ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-690-CP43-1 ICU入室前訪問による予期的指導の効果洛和会ヘルスケアシステム 洛和会 音羽病院石田 美穂、倉 愛香、土山 あすか、岸田 敬子【目的】改訂したICU 入室前訪問は予期的指導として術後管理のイメージを促進し、患者の満足度を高めるものであったかを明らかにすることである。【 方法】研究対象:18歳以上の術後ICU入室予定患者のうち、研究協力に同意の得られた患者。研究方法:1)手術予定日の前々日に対象者にパンフレットを配布し、予習時間を設けた。2)手術前日の午後に予習により発生した対象者の疑問点などに回答する形態で訪問面接を行った。3)入室前訪問の満足度についてビジュアルアナログスケール(VAS)を用いて質問紙調査を行った。4)実際のICU入室後、事前にイメージしていたICU での療養と実体験後の相違点などに関して聞き取り調査を行った。分析方法:入室前訪問の満足度についてはVAS平均値を統計的に分析した。対象者からの聞き取り内容は、質的内容分析を行った。倫理的配慮:院内の臨床研究倫理審査委員会の承認を得た。【結果】対象者は男性11名、女性4名の計15名、平均年齢64.3 歳であった。入室前訪問の満足度のVAS平均値は8.20であり、年代・男女・手術侵襲別のχ2 検定において有意差は認められなかった。「入室前訪問によってイメージしていたICUでの療養と実体験後の相違点などに関する意見」に関しては、最終的に「入室前訪問の内容は術後のイメージ化に役立った」、「ICUは眠れないところだった」、「想像以上の騒音だった」など5 つのカテゴリーに分類できた。【考察】改訂したICU入室前訪問は年代・性別・手術の侵襲度を問わず、認知機能に問題のない対象者では、予期的指導として効果的であったと考えられた。術前のイメージと実体験の解離として、騒音や不眠に関するカテゴリーが分類できたことから、今後は聴覚的にも働きかけられる媒体の工夫を検討する必要があると考えられた。ポスターCP 43 看護技術・ケアの工夫 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP43-2 ICU 看護師の術前訪室が家族に与える影響-小児心臓手術後での家族の面会に焦点を当てて-1)名古屋第二赤十字病院 院内ICU、2)名古屋第二赤十字病院 麻酔科水野 皓介1)、柘植 梨帆1)、林 逸江1)、西川 正美1)、永田 真理1)、寺澤 篤2)【目的】術前訪室は術後にICUに入室する患者とその家族に対してICU看護師が手術前にICUの環境、入室方法や入室中の患者の概要について説明することでICU 入室の準備、特に不安軽減を目的としている。しかし家族が術後ICU入室時にとまどっている姿を見て、術前訪室が家族の不安軽減になっているのか疑問に感じた。そこで今回、術前訪室が家族の面会においてどのような影響を与えるのかを明らかにした。【研究方法】小児心臓手術後の家族を対象とし、同意を得られた9組の家族に対して、ICU退室後に半構成的面接法を行い、ICU 入室後に家族に与えた影響は何かという視点で分析した。【倫理的配慮】当院の臨床研究IRBでの審査を経て、文章と口頭で説明し同意を得た。【結果】分析の結果以下の4つテーマが導かれた。テーマ1.文字だけではなく絵や写真での説明を聞くことで家族はICU の部屋や患児の状態についてイメージがもてるが、一方で個室という環境であることに不安も抱いていた。テーマ2.家族は術前にルートなどの留置物の説明を受けても、“やっぱりそうなんだ”“いっぱいついている”と感じ、大変なことだと捉えていた。テーマ3.家族は患児の手術や気になることで頭が“いっぱい”になる為、術前訪問の内容を部分的にしか記憶していなかった。テーマ4. 術前訪室の内容が不十分なことや、ナースによって異なることがあると家族は困った。【考察】家族は医療者からの説明によりICU の環境や患児の状態をイメージできたが断片的にしか記憶しておらず、術前の不安な状態では説明が十分に伝わらないといえる。また、実際に患児の状態を目の当たりにすると想像以上であると考えられ、看護師はその心情を理解して関わる必要がある。【結語】ICU 看護師の術前訪室により、家族は術後の経過やICU の環境をイメージできており家族が術後の心構えや準備をするために必要であるとわかった。CP43-3 救命救命センターにおける退室前訪室による情報共有取り組み株式会社 日立製作所日立総合病院大窪 敬久、長澤 佐地子、寺田 直子救命救急センターは2012年10月から稼働開始となり、2014年の研究からICU と一般病棟間で円滑な情報共有ができていないことが明らかになりICUサマリーを作成した。しかし、ICUサマリーを用いた引き継ぎだけでは一般病棟で患者の全体像を十分に把握することは困難であると感じた。救命救急センターでは、電子媒体の記録と独自に作成した紙ベースの経過記録表に記載している。そのため、一般病棟看護師は事前に経過などの詳細な情報は得られにくい環境にある。 そこで、患者の膨大な情報を正確かつ詳細に伝達・共有するために、一般病棟看護師に救命救急センターの退室前訪室を検討した。退室前訪室を実施することで、実際に患者と接し、経過記録表の内容を確認でき、さらに、患者の全体像を把握することで、一般病棟において継続すべき問題、患者の抱える様々な不安や家族看護など、取り組むべき問題がより明確になり患者・家族への質の高い看護を提供できると考えた。その取り組みについて報告する。