突然死の予防が望まれる。【目的】TdP を発症した先天性QT 延長症候群症例の特徴を検討すること【対象】当院にて遺伝子検査を施行した先天性QT 延長症候群総計32 名、LQT1:18 名、 LQT2:6 名、LQT3:5 名、LQT7:3 名【方法】臨床像と安静時12 誘導心電図指標を検討し、遺伝子分類型別、TdP を有する群と有しない群とで比較検討を行った。【結果】7 名(LQT1:1 名、LQT2:4 名、LQT3:2名)にTdPを有し、TdPの誘因は、20%が運動関連性、20%が睡眠中、60%が日中安静時の発症(テレビ鑑賞、電話の呼び出し音、目覚ましの音など)であった。CPA発症するも心拍再開した3症例においては全例β遮断薬を内服していた。競技スポーツへの参加制限や運動制限、β遮断薬内服の推奨により運動関連性の心臓突然死のイベントは認めなかった。遺伝子分類型別の心電図指標の特徴ではTdP を有する群では有しない群と比較し、特にLQT2において、診断時のSchwartz score が高く、QTc, Tpec 間隔が長い特徴を有していた。(QTc: 0.604± 0.08 vs 0.409± 0.05sec1/2 p < 0.0001, Tpec: 0.188± 0.05 vs 0.106± 0.04sec1/2. p < 0.001. TdP+ vsTdP-).【結語】QTc, Tpec 間隔が長いこと、Schwartz score が高いことが特にLQT2 においてTdP のリスクになる可能性が示唆された。先天性QT延長症候群において同意のもとに遺伝子検査を行い遺伝子タイプ別に応じた薬物的加療の選択、ガイドラインに沿ったICD 植え込み加療を行うことが突然死の予防につながると示唆された。