ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-693-CP44-4 成人心臓大血管術後症例を主とする術後ICU における栄養療法の経年的な変化1)神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療室、2)神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科前山 佳子1)、東別府 直紀2)、下薗 崇宏2)、永井 佳生理1)、重村 奈央1)、金多 由季子1)、尾川 祥子1)、柴田 愛歩1)、中野 真結1)、森 絵里子1)目的:成人心臓大血管術後症例を主とする術後ICUにおける栄養療法の経年的な変化および予後への影響を検討する。方法:当院ICUは心臓血管外科術後症例を主として収容する術後ICUである。当院ICUの国際栄養調査(以下INS)2013年と2014年の結果を比較し、栄養投与量、開始時期、投与内容などを比較する。INSはICU にて呼吸器管理を行い、72 時間以上滞在した成人を対象とした栄養療法に関する観察研究である。調査項目はICUの体制、投与目標量、投与した内容(PN,EN含む)、腸管蠕動薬や小腸栄養の有無などをICU滞在中、最大12日間データを取得する。各施設20症例以上集める事を目安とし、国際比較が可能である。結果:2014年、当院GICUは23 症例をINSへ登録しそのうち7割ほどが心臓血管外科術後の患者であったが、2013、2014年と症例群の変化はなかった。緊急手術件数は2013年11件、2014年7 件であるがAPACHE2スコアでは15 から20.4へ増加し、重症度は増していた。平均経管栄養開始時間はICU 入室後52 時間後から38 時間へ短縮した。EN は共に7 割以上の症例に投与され、PN の使用は少なく症例としては消化管出血、イレウスのみであった。2014 年の目標体重当たりのエネルギー摂取量(kcal/kg/day)は23.6、蛋白は1.1g/kg/dayであり2013年とほぼ同等であった。投与エネルギーは目標に到達せず、2013年はその60%、2014年はその80%が最大投与量であった。無意味な栄養投与の中断、臨床的に不必要なPN 開始もなかったが2013年と同様であった。考察:当院GICU において2013、2014年で症例群の変化はなくその中で、EN の開始時間が早まり、投与量は増加した。また、腸蠕動薬の投与や小腸栄養の投与が行えている。これに関しては、以前よりプロトコールを作成していたが2013年の結果を情報共有し、再度栄養投与に関する意識が高まり朝のカンファレンスで医師、看護師、管理栄養士での討論をより活発になった事が原因の一つとして考え得る。CP44-5 経腸栄養中の下痢に対するケアアルゴリズムの有効性1)東京大学医学部附属病院 看護部、2)東京大学医学部附属病院 ICU、3)東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学、4)東京大学医学部附属病院 救急部 集中治療部南條 裕子1)、下園 佳代美2)、仲上 豪二朗3)、真田 弘美3)、矢作 直樹4)【背景】経腸栄養中の下痢は最も頻繁に発生する合併症であり、感染や皮膚障害、苦痛、管理コストの増加などと関連した重大な問題に発展する危険性がある。当ICUでは早期経腸栄養法を積極的に行っており、殆どの患者に下痢が発生している。そこで、当院では多職種が連携し、より安全に経腸栄養法を継続することをコンセプトに、下痢に対するケアアルゴリズムを開発し、2012年に導入した。【目的】下痢の持続および有害事象の有無、経腸栄養法の継続状況などから、このアルゴリズムの有効性を評価する。【方法】2011~2013 年に当ICU に48時間以上入室し、経腸栄養法を行った患者のカルテレビューによりデータを収集し、アルゴリズム導入前後の比較を行った。【結果】対象158名、うち121 名に下痢(水様~泥状便)が発生した。アルゴリズム導入前後で患者重症度、栄養開始および目標量達成までの期間に差はかったが、下痢の持続日数は、前7.0 ± 9 日、後2.6 ± 3 日、経腸栄養法の中止は前21 名(36%)、後8 名(8%)で、各々有意に減少した。また、便失禁による皮膚障害は前後で差はなかったが、アルゴリズム導入前の便失禁管理ディバイスの使用は有意に多かった。【結論】当院の下痢に対するケアアルゴリズムは、ICU患者の経腸栄養法を中止することなく下痢をコントロールし、便失禁管理ディバイスの使用量をおさえても皮膚障害を増加させることはなかった。更に便失禁管理ディバイスの使用量の減少により、管理コストの削減にも有効であることが示唆された。CP44-6 下痢を呈する経腸栄養施行患者における、YHフローレ投与の検討1)千葉大学医学部附属病院 看護部 ICU/CCU、2)千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学、3)千葉大学医学部付属病院 臨床栄養部菅原 久純1)、高橋 和香2)、大島 拓2)、佐藤 由美3)、沼田 ありさ1)、苅込 隆弘1)、依田 智未1)、東田 かずえ1)、竹内 純子1)、織田 成人2)【はじめに】重症患者に対する経腸栄養は下痢症状により投与が制限されることがある。YHフローレ(明治)はprobiotics効果による便性状の改善を企図しているが、重症患者の下痢に対する効果は明らかではない。【目的】下痢を呈する経腸栄養試行患者にYHフローレを投与し、便性状の変化を評価する。【対象】集中治療室(ICU)で経腸栄養施行中に下痢症状を呈した成人重症患者【方法】経腸栄養剤をYH フローレに変更し、最低5 日間継続投与して便性状の変化を観察した。便性状はKing's stool chartで評価し、15点以上の場合に下痢と判定した。一日当たりの総点数をKing's score とし、YH フローレ開始前日(day0)から開始後6日(day6)まで算出した。便性状の変化はday0 とday6のKing's scoreの差(ΔK)で評価し、Δ K< 0 を改善、ΔK≧ 0 以上を改善なしとして、下痢の原因別に検討した。【結果】全18 例中、便性状の変化は改善11例、改善なし4 例、評価不能3例だった。16例が敗血症を合併し、13例が抗菌薬投与中であった。下痢の原因は、栄養剤の投与方法によるもの(4例)、排便コントロール不良(5例)、腸炎(5例)、抗菌薬投与による菌交代現象疑い(8例)、消化管機能不全(8 例)(重複有り)であった。改善例の下痢の原因は腸炎や抗菌薬投与による菌交代現象によるものが多く、改善のなかった群では難治性消化管機能不全が多かった。【考察】下痢症状には原因に合わせた対応が必須である。感染性腸炎や腸内細菌叢の変化に伴う下痢症例では、YH フローレにより改善が期待できることが示唆された。一方、高度の消化管機能不全が原因の場合は経腸栄養自体の適応を判断する必要があると考えられた。【結語】重症患者の経腸栄養中の下痢症状は、YHフローレを投与することで改善が期待できる場合があることが示唆された。