ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-695-CP45-4 心臓大血管手術におけるプロカルシトニン測定の意義公立陶生病院 救急救命センター浅井 彰士、市原 利彦、川瀬 正樹、中島 義仁(目的)プロカルシトニン(Procalcitonin:PCT)は熱傷患者を対象として行った研究結果をもとに、重症の炎症マーカーとしての意義に端を発し、以来細菌感染症診断における有用性が多くの面から報告されてきた(Lancet 1993)。開心術後の感染症に限った報告は少ない。開心術後の感染管理におけるプロカルシトニン(PCT)の意義を中心に後方視的に解析し、開心術後感染症診断に対する有効性を検討した。(対象)開心術後にseptic workをおこなった症例中PCTを測定した255例(男性187例、女性68例、平均年齢65.8 歳)を対象とした。測定時期は発熱した時、CRP、白血球再上昇時、イベント発生時とした。前述した時期がない場合は術後7日目とした。(結果)平均PCTは2.59 ng/mlであった。陽性例は86例でうち明らかに感染症発症は12例(4.7%)でカットオフ値は0.68ng/ml以上であったPCTが0.7ng/ml 以上の際早期に抗生剤を投与する方針により、感染による死亡は1.5%であった。PCT を測定していない時期の感染による死亡率は5.0%で、有意に減少した(p <0.04)(考察)PCT は重症細菌感染症では上昇し、治療により速やかに低下する。敗血症の一般的カットオフ値は0.5 ng/mlで、重症敗血症のカットオフ値は2.0 ng/mlと報告されている。開心術後の陽性例のうち0.7ng/ml 以上は感染症発症のリスクと予想され、抗生剤を検討するか、感染源の検索が必要になると考える。PC 法の問題点は、出可能菌種が特定される、偽陽性、偽陰性が多い保険点数の問題等種々の課題もあり今後の検討を要する。(結語)開心術後PCT による術後感染管理の治療介入をすることにより開心術後の感染症の指標になりえることが期待される。CP45-5 閉鎖式システムによる末梢静脈カテーテルの細菌汚染・合併症軽減効果の検討徳島大学病院 救急集中治療部大藤 純、綱野 祐美子、中瀧 恵実子、安田 裕一郎、井澤 眞代、田根 なつ紀、小野寺 睦雄、今中 秀光、西村 匡司背景:末梢静脈カテーテルは広く輸液管理に使用されるが、カテーテル感染症の他、静脈炎や輸液漏れなど合併症も多い。閉鎖式静脈カテーテルはカテーテルと輸液ラインが一体型となった構造で、外部との遮断に優れている。さらに平坦な構造や柔らかいカテーテルの材質といった特徴があり、カテーテルの細菌汚染や合併症を軽減する可能性がある。本研究では、閉鎖式末梢静脈カテーテルがカテーテル汚染や合併症を軽減できるか検討した。方法:当院集中治療室に入室した成人患者を対象に、閉鎖式カテーテルを使用する群(閉鎖群)と従来のカテーテルを使用する群(従来群)に割り付けた。末梢静脈カテーテルは定期的な交換は行わず、治療終了または合併症にて抜去されるまで使用した。カテーテル使用時間、カテーテル先端培養による細菌汚染の有無、静脈炎や輸液漏れなどの合併症の有無を記録し両群間で比較した。結果:閉鎖群67 検体、従来群78 検体を収集し解析した。カテーテル使用時間は閉鎖群で長かった(閉鎖群vs.従来群:79(45/120)時間 vs. 51(38/92) 時間、中央値(第一四分位/ 第三四分位、p=.038)。細菌汚染の頻度(閉鎖群vs. 従来群:10.4% vs. 19.2%、p=.22)および合併症の頻度(閉鎖群vs. 従来群:53.7% vs. 58.9%、p=.64)は両群間で有意差はなかった。結語:閉鎖式末梢静脈カテーテルはカテーテルの細菌汚染頻度およびカテーテル関連合併症の頻度を軽減しなかった。CP45-6 医療デバイス関連感染症における敗血症の有無と転帰に関する検討1)東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部 集中治療科、2)東京都立小児総合医療センター 感染症科板倉 隆太1)、渡邉 伊知郎1)、居石 崇志1)、本村 誠1)、中山 祐子1)、新津 健裕1)、齊藤 修1)、清水 直樹1)、堀越 裕歩2)【背景】デバイス関連感染(Device Associated Infections: 以下DAI)は集中治療室(以下、ICU)における合併症として患者転帰に大きく影響し、早期診断・治療は重要である。一方でICU内の様々な全身管理は、多くのバイタルサインを修飾し、典型的な症状を呈さない場合も多い。【目的】当院ICUおいて、敗血症を呈したDAI症例と敗血症を呈する前にDAIと診断された症例の転帰について比較検討する。【 対象・方法】2013年1月~2015年7月に当院ICU入室中にDAI(中心静脈カテーテル関連血流感染CLABSI、 人工呼吸関連肺炎VAP、カテーテル関連尿路感染CAUTI)と診断された症例を、発症時に敗血症を呈していた群(S群)と呈していなかった非敗血症群(NS群)とに分類し診療録を元に後方視的にその転帰を検討した。【結果】DAIは86例で、その内訳(器具使用比、感染率)はCLABSI 18(0.629、1.13)、VAP 35(0.629、2.39)、CAUTI 33(0.579、2.07)であった。各々の敗血症発症の割合は、CLABSI 10/18(55.6%)、VAP 19/35 例(54.3%)、CAUTI 17/33(51.5%)であった。各DAIにおいてS 群、NS 群の死亡率を比較するとCLABSI 10:50%(p=0.065)、VAP 11:0%(p=0.19)、CAUTI 両群とも0%、と有意差を認めなかった。一方、ICU 入室期間では、CLABSI 29:27 日(p=0.50)、VAP 25:26 日(p=0.56)、CAUTI 42:18 日(p=0.023) となり、CAUTI のS 群で有意に延長を認めた。【考察】厳密な体温管理や鎮静、人工呼吸管理等によりバイタルサインが常に修飾を受けているにもかかわらず、当院ICUでは、多くの症例が敗血症に至る以前にDAI に対する診断・治療がなされていた。また各DAI における死亡率は、S 群、NS 群で有意差を認めなかったが、ICU 在室期間でCAUTI のS 群で有意に延長を認めた。【結語】ICU 内のDAI は、約半数の症例で敗血症を呈する前のDAIの診断がなされていた。本発表では敗血症を呈する以前にDAI 診断に至る過程とCAUTI の在室期間延長について検討を加える予定である。