ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-705-CP50-4 小児ECMO施行下における栄養管理大阪府立母子保健総合医療センター 集中治療科井坂 華奈子、清水 義之、橘 一也、?智 武志、文 一恵、京極 都、小山 英彦、松永 英幸、赤松 貴彬、竹内 宗之【はじめに】近年重症病態における栄養投与経路として経腸栄養が推奨されている。ECMO施行下においても同様とされているが、本邦における小児ECMO 施行下における栄養投与に関しての報告はない。当科におけるECMO 施行下の栄養管理について報告する。【対象・方法】2014 年3 月より12 か月間の小児ECMO症例12 例(0-11歳)を対象とし、ECMO 施行中の投与エネルギー量、栄養投与経路(経腸、経静脈)、合併症、臨床経過について後方視的検討を行った。【結果】ECMO施行中の最大投与エネルギー量の中央値は、46.4 kcal/kg/day(BMR:推定基礎代謝量の75 %)であった。12 例のうち8 例(66 %)はECMO 施行下に経腸栄養が開始され、うち7 例は幽門後投与であった。経腸栄養の最大投与エネルギー量の中央値は、13.5 kcal/kg/day であった。経腸栄養開始時期はECMO導入より中央値3日(2-13 日)であった。一方、経腸栄養が施行された全例で静脈栄養が併用され、その開始時期は中央値3 日で経腸栄養と同時期に開始されていた。経腸栄養が施行できなかった理由は、CPA蘇生後ECMO継続適応外が2例、出血傾向で栄養チューブを挿入できなかったのが1例、不明が1例あった。また、経腸栄養中断は5例(8回)行われており、その理由は、膜交換、開胸血腫除去術、挿管チューブ入れ替え、消化管出血であった。経腸栄養に関連する合併症として、消化管出血が1例あったが、壊死性腸炎や消化管穿孔などの重篤な合併症は認めなかった。経腸栄養施行できた8 例は全例ECMO離脱可能であり、ICU 生存退室例は6例であった。【考察・まとめ】ECMO 施行下での、投与エネルギー量はBMR に比して低く、特に経腸栄養投与量に関しては少ない傾向にあった。一方、経腸栄養に投与による重篤な合併症はなく施行可能であり、臨床転帰の悪化を認めなかった。CP50-5 小児の人工心肺使用開心術後におけるプロカルシトニンの有用性1)自治医科大学 小児手術・集中治療部、2)自治医科大学 小児・先天性心臓血管外科、3)自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学中村 文人1)、前川 慶之2)、大塚 洋司1)、永野 達也1)、岩井 英隆1)、多賀 直行1)、竹内 護3)【背景】開心術後は人工心肺による影響から全身性炎症反応症候群に酷似した状態に陥りやすく,細菌感染の有無を鑑別することは困難である.一方小児では涕泣やうつ熱による体温上昇を来しやすく,細菌感染を早期に診断することは困難なことが多い.我々はプロカルシトニン(PCT)が小児開心術後感染症の診断に有用であるか検討したので報告する.【対象と方法】2014 年4 月から2015 年5 月まで,当院で体外循環下に開心術を施行した連続73 例(男44:女29),月齢中央値12(0 ― 135)を対象とした.チアノーゼ性疾患32例,緊急症例3例であり1ヶ月以内の死亡症例は除外した.研究デザインは診療録からの後方視的検討である.術後1ヶ月までの間,発熱,炎症反応再燃,局所所見等から細菌感染を疑った症例全例においてPCTを測定,細菌学的評価を考慮し術後感染の有無を診断した.【結果】何らかの感染症を疑いPCTを測定した症例は27 例(36.4%)であった.PCTカットオフレベル0.5 ng/mL 以上を呈した症例は4 例あり,内訳は縦隔炎1 例,不明熱3 例であった.縦隔炎症例は左心低形成症候群の月齢11の男児であり,術3 週後にMSSAによる血流感染も合併した.診断時PCT は2.63ng/mL と本シリーズにおいて最高値を示した.ほかに血流感染を合併した症例はなかった.一方,血流感染を合併しない肺炎,創感染などではPCTカットオフレベル以上となることはなかった.【結語】小児人工心肺使用開心術後,PCTは血流感染を合併するような重篤な感染症において特異的に上昇することが示唆された.CP50-6 小児心臓血管外科手術後の感染症の頻度、予後に関する後方視的研究大阪府立母子保健総合医療センター平野 藍子、?智 武志、京極 都、井坂 華奈子、文 一恵、清水 義之、橘 一也、竹内 宗之【目的】小児心臓血管外科手術後の感染症の頻度、関連因子、予後を明らかにすること。【方法】2014 年1 月から12か月間に大阪府立母子保健総合医療センターにおいて、心臓血管外科手術後に小児集中治療室(PICU)に入室となった小児を対象に後方視的に調査。【結果】対象となった154症例のうち、22例(14.3%)に感染症を認めた。創部感染4例(2.6%)、肺炎3例(1.9%)、尿路感染3 例(1.9%)、血流感染15 例(9.7%)であった。感染症を認めた群では月齢が6.5 か月(25th percentile 2.75; 75th percentile14)vs. 11.5 か月(5; 31.75)、Pediatric Index of Mortality2が2.6% vs. 1.8% と感染症を認めなかった群と比較して有意差を認めた。体外式膜型人工肺(ECMO)を使用したうちの5 症例(100%)、Delayed Sternal Closure(DSC)を実施したうちの9 例(90%)、不整脈を認めたうちの10 例(25%)、ステロイドの投与を行ったうちの10症例(37%)、腹膜透析を使用したうちの8症例(47%)、術前にPICU管理を必要としたうちの7症例(39%)に感染症を認めた。感染症群では人工呼吸日数(中央値)が14 日(4.5; 38.25)vs. 1 日(1; 2)、PICU滞在日数(中央値)が27 日(11.75; 44.75)vs. 4 日(3; 7)、死亡率が9.1%(2 例)vs. 0.76%(1例)と有意に高値であった。【結論】小児心臓血管外科手術後の感染症の頻度は14.3%であった。ECMO、DSC、不整脈、ステロイド投与、腹膜透析、術前のPICU管理を必要とした症例に高率に感染症を認め、感染症群で人工呼吸日数、PICU滞在日数、死亡率が高値であった。