ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-703-CP49-4 当院における高齢者の敗血症性ショック集中治療の現況-PMX-DHP施行症例の年代別比較-社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院 麻酔科久場 良也、釜野 武志、嘉手苅 由梨近年、高齢者の敗血症は社会問題となっている。今回我々は当院で敗血症性ショックに対しPMX-DHP を施行した症例を年代別に検討したので報告する。【対象および方法】対象は2005 年から2015 年6 月に敗血症性ショックと診断され、開腹術、PTGBD後にPMX-DHPが施行された45症例である。このうち蘇生後、免疫療法、化学療法中に発症した症例を除いた41例を、A群:64 歳≧9 例、B 群:65~74 歳13 例、C 群:75~84 歳10 例、D 群:85 歳≦ 9 例に分けて、カテコラミンインデックス(以下CAI)、P/F 比、SOFAスコア、急性期DIC スコア、ICU在室日数、人工呼吸管理日数等について比較検討した。【結果】治療開始前のCAI に差は見られなかったが、P/F 比はC群329と高く、SOFAスコアはC 群7.3 と低く、D 群12.3 と高かった。また急性期DIC スコアはD群5.67 と優位に高かった。PMX-DHP 施行後、CAI はA 群18.4 → 8.6、B 群13 → 5.7 と優位に低下したが、C 群は変化が見られず、D群は低下傾向を示した。P/F 比はB群232→ 304、D 群264 →325 と優位に上昇したが、A群とC群は軽度の上昇であった。SOFAスコアはA 群のみ改善傾向を示した。ICU在室、人工呼吸管理の日数は同様にA群、C 群と比べB群、D 群は長い傾向であった。41例中8例がICUで死亡した。【考察】今回の検討で全症例の約75%、死亡症例の約87%は65 歳以上であった。治療開始前の重症度では75~84歳の高齢者群は軽症であったが、成人、高齢者全体で大きな差は見られなかった。超高齢者群はDICの合併が多かった。PMX-DHP施行前後で成人、高齢者ともにショック、酸素可能の改善傾向を認めた。集中治療を要した日数は高齢者が長かった。高齢者の敗血症は重症化、長期化しやすいので発症早期の集学的治療が必要と思われた。CP49-5 重症熱中症で救急搬送されたゴミ屋敷住人の4 症例公立昭和病院 救命救急センター岡田 保誠、稲川 博司、小島 直樹、山口 和将、佐々木 庸郎、渡辺 隆明最近の夏の気温上昇によって、熱中症を起こして救急搬送される患者は急増している。ゴミ屋敷の住人は、地域から孤立し家族からも疎外されて、セルフネグレクト状態にあり、また冷房用のルームエアコンなどなく換気状態も極めて不良である住環境であるために、熱中症を起こしやすい条件が揃っている。実際、本年だけでもそのような患者を3症例経験し、最近そのような患者搬送が増えているように思われるため、当院救命救急センターに搬送された症例について報告する。【症例のまとめ】年齢は75 歳から91 歳(平均81 歳)、救急隊現着時体温は39.7℃から42.0℃(平均40.8℃)、来院時意識レベルはGCS9 から12 であり、いずれも3 度熱中症であった。全症例意識回復したが、うち1 症例は末期がんがみつかり、死亡退院した。他の3症例のうち1症例は家族と相談のうえ自宅退院したが家族が全く面倒をみず、すぐに再入院となった。結果として、残り2症例も含め3 症例いずれも、自宅には戻れず転院となった。転院などの調整に長時間を要した。【考察】ゴミ屋敷の住人は、来年以降も気温の高い夏がくるたびに重症熱中症を発症して救急搬送されてくる可能性がある。未然に防ぐ妙案はなかなか浮かばない。外部からの支援に対して、本人、家族が同意しないことが多いことが、解決を困難にしている。CP49-6 熱中症を契機に診断された結晶誘発性関節炎の1 例1)加古川西市民病院 臨床研修医、2)加古川西市民病院 救急科城戸 拓海1)、切田 学2)高齢者は様々な基礎疾患を合併していることが多い。高熱、関節痛を呈する結晶誘発性関節炎も高齢者ではしばしば遭遇する。今回、熱中症で救急搬入され、入院加療中に結晶誘発性関節炎と診断、セレコキシブ内服が有効であった1例を経験したので報告する。【症例】70代男性。自宅で倒れているところを発見され、救急搬入された。搬入時、意識レベルはJCS2、体温37.7℃、大量発汗と口渇を認め、2度熱中症と診断した。第2病日に39.0℃の発熱があり、感染による発熱を疑い、諸検査を行ったが、尿検査では尿路感染を疑う所見はなく、胸部CT でも肺炎像は認めなかった。第3病日、右膝部の発赤を伴うアテロームを切開し、内容物を培養提出し、また血液培養も提出した(最終結果はすべて培養陰性)。プレセプシンが563pg/ml であったため、CTRX2g/ 日点滴を開始した。右第3指MP関節・PIP関節、右手背、両肘関節、右第1 趾MP関節、右足背の熱感、発赤、腫脹、疼痛を認め、結晶誘発性関節炎(痛風または偽痛風)と診断した。第4 病日からのセレコキシブ内服開始により速やかに36℃台まで解熱し、関節症状も改善を認めたので、CTRX投与は第7病日で終了した。関節症状も改善していたことから、第10病日にセレコキシブ内服も終了した。第16 病日に関節症状が再燃したため、第17病日よりセレコキシブ内服を再開した。内服再開後速やかに関節症状は改善し、第24病日に退院となった。【まとめ】本例は結晶誘発性膝関節炎が先行し、膝関節痛のため高熱環境下に長くいたため熱中症を発症したと考えられた。高齢者の発熱時、細菌感染症以外の発熱を来す合併症も考慮して診療に当たることが大切で、著明なCRP上昇、四肢関節の炎症所見を認める場合、またセレコキシブなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤で四肢関節痛が著明に軽減消褪する時には、結晶誘発性関節炎を考慮すべきである。